キッチン・トランスレーターつれづれ日記

つれづれなるままに日々のよしなしごとを綴ります。本、風景や花や料理、愛犬の写真などをご紹介。

色々

2018-06-26 16:15:06 | 絵本
ストライプ―たいへん!しまもようになっちゃった
David Shannon,清水 奈緒子
セーラー出版

          カミラはリマ豆が好きなんです。でも食べません。他の子たちが

          みんなリマ豆が嫌いだからです。今日は新学期の第一日目ですが、

          どの服を着ていくか決まりません。そう、カミラは他の人に自分

          がどう見えるか、どう思われるか、そればかり気にして、自分の

          気持ちを押し殺しています。するとまあ大変、体がいろんな色の

          しましまになってしまいました!それから状況はどんどん悪くな

          りました。学校でアメリカ国旗の前に立つと、体が国旗の赤青白

          三色になり、星まで現れました。「紫の水玉」、「チェック柄」、

          みんなが言う通りの色や形に変わります。どんなお医者さんにも

          原因がわかりません。でも最後に、リマ豆を持ったおばあさんが

          やってきて、カミラは勇気を出して「リマ豆が食べたい!」と叫

          び、口いっぱいにリマ豆をほおばります。するとカミラは元の体

          に戻りました。

          

          このお話の意味は、読み語りをしている小学六年生に割合とささ

          るようです。多かれ少なかれどの子も、他の子と同じでいたいと

          自分を押し殺すことがあるようです。その方が楽な場合が多いで

          すからね。これはアメリカのお話ですが、日本の子どもたちは、

          その度合いがもっと大きいかもしれません。

          

          「もっと自由に自分を出していいんだよ」というメッセージを、

          なかなか迫力のある絵と言葉で描いたおもしろい絵本です。


Little Blue and Little Yellow
Leo Lionni
Knopf Books for Young Readers

         いろいろな色と言えば、大好きな絵本にこの「little blue and

         little yellow あおくんときいろちゃん」があります。あおくん

        ときいろちゃんは仲良しです。ぎゅっとハグしあって、お家へ帰ると

        あおくんのパパとママが言いました「そんなみどり色の子は、うちの

        子じゃないよ」。きいろちゃんのパパとママも。でもね、わかったん

        です。あおくんの家族ときいろちゃんの家族がハグし合うと、みんな

        すてきなみどり色になるって。

        

        これは上の「ストライプ」とは逆に、同化することで起こるすてきな

        化学反応のお話です。黄色と青が混ざるときれいなみどりになるって、

        すばらしいですよね。赤と青と緑を混ぜるとほとんどすべての色がで

        きるという「光の三原則」です。全ての色を混ぜると白になるって不

        思議ですね。このところアクリル画を始めたので、色々な色が載って

        いるカラーチャートを眺めては、混ぜる色の割合を変えるとできるき

        れいなグラデーションを楽しんでします。

               

         これは習い始めて最初に描いた静物画。アネモネの花の色々な色

         の美しさを表現したかったのですが?
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そらまめくんのベッド

2018-04-24 15:51:51 | 絵本
            
そらまめくんのベッド (こどものとも傑作集)
なかや みわ
福音館書店


            そらまめくんは、ふかふかのやわらかベッドが自慢です。ピーナッツくんや

            グリーンピースの兄弟が貸してよと言いますが、そらまめくんは「だめだよ」。

            ところがある日、そのベッドがなくなってしまします。いったいどこへ?

            「そらまめくんのベッド」、とてもかわいらしい、楽しい絵本です。

            

            今が旬のそらまめ。ビールのおつまみに最高!ほんとに莢の中はふかふか。

            固いピーナッツくんのベッドや小さいグリーンピース兄弟のベッドより、

            ふかふかのそらまめくんのベッドはとても寝心地がよさそうです。結局

            そらまめくんのベッドは、うずらさんが卵を温めるのに使い、ひなが孵っ

            てから、そらまめくんの元へ戻ってきます。

                 

            ふかふかのお布団が好きななっちゃんも、そらまめくんのベッドで寝てみたい?

            

            

            ごめんなさいね、そらまめくん。ふかふかベッドから出して、茹で、

            おいしくいただきました。
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ムーミン谷はどこ?

2018-01-21 16:30:50 | 絵本
         

         2018年のロイヤルコペンハーゲン・イヤープレートは、たぶんデン

         マークのコペンハーゲンかどこかの町の広場で、クリスマスツリー

         を選んでいる図柄です。雪の積もった広場、北欧らしいがっしりし

         た建物の屋根にも雪があります。このメーカーのイヤープレートは

         毎年ほとんど北欧の冬の風景がモチーフです。デンマークはアンデ

         ルセンの祖国。人魚姫のデザインの年もありました。このブログの

         テンプレートも、アンデルセンの童話「雪の女王」のようですね。

         

         今、ムーミンが世間をにぎわしていますね。センター試験で、ムーミン

         は北欧のどこの国にいますかという問題が出て、答えはフィンランドで

         したが、「いや別にどこということもない、架空の場所だ」とか、「そ

         もそも作者のトーベ・ヤンソンは物語をスエーデン語で書いている」等。

         目くじらを立てるほどのこともないような話ですが、それで試験の点数

         がつくとすれば、受験生には大問題ですものね。ムーミングッズはわが

         家でも人気で、このカップなどもう十数年愛用しています。昔テレビで

         やっていたアニメの主題歌「ねえ、ムーミン」は今でも全部歌えます。

          
小さなバイキングビッケ (評論社の児童図書館・文学の部屋)
エーヴェット カールソン,Runer Jonsson,Ewert Karlsson,石渡 利康
評論社

長くつ下のピッピ (岩波少年文庫 (014))
桜井 誠,大塚 勇三
岩波書店

        そもそも北欧って児童文学の宝庫なんです。ルーネル・ヨンソンの

        ビッケやリンドグレンのピッピや「やかまし村の子どもたち」「小

        さなロッタちゃん」など、きっとみんな、小さい時どこかで読んで

        いると思います。お話に出てくる子どもたちが、本当に愛らしくて

        しかも自由で、子どものころ、こんな国に生まれたかったと憧れて

        いたのを思い出します。

        
星のひとみ (昭和40年) (岩波おはなしの本)
丸木 俊,万沢 まき
岩波書店

        そんな北欧の童話のうちで、私が小さいころから愛してやまないのは、ザ
        
        クリス・トペリウスの童話、特に「星のひとみ」です。フィンランドのア

        ンデルセンともいわれるトペリウスは、フィンランド大学総長だった偉い

        学者さんですが、珠玉のような数々の童話を書きました。お話の舞台は、

        ほとんどがスカンジナビア半島北部、ノルウエー、フィンランド、スエー

        デンにまたがる、そうサンタクロースが住んでいるといわれる地域ラップ

        ランドです。実際には少数民族のサーミ人が住んでいて、かつてはかなり

        差別された歴史があるようです。 そのサーミ人の男の子のお話「サンポ

        ー・ラッペリル」も私の大好きな小さなお話です。トペリウスはフィンラ

        ンド人ですが、この人もスエーデン語で書いています。してみると、今の

        地図区分、国の境界にこだわることは、あまり意味がないような気がしま

        す。それがどこの国なんていう無粋な問題は、子どもたちみんなの宝物で

        ある童話を貶めるものだというのは言い過ぎでしょうか?
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ジュリア・ドナルドソンの楽しい絵本世界

2017-04-29 10:32:21 | 絵本
もりでいちばんつよいのは? (児童図書館・絵本の部屋)
アクセル シェフラー,Julia Donaldson,Axel Scheffeler,久山 太市
評論社

The Gruffalo
Julia Donaldson
Puffin Books

            グラファロって一体何?ギラギラした赤い目に、大きな角、鋭い爪と牙、背

            中には紫色のとげ、大きなこわーい怪獣。でもね、そんなものいる訳ない。

            だって、ネズミくんが想像した空想上の生き物だから。ところが、ところが

            本当にいた、グラファロが!ネズミくん絶体絶命。だけど大丈夫、森の中で

            一番強いのは小さな頭の良いネズミくん。グラファロだって逃げだしました。

            

            ジュリア・ドナルドソンのお話は、声に出して読んでみると一層楽しくなります。

            英語でね。ちゃんと韻を踏んだ楽しい詩になっています。そのウィットのきいた

            お話に、ユーモラスで色彩の鮮やかなアクセル・シェフラーの絵が加わると、こ

            れはもう最強の絵本です。

こえだのとうさん
アクセル シェフラー,Julia Donaldson,Axel Scheffler,いとう さゆり
バベルプレス

The Snail and the Whale
Axel Scheffler
Puffin Books

Room on the Broom (Picture Puffins)
Axel Scheffler
Puffin Books

            二人がタッグを組んだ絵本はたくさんありますが、主人公は鯨、おさる、魔女など

            に加え、木の枝、大ミミズなど意表を突くラインナップで、飽きることがありません。

            whaleの背中に乗って航海したsnailの愉快な絵本を読んだら、きっとあなたも

            ジュリアとアクセルのとりこ!
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オーパルひとりぼっち―Only Opal

2016-07-18 10:47:50 | 絵本
オーパルひとりぼっち
ジェイン ボルタン,バーバラ クーニー,Opal Whiteley,Jane Boulton,Barbara Cooney,八木田 宣子
ほるぷ出版

          友人に借りたこの絵本は、その静かでのどかなバーバラ・クーニーの絵と

          は裏腹に、なかなか衝撃的な絵本でした。オーパル・ウィットリーという原

          作者の女性は孤児で、彼女が五歳の時に近所の人がくれた封筒の裏に

          書いていた日記が絵本の元になっているというのです。たった五歳です

          よ。しかもその日記は継姉がずたずたに破ってしまっていたのを、九ヶ月

          かけて、ジグソーパズルを解くように復元したというのです。継母の厳し

          いしうちに耐えながら、動物や植物を友として生きていく森での生活の描

          写は、美しい詩のようです。       

Only Opal
Opal Whiteley,Jane Boulton
Puffin

          バーバラ・クーニーの絵があまりにも静かで美しく悲しく、最後のページまで

          笑顔をみせない幼い少女の表情が切なくて、思わずホロリとさせられます。

          副題がThe Diary of a Young Girlとあるように、字を覚えたての五歳の

          書いた文章なので、不規則変化動詞の過去形が分からずsaidをdid say

          とするなど、随所に稚拙さが感じられ、それによってまたほろっとさせら

          れるのですが、、、。
The Diary of Opal Whiteley
Nan Gurley
September Productions Inc

          大人になって久しく、汚れてしまった私の心に、疑いが湧いてくるのです。

          「これは、本当にこんな境遇にあった五歳の女の子が書いたものかしら?」

          お話の一部など、継子いじめのグリム童話そっくりです。ネットでググッて

          みると、どうも孤児ではなかったらしい、貧しく、しつけの厳しい一家では

          あったものの、その家の本当の子供だったようなのです。オーパルは空

          想癖、放浪癖のある子どもだったらしく、のちにはアスペルガー症候群の

          疑いも持たれています。
Opal: The Journal of an Understanding Heart
Opal Whiteley
Crown

          とはいえ、その幼い文章の詩のような美しさには、紛れも無く真実の響きが

          あり、バーバーラ・クーニーの絵とあいまって、心を動かされずにはいられま

          せん。事実かフィクションかなんて、ある意味どうでもいいことなんでしょうね。
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The Lonesome Puppy - 奈良美智の”きみかわいい”世界

2015-07-02 16:59:19 | 絵本
The Lonesome
Puppy
Yoshitomo Nara
Chronicle Books

ともだちがほしかったこいぬ
奈良 美智
マガジンハウス

          ぼくはひとりぼっちでさびしい犬、お友だちがほしい。でも、だれもぼくに

          気づかない、それはぼくがとてもとても大きいから。でも、ある日、女の子

          がぼくに気づいた。女の子はのぼってきて、歩いてきて、ぼくの顔にたどり

          ついた。女の子はぼくに歌をうたってくれた。そして友だちになった。もう

          ぼくはさみしくない。ときどきけんかもするけど。さがしてごらん、きっと

          きみと友だちになりたい子がいるから。

          

          この絵本はハンディキャップのある子どもたちに捧げられています。他と

          違うというのは、生き難いものです。この犬もあまりに大きすぎて、だれ

          にも気付いてもらえなかったんです。でも一人の女の子が気づきました。

          その子もきっと一人ぼっちだったんですよね。                 

Slash with a Knife 改訂版
奈良 美智
フォイル

          奈良美智「ならよしとも」さんは申し訳ないながら、「ならみち」さん

          だと思っていたりしたのですが、彼のなんとも不思議な女の子の絵は、

          一度見るとまた見たくなる、やみつきになる絵です。「きもかわいい-気

          持ち悪くかわいい」という言葉がありますが、彼の女の子は「きみかわい

          い-気味悪くかわいい」とでも言えるでしょうか。その大きな顔の睨みつ

          けるような目は、何もかも見抜いているような深みがあります。決して

          愛らしい万人に愛されるような女の子じゃありません。しかもナイフを

          握っていたり、怪我をしているらしく、包帯をグルグル巻きにしていた

          りします。

深い深い水たまり
奈良 美智
角川書店
Yoshitomo Nara: Lullaby Supermarket
Yoshitomo Nara
Verlag Fur Mododerne Kunst

         深い深い水たまりに沈んでいく女の子。人間って何?生きるって何?

         自由って何?気味悪く、あどけなく、だまって、じっと見つめて、あなた

         の心を深い深い水たまりにひきずりこむ、奈良美智の世界へようこそ!
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おじいさんの旅 - アレン・セイの2つのふるさと

2015-05-21 10:27:12 | 絵本
おじいさんの旅
Allen Say,大島 英美
ほるぷ出版
Grandfather's Journey
Allen Say
Houghton Mifflin Harcourt

            ぼくのおじいさんは、若者の時世界を見ようと旅に出た。初めて洋服を着て、太平

            洋を渡った。汽車や蒸気船で、砂漠や、果てしない草原や、高くそびえる山々や、

            工場群や高層建築の町を見た。黒人、白人、東洋人、インディアン、いろいろな人

            に出会った。一番気に入ったのはカリフォルニア。おじいさんは故郷へ帰り、結婚

            して新妻とカリフォルニアへ渡った。サンフランシスコで娘が生まれた。やがてお
            
            じいさんの心にふるさとを懐かしむ気持ちが強くなり、娘が大きくなると日本へ帰っ

            た。故郷は昔のまま、友だちもいた。けれど娘には田舎が合わず、一家で都会

            へ出た。そこで娘が結婚して、ぼくが生まれた。おじいさんは、カリフォルニアを

            懐かしむようになり、またもう一度戻ろうと考えた。ところが、戦争が始まった。

            戦争が終わると何もかもなくなっていた。おじいさんは二度とカリフォルニアを訪

            れることはなかった。ボクがおじいさんと同じ若者になった時、カリフォルニアに

            行き、その地が好きになった。そしてボクにも娘が生まれた。ぼくも故郷が恋しく

            なる。「不思議なことに、いっぽうにもどると、もういっぽうが恋しい」
Tree of Cranes
Allen Say
HMH Books for Young Readers

            作者のアレン・セイは日系アメリカ人の母と韓国人の父の間に横浜で生まれました。

            セイは16歳の時、父親と一緒にカリフォルニアヘ渡ります。その後一度日本の戻っ

            たものの、結局またアメリカに行き、兵役を経て、商業カメラマンになります。

            その後40歳過ぎから絵本を書き始め、次々と素敵な作品を発表しています。その絵

            は一目見てわかるように日本画的な独特の風合いがあります。このTree of Cranes

            など、セイの自伝的な物語のようですが、母が松の木に折り鶴を吊るしたクリスマ

            スツリーを作ってくれたお話です。どう見ても舞台がカリフォルニアとは思えない

            光景です。「おじいさんの旅」もそうですが、2つの文化の間で揺れる人間の心理

            がとてもうまく描かれています。アメリカは移民の国だから、共感する人が多いの

            ではないでしょうか。「不思議なことに、いっぽうにもどると、もういっぽうが恋しい」
はるかな湖
Allen Say,椎名 誠
徳間書店

            彼の絵本はどれも、どことなく神秘的で懐かしさを感じる絵と、しみじみした

            文章に、いつの間にか引き込まれる、不思議な絵本です。
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あおむしとおたまじゃくし - The Caterpillar and the Polliwog

2015-04-29 16:01:44 | 絵本
The Caterpillar and the Polliwog
Jack Kent
Aladdin

         新年度が始まり、我が家の周辺でも新しい小学1年生が色とりど

         りのランドセルを背負って毎朝元気に出かけていきます。先日、

         近くの小学校へ、今年度はじめての読み聞かせに行きました。新

         一年生への読み聞かせボランティアはもう10年近く続けています。

         いちばん最初に読むのは、これと決めているのが、上の「あおむし

         とおたまじゃくし」です。今は羽も手も足もないアオムシやオタマジャ

         クシがチョウチョやカエルになるように、君たちも立派に成長してね

         という願いを込めて。         

         

         池のそばでアオムシがオタマジャクシに得意気に言いました。「私大きく

         なったらチョウチョになるのよ」「すごいね」オタマジャクシは感心しました。

         そこへやって来た魚のおじさんが「坊やも大きくなったら形が変わるよ」と

         言ってくれました。「良かった、ボクもチョウチョになれるんだ!」「あらっ、

         でも私が先よ」アオムシは体の周りにまゆを作り始めました」やがて、ま

         ゆですっぽり覆われました。オタマジャクシはじっと見ていました。何日も

         何日も。その間にオタマジャクシに後ろ足が生えて前足が生えて、アオム

         シがきれいなチョウチョになってサナギから出てきた時、オタマジャクシも

         りっぱなカエルになっていましたとさ。

         

         動物の変態がへたな科学絵本よりよっぽど楽しく学べます。アオムシも

         オタマジャクシもとってもキュート。でもこのごろの小学1年生は物知り。

         お話を読む前に「アオムシはチョウチョに、オタマジャクシはカエルにな

         るんだよ」と先にネタばらしをしてしまいます!       

There's No Such Thing as a Dragon
Jack Kent
Dragonfly Books

         作者のジャック・ケントには他にも楽しい絵本があります。
Fat Cat
Jack Kent
Scholastic Paperbacks

         とぼけた感じの絵がなんとも可愛らしく、ユーモラスで、思わずにっこり。           
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真珠-Pearl-Perle ヘルメ・ハイネのやさしく美しい世界

2015-03-11 15:38:50 | 絵本
Die Perle
Helme Heine
Beltz Gmbh, Julius
ビーバのしんじゅ
ヘルメ・ハイネ,おおしま かおり
佑学社

               

             ビーバが湖で真珠貝を見つけました。きっときれいな真珠が入っているにちがい

             ありません。ビーバは貝を胸に抱いて夢を見ました。友だちの動物たちがみんな

             真珠をうらやましがる夢です。動物たちは夢中で真珠貝を探し始め、夜も焚き火

             をしてお互いを見張るようになりました。その焚き火の火があちこちに燃え移り

             何もかも燃やしてしまいました。ビーバもビーバの真珠も。その時はっと目がさ

             めました。真珠なんて要らない。ビーバは湖のおもいっきり遠くへ真珠を放りな

             げて、いつものように友だちと一緒に遊びました。

             

             ビーバは真珠という宝石より、友だちという宝物をとりました。筋だけ見ると

             道徳的ですが、絵のユーモラスな可愛らしさにジンと来ます。あんまり大勢が

             貝探しをしたので、ビーバのダムが決壊して水が干上がり、動物たちが泥合戦

             をしたり、だれかが貝を独り占めしないかと、夜も寝ないでクタクタになりな

             がら寝ずの番をするなんていう、まるでどこかの社会の縮図のような場面もあ

             ります。でも、ビーバの真珠貝の中には、本当にきれいな真珠が入っていたの

             でしょうか?
ともだち
Helme Heine,池田 香代子
ほるぷ出版
Friends
Helme Heine
Margaret K. McElderry Books

           作者のヘルメ・ハイネはベルリン生まれのドイツ人で、35歳位から絵本を書き

           始めた人ですが、今では押しも押されもせぬ世界的な絵本の第一人者です。

           その作風、画風はやさしく、やわらかく、ちょっととぼけていてユーモラスで

           2次大戦をくぐり抜けてきたドイツ人とは思えません。でも、それを言うなら

           「スイミー」や「フレデリック」などのすてきな絵本でお馴染みのレオ・レオニ

           だってそう。過酷そのものの時代を超えてきたからこその、優しさでしょうか。

           
          
           彼の絵本のうち日本で一番人気のある「ともだちDie Freunde」は「ビーバ」より

           さらにまったりした読み心地の絵本です。おんどりのチャーリーとネズミの

           ジョニーとぶたのパーシーは、大の仲良し。鬼ごっこをしたり、釣りをしたり、

           一日中愉快に遊びます。ある日三匹はサイクリングに出かけました。何と愉

           快だったことでしょう!そこで三匹は夜も一緒に寝ることにしました。でもね、

           やっぱり自分のおうちでないと寝心地が悪いんです。そう、いくら親友だって、

           たまには一人がいいんです。明日また一緒に遊びましょう。

           この感じわかります、いくら仲の良い友だちだって、夫婦だって、いつもべった

           り一緒じゃね。  

             
             
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もみの木の運命

2014-12-09 10:40:31 | 絵本
             

             今年も12月がやってきて、例年のようにロイヤルコペンハーゲンの

             イヤープレートを買いました。今年の絵柄は、お母さんが二人の子

             どもと暖炉の前に座っている、暖かいお部屋の光景です。ここ数年

             海辺の風景など、寒々した戸外の絵柄が多かったので、こういうほ

             んわかしたのが心温まります。無難といえば無難な絵柄ですが。

             

             別にキリスト教徒でない私も、リースやちっちゃなツリーを飾ります。

             緑と赤と金がとてもきれいなのでつい。クリスマスツリーの起源には

             いくつもの説があります。戦争の捕虜を樫の木に吊りしたとかいう残

             酷なものもあります。でも常緑樹に豊穣と平和を託したというのがい

             いですね。あちこちでツリーや電飾飾りがきれいな季節です。今スエ

             ーデンでノーベル章を受賞しようとしているお三方のの開発したLED

             のお陰でもありますね。

ちいさなもみのき (世界傑作絵本シリーズ―アメリカの絵本)
バーバラ クーニー,Margaret Wise Brown,Barbara Cooney,上条 由美子
福音館書店

         あす小学校へ絵本のよみきかせに行きますが、このところ毎年12月には

         マーガレット・ワイズ・ブラウンの古典的な絵本「小さなもみの木」を読み

         ます。ぽつんと寂しく立っていた小さなもみもの木が根ごと掘り起こされ、

         ある年、足の悪い男の子のお部屋に行ってクリスマス・ツリーになり、男の

         子を慰めます。春になるとまた元の場所に植えられ、毎年クリスマスになる

         と男の子のところに行きます。ところがある年、男の子のおとうさんはもみ

         の木を掘り起こしに来ませんでした。もみの木は寂しくてたまりません。

         でもその時、歌声が聞こえて来ました。足の悪かった男の子が歩けるよう

         になって、友だちと一緒にもみもの木のところにやってきたのです!

         

         しみじみした良いお話です。温かい気持ちになります。ところが、

もみの木 (国際アンデルセン賞受賞画家絵本シリーズ)
スベン・オットー,木村 由利子
ほるぷ出版

         アンデルセンの「もみの木」は違います。童話や昔話は「めでたし、めでたし」

         で終わることが多いのですが、アンデルセンの童話はそうではなく、なんだか

         やるせないほど悲しことがあります。人魚姫やマッチ売りの少女や赤い靴や。

         主人公が死んでしまうことも多いのです。このもみの木はクリスマスには大層

         華やかに飾られて得意満面ですが、次の日にはもう切り刻まれて薪になるの

         です!栄枯盛衰ということでしょうか。クリスマスのお話にしては悲しすぎます。

         こういうお話が多いのは、彼の貧しい幼年時代や、社会への失望や、持って

         生まれた心配性やらから来ているようです。でもこのお話は彼の名作の一つ

         として読み継がれています。子どもたちはこれを読んで何を感じるでしょうか?
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