キッチン・トランスレーターつれづれ日記

つれづれなるままに日々のよしなしごとを綴ります。本、風景や花や料理、愛犬の写真などをご紹介。

名月とスーパームーンと

2015-09-29 16:02:02 | 季節
             

             27日の昼間、空には分厚い雲がかかっているけれど、夜は晴れてくれる

             かな、なんて思っていたら、晴れてきましたね。

             

             まだ雲はあるけれど、前のブログに書いた枕草子の一節のように

             まさに「月のいとあかきおもてにうすき雲、あはれなり」。

             

             と思っていたら、雲がきれいに切れて「出た出た月が、まあるい

             まあるいまん丸い、盆のような月が」童謡のようなまん丸い月が

             くっきりと。良い仲秋の名月となりました。お月見は中国から来

             た行事のようですが、日本人はほんとに昔から月を愛でてきまし

             たね。童謡も俳句もたくさんあります。もののあはれを旨とする

             和歌は、完璧な円より、三日月を好んだようで、あまり詠まれな

             かったようですが。

                  名月や池をめぐりて夜もすがら       松尾芭蕉

             悲しい童謡もあります。「十五夜お月さん、かかさんに、わたしは

             も一度 会いたいな」この歌は野口雨情が、没落した知人の娘の

             ことを詩にしたものだそうです。お月さまに向かって訴えかける

             薄幸の少女、切ないですね。

             

             あくる28日のスーパームーンもきれいでしたね。月と地球が一番

             近づくので、月がとても大きく見えるのだそうですが、今年は雲も

             なくバッチリでした。美しかった。こんなお月さまには

                  名月をとってくれろと泣く子かな       小林一茶

             こんな句が似合うかな。
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仲秋の名月

2015-09-27 15:00:11 | 季節の花々
            

            春の沈丁花と同じく、秋の金木犀の香る今頃は一年で一番芳しい季節です。

            この時期になると、ああ又秋が来たなと、何故か物悲しいような、なつかし

            いような気分になります。そして以前に「金もくせい」という合唱組曲をコー

            ラスで歌ったのを思い出します。その何曲目かに「公園通りの金もくせい」

            というのがありました。「金木犀の香る道、時が逆さに流れだす、、、」

            毎年金木犀を見て、香りをかぐ度に、このフレーズを思い出します。

            

            お彼岸も過ぎて、そろそろ彼岸花は終わりですが、萩の花はまだ盛りです。

            

            赤い萩、白い萩、こんなふうに赤と白が混じった萩の花もあります。

            そういえば今夜は仲秋の名月、萩の花から「萩の月」というお菓子

            の連想で思い出しました。でも今空は厚い雲に覆われていますが。

                 

            紫式部の実もつややかな紫色になりました。紫式部のライバルの

            清少納言の「枕草子ニ五五段」に「月のいとあかきおもてにうすき

            雲、あはれなり」なんていうのがあります。もう少し晴れて、風流な

            薄雲のかかった名月が見られるといいのですが。     
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アルフレートと東京散策

2015-09-25 10:02:26 | 旅行
             

             前日のスカイツリー・ツアーに引き続き、翌日は夫も一緒に東京

             を散策しました。といっても、5時間ほどしかなかったので、ほん

             の狭い地域でしたが。アルフレートが泊まっていた東京駅八重洲

             口側のホテルから、皇居の二重橋へ行き、出光美術館へ寄り、築

             地でお昼ごはんを食べました。これが、なかなかに良いコースで

             したよ。宿泊ホテルの「八重桜の湯」というのは、その名の通り温

             泉が売リのホテルですが、アルフレートに言っても、ほとんど興味

             を示しませんでした。日本人だと、ぜひ湯に浸からなくちゃと言う気

             持ちになると思いますが、ドイツには温泉文化はありませんからね。

             

             東京駅を迂回して、丸の内側に出て、三菱一号館美術館のそば

             を通りました。明治の洋館風の美術館と後ろの超高層のビルの

             コントラストが圧巻です。これには、ドイツ人にも日本人も強い印

             象を与える組合わせです。

             

             

             皇居の二重橋の方まで、ぶらぶら歩いて行きました。この辺は

             誰にとっても、文句無しにフォトジェニックです。早朝の割には

             なかなかの人出でしたが、飛び交う言葉がほとんど中国語。写

             真を撮ってあげたのも、撮ってもらったのも中国人でした。昨日

             の浅草にもツカイツリーにも、ほんとに多くの中国人観光客がい

             ました。依然として中国の人々が世界中の旅行シーンを席巻して

             いるようです。

             

             二重橋から歩いてすぐの、帝国劇場の隣にある出光美術館

             立ち寄りました。扇の柄が一面に描かれた洒落たエレベーター

             で9階まで上ると、静かで心地よい空間が待っています。日本美

             術の美術館ですが、ルオーの常設展などもあります。売店でアル

             フレートが、北斎の波の絵と赤富士の絵を描いた棗の形の煎茶

             缶を買って、プレゼントしてくれました。嬉しい驚き!結構しまり

             屋の印象だったので。

             

             築地場外市場の大変な賑わいの中で、なんとかお店を見つけて

             お昼ごはんの海鮮丼を食べ、築地本願寺を通りぬけました。ここ

             は仏教のお寺ですが、建物がコンクリート造りで、インド風あるい

             はヒンドゥー風とでも言うのでしょうか、かなり特異です。内部も

             キリスト教会のように椅子が並び、パイプオルガンまであります。

             浄土真宗のお寺ですが、おしえを広めるために積極的にイベント

             などを行っているようです。その意味でもなかなかユニークです。

             

             築地の場外市場を出て、大通りの交差点まで出ると、ウソのよう

             に人の波が引きました。ここから、地下鉄で東京駅に戻りました。

             アウグスブルクには地下鉄がないので、面白かったようです。ドイ

             ツと日本のおのぼりさんが、東京の一隅をうろついた半日でした。
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アルフレートとはとバスツアー

2015-09-24 16:07:45 | 旅行
            

            秋晴れの日曜日、ドイツから来た友人とはとバスツアーに行きました。

            アウグスブルク在住のアルフレートとは40年ぶりの再開。ドイツ旅行の

            際に彼の家に泊めてもらった時以来です。当時は当然、彼はハンサム

            な若者でした。でも今は、、、。人は変わるもの。それはもちろん私にも

            言えることですが。

            

            はとバスは浅草とスカイツリーを巡る、外人客向けコースで、英語の

            ガイド付きでした。これはありがたかった。アルフレートは好奇心旺

            盛で、しかもドイツ人らしく理詰めに色々聞いてきますが、そんな質

            問に私がつたない英語で答えられるわけもなく、ましてや、彼の南ド

            イツ・アクセントのドイツ語が理解できるわけもなく。

            なにはともあれ、浅草は久しぶりだし、スカイツリーは初めてなので、

            楽しいツアーではありましたが、まあ、なんという混みよう!浅草寺

            の雷門前はまさに、芋の子を洗うようというより、立錐の余地もない

            有様でした。こんな恐ろしい人混みの中へ行ったのは久しぶりでした。

            アルフレートは結構平気なようで、阿鼻叫喚の中で浅草寺の歴史やら

            なにやら、頻りに尋ねてきます。おみくじを引いて、凶(bad luck)が

            出てちょっとへこんだようでしたが。

            

            

            スカイツリーも恐ろしく混んではいましたが、ここは1回にエレベ

            ーターが運べる人数があるので、浅草のような窒息するほどの

            混みようではありませんでした。

            

            350メートルの展望デッキからの眺めはさすが壮観。東京のものす

            ごい超大都市ぶりが衝撃的です。東京はいくら緑が多いと言っても、

            やはりここは巨大なコンクリート・ジャングル。人口27万人の南ドイツ

            の街から来たアルフレートにとってもかなり印象深かったようですが、

            心の底では、歴史的重みのあるケルンの大聖堂などのほうが、素晴

            らしいと思っていたかもしれません。礼儀正しい人だから、何も言い

            ませんでしたが。

            

            スカイツリー内は係員の制服から何から全部ハロウィーン仕様でした。

            カポチャは可愛いけど、係員の制服や帽子は取ってつけたようで、

            あまり感心しませんでした。

            

            次第に暗くなり、遥かに見える東京タワーの電飾がカラフルでとても

            きれいでした。
            
            

            地下に降りると634メートルを支える巨大なたくさんの柱が。人間って、

            日本人って、すごいですね。こんなめちゃくちゃ大きい物を作ってしま

            うのですから。今、国立競技場やなんかで、ごちゃごちゃ揉めている

            けれど、言いたいですね。日本人はやればできるって。人ごとみたい

            な言い方だけど。

            

            地下の壁の絵。道路や橋の上の車が絵の中で動いています。面白い!
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子規忌

2015-09-19 15:21:35 | 季節
             

             故郷から秋を風を運んでくれる奈良の二十世紀梨を、今年も弟夫婦が送っ

             てくれました。大ぶりで、みずみずしくて、ちょっともっちりした食感のとても

             甘い豊水や幸水とはまた違った味わいです。

             今日9月19日は子規忌、正岡子規が35年の短い生涯を終えた日です。

             子規といえば、柿の句が有名ですが、ここ川崎にも何度か訪れたようで

             その度に名産の梨の句を作っています。

                行く秋に梨並べたる在所かな

                川崎や梨を食い居る旅の人

                川崎や小店々々の梨子の山  など。

             食いしん坊だったらしい子規のことですから、食べ物の句はたくさんあり

             ますが、梨も好物の一つだったのでしょう。

             

             もちろん、子規といえばあの句を思い出します。

                柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺

             梨も柿も、故郷奈良と今住む川崎とどちらにも縁の深い日本の秋の実りです。

             柿に至っては、実はもちろん、その葉も昔からとても馴染みの深いものでした。

             

             

             山村のふるさとの食べ物としては唯一の名物と言えるでしょうか、鯖寿司を

             柿の葉で包んだ柿の葉寿司です。母や叔母のなつかしい味です。

                柿の葉に鮨を包める母系かな   岡本紗矢句集「向日葵の午後」より
             
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My Dear Old Sunny Home - 故郷の廃家

2015-09-17 16:49:02 | 季節の花々
              

              「夕空晴れて、秋風吹き、、、」今年はあまり残暑なしで、秋になって

              しまいました。でも、雨が多く、各地で洪水も起きて、今のところ夕空
           
              晴れてとは行きませんが。

              

              それでも、道端に彼岸花が激しい赤い彩りを添えています。

              

              葡萄も色づいてきました。

              

              夏の終わりの薔薇も咲いています。

              

              7、8月に花の咲いた瓢箪も今が実りの時期のようです。

              

              なっちゃんと散歩していると、この頃時々、この家は空き家か

              な?と思うような家に出会います。庭には色々な花が咲いて

              いるのですが、雨戸が締め切りで、どことなく荒れた感じが。

              この頃空き家が増加しているようですね。この辺りはまだまだ

              マンションが建ち、人口も増えていて、子供も多いのですが、
         
              それでも時々こんな家を見かけます。全国の空き家率は10パー

              セント以上だそうです。

              

              「故郷の廃家」という歌があります。「幾年ふるさと来てみれば、

              咲く花鳴く鳥そよぐ風、門辺の小川のささやきも、慣れにし昔に

              変わらねど、荒れたる我が家に、住む人たえてなく、、、」

              これが元歌My Dear old Sunny Homeだと、もっと物悲しい。

               Oh! I'm weeping,
               Lonely I must roam.
               Must I leave thee,
              Dear old sunny home?

              泣きながらさまよっているんです、故郷の懐かしい家の周りを。

              「ケンタッキーの我が家」や「峠の我が家」もよく似た歌詞の曲

              です。子どもたちが大きくなって、独立して、家を出て、故郷を出

              て行く。当たり前のことだけど、世の習いだけど、切ないですね。
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なっちゃん、エノコログサとたわむれる

2015-09-08 14:37:25 | 季節
              

              なっちゃんのお散歩にはいい季節になってきました。もっとも、ここのところ

              雨が多くてちょっと大変ですが。雨がやんだのを見計らって夕方の散歩に

              行きました。道端に生えているエノコログサに寄って行っては、匂いを嗅い

              で、おしっこを引っ掛けます。何度も繰り返すので、もうおしっこは出ていな

              いようなのですが。エノコログサは漢字で書くと狗尾草。犬のしっぽの草。

              「犬っころ草」から来ているようです。ネコジャラシとも言いますね。猫っぽい

              なっちゃんにはお似合いの草です。

                  良い秋や犬ころ草もころころと             小林一茶

              

              

              すずしい風に吹かれて、道の真中に座り込みです。いつものことですが。

              つんと顔をあげて「帰るもんですか!」と言っています。

              

              かと思うと、女の子座りで同情を引きます。「もうちょっとここにいたいの」

              

                どことなく鹿に似る犬秋うらら    岡本紗矢句集「向日葵の午後」より

              この頃やせたので、ますます上の句が真実味を帯びてきました。
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秋来ぬと、

2015-09-06 09:35:00 | 季節
             

             「秋来ぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞおどろかれぬる」 

                                             古今和歌集 藤原敏行

             9月に入り、この歌のように秋の風が涼しく感じられるようになりました。

             

             黄花コスモスや黄色い菊が秋の風情です。

             

             ご近所の畑でとれた色々な野菜・果物をいただきました。

             ナス、ピーマン、ミョウガ、イチジク、マスカット、、、。

             

             新鮮野菜の炒めもの、ローゼンタールの変形皿にのせてみました。

             和の食器はなかなか難しいのですが、洋皿はデザインの可愛い物

             が多く、値段もそう高くないものもあり、つい買ってしまい、戸棚にご

             そごそあります。使わなくっちゃ。

             

             ゴーヤもまだまだ採れるようで、これもたくさんいただきました。

             これはビレロイ&ボッホのお皿に盛りました。夏バテにはビタミンC! 
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ぞう列車がやってきた--どんな反戦の言葉より心に響く合唱

2015-09-01 09:59:16 | 世界
ぞうれっしゃがやってきた (絵本ノンフィクション 23)
箕田 源二郎
岩崎書店


           第二次大戦中、空襲で動物が逃げ出して、人を襲ったら大変だということで

           猛獣処分令が出されました。飼育員たちの必死の抵抗にもかかわらず、どこ

           の動物園でも、次々と動物が処分されていきました。名古屋の東山動物園

           でも、ライオンや熊や、罪もない動物が殺されて行きました。でも、ゾウだ

           けはと、園長さんを始めとして必死に守りぬきました。しかし十分な餌がな

           く、4頭のうち2頭が衰弱死。2頭が終戦まで何とか生き残りました。東京の子

           ども議会が、日本に2頭しか残っていないゾウを見たい、貸してくれないかと

           東山動物園に頼んできました。餌不足で衰弱してしかも高齢のゾウを東京に

           連れて行くのは不可能でした。そこで、人々と子どもたちの熱意と、国鉄の

           計らいで、子どもたちを乗せた列車がゾウに会いに行くことになったのです!

               

          この実話が本になり、それを元に合唱組曲が作られました。毎年いろいろな

          ところで上演され「ぞう列車」を専門に歌う合唱団もあります。           

              

          川崎でも、8月30日のかわさきの風コンサートで、上演され、息子と孫娘が

          出演しました。4、5歳の子どもから高齢の方まで幅広い人が出ていました。

          とても重い悲しい内容ですが、健気に一生懸命歌う子どもたちがいじらしく、

          大人たちの思いのこもった歌声が感動的で、涙なしには聴けませんでした。

          戦争は悲惨だ、二度と絶対にしてはならないと、百万回言うより、ずっと強

          いメッセージでした。多くの人々が犠牲になった戦争、何の罪もない動物た

          ちも犠牲になっていたのですね。
           
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