キッチン・トランスレーターつれづれ日記

つれづれなるままに日々のよしなしごとを綴ります。本、風景や花や料理、愛犬の写真などをご紹介。

柿の葉寿司

2011-11-29 10:13:42 | 季節
           
         柿の葉寿司
           ふるさとから送られてきた紅葉した柿の葉に包まれたお寿司。

           柿の葉寿司は、母の姉で今は亡きおばさんがとても得意にし

           ていた押し鮨でした。昔は山の中の魚のない地方で、熊野か

           ら来る塩鯖が貴重な蛋白源だった頃に始まったお寿司です。

          

           吉野川の鮎漁が解禁になる六月に、みずみずしい柿の若葉で包

           む鯖寿司を作るのが私のふるとの行事でしたが、このところ柿

           の葉寿司も結構全国区になってきて、大きなお店もでき、注文

           すればチルド便で送ってくれます。魚も鯖だけじゃなく鮭や鯛

           も現れてきました。しかもこんなにきれいに色づいた葉っぱに

           くるんだのまで。それだけに、昔の素朴な味わいは少し薄れ

           たような気がしますが。

          

           あまりにきれいな大きな葉っぱなので捨てるのが惜しくて、

           とっておきました。何かお寿司を作ってくるんでみましょう。 
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落葉松-からまつ

2011-11-27 09:38:07 | 季節
           

            落葉松の秋の雨に わたしの手が濡れる

            落葉松の夜の雨に わたしの心が濡れる

            落葉松の陽のある雨に わたしの思い出が濡れる

            落葉松の小鳥の雨に 乾いた眼が濡れる

                          野上彰作詩 小林秀雄作曲

         切ない詩にしみじみとしたメロディーの名曲です。初めて聴いたとき

         なんてすてきな歌なんだろうと思いました。独唱でも歌われますが、

         女声合唱も味わいがあります。歌っていると、なぜともなく胸が一杯

         になってくる気がします。針葉落葉樹の落葉松林は、赤や黄色の広

         葉落葉樹とは一味違う美しさです。一昨年の秋、奥飛騨で峠を車で

         超えたときに、突如広がった一面黄色の落葉松林に息を呑みました。

           

            その奥飛騨は今年の秋もこんな風に静かでしょうね。

           

            もう一度訪れてみたいところです。
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柿と林檎

2011-11-24 10:22:50 | 季節の花々
りんご
スーザン バーレイ,Susan Varley
かまくら春秋社
ざぼんじいさんのかきのき (のびのび・えほん)
織茂 恭子
岩崎書店


          柿も林檎もおいしい季節です。作家の三木卓と『わすれられないおくり

          もの』のスーザン・バーレイの『りんごThe Apple Tree』と安房直子の

          名作『きつねの窓』の絵を描いた織茂恭子の『ざぼんじいさんのかきの

          き』を読みました。

          

          山登りの男の人が食べた後捨てたリンゴの芯を、リスが拾って食べました。

          残った種を日当たりのいい丘のすそにまきました。やがて芽が出て、リ

          ンゴの木は少しずつ大きくなっていきました。リスやミミズやモグラや

          クマやキツネや、色々な動物に邪魔されたり助けられたりしながら、

          季節を何度も過ごして。やがてやさしいお月さまに見守られて、リンゴ

          の木は白い花を咲かせ、赤い実をつけました。でも嵐がやってきて、リ

          ンゴの実は全部落ちてしまいました。でも大丈夫。リンゴは森の仲間

          のお家に一つずづ転がっていきました。来年はもっとたくさんおいしい

          リンゴが実ることでしょう。『りんご』

          

          ざぼんじいさんの柿の木にいっぱいおいしい柿が成りました。でもけち

          んぼうのじいさんはだれにも一つもあげません。隣のまあばあさんが

          行くと、柿のへただけくれました。まあばあさんはそれでも喜んで、

          そのへたで独楽を作って子どもたちと遊びました。それを見たじいさん、

          またへたをもらいに来られたら大変と、柿を全部もいで納屋へしまいこ

          み、まあばあさんには葉っぱしかくれません。婆さんはそれでも喜んで、

          子どもたちと今度は葉っぱのお人形や首飾りを作りました。それを見た

          じいさん、葉っぱを全部振り落として、ばあさんには細い枝をくれまし

          た。まあばあさん、今度は枝の先にパン種をくっつけて、たき火で焼い

          て、子どもたちとおいしく食べました。それを見たじいさん、枝をもら

          いに来られては大変と、木を伐ってしまいました。まあ、なんてことを

          したんでしょう。でも大丈夫。子どもたちが納屋にしまっていた柿を全

          部食べて、その後柿の種をあちこちにまきました。きっと甘い柿の実が

          たくさんなる木がはえてくるでしょう。『ざぼんじいさんのかきのき』

          

          この二冊の絵本は、洋の東西で絵の雰囲気はちょっと違いますが、どち

          らも昔話風の繰り返しが楽しく、また果物って、種をまけば、やがて芽が

          出て、木になって、実がなることを教えてくれる絵本です。『りんご』は

          作家の三木卓が文を書いて、それをスーザン・バーレイが英語に訳し

          絵をつけたという変わり種です。日本語と英語を読み比べるのも楽し

          い絵本です。

            

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夜寒

2011-11-22 10:10:05 | 季節
             

                わが家の近くの公園もすっかり色づきました。

             

                なっちゃんの散歩にはちょうど良い季節です。

                夏はばてばてだったのに。毛皮を着ていますからね。

                暖かい11月でしたが、立冬を過ぎて明日は小雪。

                さすがに夜など寒くなってきました。

                  あはれ子の夜寒の床の引けば寄る    中村汀女

                昔は、わが家の秋の夜もこんな光景でしたが、今は

             

                子どもの代わりに、なっちゃんが。

                   いつしかに犬と添い寝の夜寒かな    micchi
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ヴァン・ゴッホ・カフェ

2011-11-21 10:15:20 | アート
ヴァン・ゴッホ・カフェ
ささめや ゆき,Cynthia Rylant,中村 妙子
偕成社
The Van Gogh Cafe
Cynthia Rylant
Sandpiper

         カンザス州フラワーズにあるカフェ。ヴァン・ゴッホ・カフェ。かつて劇場

         だった場所にあるためか、このカフェでは魔法が起こります。次々とささ

         やかな魔法が。人々の心を驚かせ、困惑させ、温める魔法が一つ起こっ

         ては消え、また一つ起こっては消えていきます。カフェの若い主人マルク

         と彼の娘クララはわくわくしながら、でも過剰に騒ぎ立てたりせずに魔法

         を見守ります。もしかしたら、この心豊かな二人が魔法を引き起こしてい

         るのかとも思えます。あるとき海から遠く離れたこの内陸の町にカモメが

         一羽やってきて、カフェの屋根に住み着きました。町の黒猫がカモメに恋

         をしてスカーフや帽子やたくさんのアパレルの贈り物をどどけます。この

         ロマンチックな成り行きにマスコミが殺到して、カフェの周りは大騒ぎ。

         やがてカモメの仲間がどんどん増えて、騒ぎはますます大きくなりますが、

         ある日カモメたちはカリフォルニアへ向かうトラックに乗って去っていきま

         した。その代わりのようにやって来たのが、作品が認められず書くのを止

         めようとしている貧しい作家。でも彼もこのカフェの魔法にかかったのか、

         すてきなお話が書けそうな気がしてきます。そして、このカフェの魔法を、

         つまりこのお話を書いて、魔法の環が閉じられることになります。

         

         『ヴァン・ゴッホ・カフェ』は児童小説の多いシンシア・ライラントらしい

         おだやかでささやかな、ちょっとユーモアの効いたすてきなオムニバ

         スのショート・ストーリーです。くつろげるカフェで飲む、心を温めて

         くれる一杯のハーブティーのような。

             
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日本の秋満喫

2011-11-19 09:59:46 | 旅行
            

               湖と紅葉と

            

               秋晴れの空と

            
               富士山と

            

               お昼のおいしいほうとう。日本の秋。
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ゲーテのおばあちゃん風ハンバーグ

2011-11-17 16:31:38 | グルメ
             

         「涙とともにパンを食べた者でなければ、人生の味はわからない」とはゲ

         ーテの言葉です。原語では「人生の味」というのは ihr himmlische

         Maechte(you,heavenly Power)「天なる御力」ですが、パンを食べるに

         ひっかけた、なかなかの妙訳です。生きていくことの辛さをとことん味

         わった人でないと、真の人生の意味は分からないということでしょうね。

         そのゲーテも、フランクフルトにいた子ども時代には、まだ何の苦労

         も知らず、おいしい『ゲーテのおばあちゃん風ハンバーグ(Frikadellen

         nach Art von Goethes Grossmutter) 』を食べていたことでしょう。

         以前にも紹介した『フランクフルト料理本』にあったレシピで、フリカ
      
         デレ(ドイツ風ハンバーグ)を作ってみました。ゲーテのおばあちゃ

         んが1724年に残したレシピそのままだそうです。牛挽き肉とベ

         ーコン、卵それに香辛料をたっぷり使った、タマネギの入らない、

         とてもリッチなハンバーグです。

             

         付け合わせに、同じ本の中の『ザクセンハウゼン風パン屋さんのじゃが

         いもグラタン』を作りました。ザクセンハウゼンというのはフランクフル

         トの一地区で、リンゴ酒の居酒屋が多くある所だそうです。これもじゃ

         がいもをキロ単位で使い、生クリームをたっぷり入れたこってりした

         グラタンです。こんなのを毎日食べてたんじゃね。若いときはとてもス

         レンダーなドイツの女性が、中年になると貫祿十分のplumpなおばさん

         になるのは、当たり前だと思えてきます。うちでは生クリームの代わり

         に豆乳を使いましたが、それでもなかなかいいお味でした。
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追憶-The Way We Were

2011-11-16 16:41:41 | 人生
The Way We Were
Marvin Hamlisch
Sony Special Makets
         
     
                          

             Memories may be beautiful and yet
             What's too painful to remember
             We simply choose to forget

             思い出は美しい、でも
             思い出すのはとても辛いこと
             だからだれもが、ただ忘れようとする
                           追憶"The Way We Were"より

         「追憶」はバーブラ・ストレイザンドのこのしみじみとした曲が印象的な

         胸にしみる映画でした。考え方も生き方も違う男女が、それでも惹かれ

         あって、結局それぞれの道へと別れていく切ないお話でした。バーブラ

         扮するケイティーとロバート・レッドフォード扮するハベルが朝の海岸を

         散歩する場面、一時の幸福の向こうに未来の悲しみが予感される美し

         いシーンでした。まだ20代のころ、今は亡き友と見に行った映画です。

         彼女はその数年後、まだ30歳にもならないうちに、子宮外妊娠で亡く

         なりました。将来を嘱望された優秀な独文学者だったのに。だからこの

         The Way We wereという曲は大好きすが、上の歌詞にあるように、聴く

         度に辛い悲しい思い出が蘇ってくる歌です。でも、なぜかこの季節に

         なるとたまらなく聴きたくなります。秋の物悲しさが、過去の悲しい思

         い出に浸らせるのでしょうか。
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赤や黄色の色さまざまに

2011-11-15 10:53:46 | 季節の花々
             

           季節の移り変わり、早いですね。若葉が清々しく美しいと思っていたら、

             

           もう秋。クリスマスケーキ、お歳暮、年賀状、おせちと、まだ11月半

           ばなのに世間は何かと前倒しで騒がしいことです。

             

           少し静かに秋の風情に浸りたい。見渡せば木々は色とりどりに色づいて、

             

           錦秋とはよく言ったもの、色様々な赤や黄色にうっとりです。

           木々は人に見てもらうために色づいている訳ではないけれど。

           もっとも、

            見渡せば花ももみぢもなかりけり浦のとまやの秋の夕暮れ  藤原定家

           紅葉一つない寂しい風景の中にも、いにしえ人はもののあはれを

           見出したようです、深いですねえ。
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Les Feuilles mortes -枯葉

2011-11-14 22:18:14 | アート
            

          「...突然気づいた。今日は私の大好きな風の強い、ひんやりした秋の

          日だということに。少女のころ林檎をかじったり、枯葉を蹴って歩いた

          りしたくなった、あんな一日だということに」

        「真珠の耳飾りの少女」で知られる英国の作家トレーシー・シュヴァリエの

        「天使が堕ちるとき」の一節です。生きる希望を失って鬱々としているヒロ

        イン、キティーは、秋のひんやりした空気に突然目覚め、自分の周りの世界

        に気づきます。私の大好きな場面です。秋のピリッとした冷たい空気には、

        人を覚醒させる作用があるような気がします。それと同時に、美しく色づい

        ても、はかなく散りゆく落ち葉は物悲しくもあります。

            

        イブ・モンタンの「枯葉」を聴いていると、泣きたいほど切なくなります。

          「...かき集められる落ち葉は、僕の思い出の苦さに似ているよ」kei訳

        フランス語の歌詞はすばらしく美しい詩です。(英語のもかなりいいけど)

            

        でも苔むした樹の幹の上に散る紅葉や銀杏の葉などは、なんとなく和の

        イメージかも。

          奥山に紅葉ふみわけ鳴く鹿の声聞くときぞ秋はかなしき  猿丸大夫
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