キッチン・トランスレーターつれづれ日記

つれづれなるままに日々のよしなしごとを綴ります。本、風景や花や料理、愛犬の写真などをご紹介。

夏の終わり

2012-08-31 09:38:00 | 地球
          

                 白い韮の花が咲き、

          

        意外と可憐な茗荷の花が夕日に照らされているのを見ると、夏が終わろう

        とする気配を感じなくもないのですが、まだまだ暑い日が続く今年の夏です。

          

        灼熱の赤の鶏頭は今が盛り。昨日8月30日、FMラジオでアナウンサーが

        「8月も今日で終わり、明日からいよいよ9月です」なんて言って、後で訂正

        が入りました。もう一日8月があるって。でもアナウンサーの気持、わかり

        ます。9月と呼ぶだけでも、少し涼しい気分になりますから。Try to Remember

         the Kind of Septemberですね。

          

          名前だけでも涼しい楚々とした秋海棠も咲いていますが。

            夏の終わり夏の終わりにはただ貴方に会いたくなるの

            いつかと同じ風吹き抜けるから    森山直太朗「夏の終わり」より
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フィデルマとカドフェル

2012-08-29 15:14:22 | 
修道女フィデルマの叡智 修道女フィデルマ短編集 (創元推理文庫)
甲斐 萬里江
東京創元社

       ピーター・トレメインの修道女フィデルマ・シリーズは数冊出ていますが、

       どれも手に汗握る時代浪漫活劇的推理小説です。時代背景やその頃のヨ

       ーロッパの状況、宗教事情がよくわかるし、神秘的で魔的なケルトの世界

       に足を踏み入れる一種の怖さとワクワク感があります。もっともキリスト教

       の教義に関する宗教論争を理解するのは、異教徒の私には少々荷が重く、

       適当に読み飛ばしていますが。

       紀元7世紀のアイルランド、美しい修道女フィデルマは国の上級法廷弁護士

       であり、モアン王の王妹でもあります。ラテン語、ギリシャ語は言うの及ばず、

       昔のケルトの言葉オガム文字なるものにまで通じている学識深く、才気煥発、

       俊敏かつ冷静沈着。要するにスーパーウーマンです。アイルランドは聖パト

       リックの布教以来、急速にキリスト教化しますが、ケルト的要素を多分に残

       した独自のキリスト教を形成しました。ローマやサクソンの国々と異なり、

       女性の社会的地位が高いのが特徴で、フィデルマが縦横無尽に活躍するの

       もこの時代のアイルランドでは、それほど奇異なことではなかったようです。

       
修道士カドフェル・シリーズ DVD-BOX
デレク・ジャコビ,グレアム・ヒークストン,ピーター・コブリー
日本クラウン

       こちらの修道士カドフェルのシリーズは12世紀、ウエールズに近いイングラン

       ドのシュルーズベリの大修道院が舞台です。十字軍にも参加し、波乱万丈の

       人生を送ってきたカドフェルが、修道院に入り、薬草造りに勤しむ傍ら、周囲

       で起こる難事件を経験と人間味あふれる叡智で、バッタバッタと解決します。

       これはもう何十冊も出ている大人気シリーズで、ドラマにもなっています。

       美貌のフィデルマとは違い、冴えない初老の修道士が主人公ですが、彼を

       取り巻く様々な人々の人間的な弱さや愚かしさ、また高貴さがユーモアを

       こめて描かれています。これもまた歴史娯楽推理小説ですが、フィデルマ

       の時代の5世紀も後のことで、ローマン・カトリックの影響がさらに浸透して

       いますが、ウェールズ地方には未だケルトの文化風習が色濃く残っている

       ようで、フィデルマものを読む時と同じ不思議な魅力を感じます。

       

       遠い異国の、時代も違い宗教にも馴染みのない土地の話に、どうしてこう

       も惹かれるのか?ピーター・トレメインとエリス・ピーターズという、キリスト

       第一の弟子ペテロに縁の名を持つ二人のケルト人作家の修道女、修道士

       を主人公とする小説は、今なぜか私の心を捉えて離しません。
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ベネチアン・グラス・ビーズ

2012-08-27 11:07:28 | アート
          

          箱根ガラスの森美術館。ベネチアン・ビーズ展をやっているというので

          行きました。夏休み最後の日曜日。道が混むのは分かっているので、

          朝6時に出発。東名の大和トンネル辺りは車が多いものの、さすがに

          渋滞とまではいかず、2時間あまりで箱根に到着。早朝出発正解!

          

          この美術館は何度か来ていますが、きれいなところです。小さな楕円形

          のガラスビーズを無数にぶら下げてカーテン状にしたアーチがすてき。

          透明のガラスビーズが日の光を受けると、プリズムのように、七色にキ

          ラキラ輝きます。

              

          

              

          ベネチアのものを中心に古代ローマ、アフリカのビーズのネックレスや

          装飾品、フランスやアメリカのビーズ刺繍のバッグ、洋服などたくさん

          展示されていました。

          

              

           ビーズ展なので、壺や皿やランプなどの数は少なめでしたが、

           ミルフィオリの壷やランプ、レース・ガラスのお皿などがと

           ても美しく、目の保養をしてきました。

              

          ガラスの葡萄型ランプ。ガラスってほんときれいなものです。ショップ

          では、ベネチアン・ガラスのグラスやコップやお皿、それにアクセサリー

          類が数も種類もふんだんに売られていましたが、やっぱり値段が高い!

          ベネチアの5、6倍はするように感じました。

              

          外に出ると、門のところにピンクの百日紅と黄色い真夏の薔薇が青い

          空に映えて、なんと美しい!時を経ても美しさを失わないガラスもす

          てきですが、夏のこのひとときの自然の輝きは何者にも代えがたい

          美しさです。
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早朝散歩

2012-08-25 09:51:57 | 季節の花々
         

         8月ももう終わりかけですが、まだまだ暑い暑い。それでも朝早く5時過ぎ

         になっちゃんの散歩の出かけると、さすがにちょっぴり秋の気配。涼しい風

         が吹いています。今鳴かないで何時鳴くとばかりにかしましい蝉の大合唱。

         なっちゃん、家を出たところでもう座り込みましたが、それでもその後は

         気の向くままにトコトコ歩いて、

         

         花魁草の咲く鈴木さんちの角を曲がり、急な階段を元気に駆け上がると、

         

         朝日が登る草地に出ます。黒ラブが元気に草地を走り回っていましたが、

         なっちゃんは、無関心にその横をトロトロ歩き、

         

           サボテンの小鉢を無数に並べた面白い家の前を通り過ぎ、

         

            建設中のマンションに通じる急階段を降り、

             

        赤い綺麗な縷紅草を右手に見ながら、住宅街を通りぬけ、もうすぐお家。

         

          もうこの頃には日が昇り、暑くなってきて、なっちゃんは息も絶え

          絶えで、ちょっと一休み。

             

         家に帰りつき、おみやげに貰ったリモンチェッロのイタリア長靴型

         ガラス瓶に、摘んできた秋の使者黄花コスモスを活けて、今日の

         朝散歩はおしまい。
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なっちゃん、またまた逃走!

2012-08-21 07:03:54 | ペット
           

           ゴミを出しに行こうと,玄関を開けたほんの一瞬の隙に、

           なっちゃん、先日の花火の夜についで、またまた逃走!

           今度は雷の音に驚いて。ベランダで洗濯物を干していた

           おとなりの奥さんが、すぐに走って追いかけてくれました。

           近くのセブンイレブンの前で座り込んでいたとか。だっこ

           して連れ帰ってくれました。申し訳ないことに服が毛だら

           け。まあ、体力はないので、遠くまで走れるとは思えませ

           んが、大通りに出て車に轢かれたらと、気が気ではなく。

           

           ほんとに、考えなしのお犬様です。雷がなっているのに、

           外に逃げるなんてね。「でも、怖かったんだもの。じっと

           していられなくて」

           

           反省してます?!

          

           「やれやれ、おうちがいちばん!」「じゃあ、にげるなよ!」
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だれが風を見たでしょう?

2012-08-20 10:57:46 | 
Sing-Song (Dover Children's Classics)
Christina G. Rossetti
Dover Publications

          Who has seen the wind?
          Neither I nor you:
          But when the leaves hang trembling
          The wind is passing thro'.

          Who has seen the wind?
          Neither you nor I:
          But when the trees bow down their heads
          The wind is passing by.      by Christina Rossetti

          だれが風をみたでしょう?
          ぼくもあなたも見やしない
          けれど木の葉をふるわせて
          風は通りぬけていく

          だれが風を見たでしょう?
          あなたもぼくも見やしない
          けれど木立が頭をさげて
          風は通りすぎていく         西条八十作詞 草川信作作曲

        この間、三菱一号館美術館にエドワード・バーン・ジョーンズ展を見に行き、

        その友人だったラファエル前派のダンテ・ゲィブリエル・ロセッティへ、そ

        の妹のクリスティーナ・ロセッティへと連想が広がり、久しぶりにクリスティ

        ーナ・ロセッティの詩を読みました。読んだというより歌ったという方がいい

        でしょうね。Sing-Songs A Nnursery Rhyme Book"歌いましょう 童謡集"で

        すから。「だれが風を見たでしょう」は西条八十の訳詩を見ると、たいてい

        の人は草川信作のメロディーも一緒に浮かんでくるのではないでしょうか。

        Sing-Songsにはマザーグースをもっとやさしくしたような、純粋で愛に満ち

        た短い童謡がたくさんあります。西条八十は金子みすゞをロセッティになぞ

        らえたそうですが、よく分かります。生きとし生けるもの、とくに小さいもの

        への深い愛情に満ちています。

          Hurt no living thing:
          Ladybird, nor butterfly,
          Nor moth with dusty wing,
          Nor cricket chirping cheerily,
          Nor grasshopper so light of leap,
          Nor dancing gnat, nor beetle fat,
          Nor harmless worms that creep.

          生き物を傷つけないで:
          てんとう虫、蝶々も
          汚い羽の蛾だって、
          楽しく歌うこうろぎも、
          ピョンと跳ぶばったも、
          踊りまわる蚊も、ぷっくりしたかぶと虫も、
          はいまわる悪さをしない虫たちも。      micchi拙訳

         

          What are heavy? sea-sand and sorrow:
          What are brief? to-day and to-morrow:
          What are frail? Spring blossoms and youth:
          What are deep? the ocean and truth.

          重いものはなに? 海の砂と悲しみ:
          短いものはなに? 今日と明日:
          儚いものはなに? 春の花と若さ:
          深いものはなに? 大海と真実。      micchi拙訳
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三菱一号館美術館

2012-08-18 18:09:19 | アート
          

         東京駅のすぐ近く、丸の内ブリックスクエアにある三菱一号館美術館の前

         庭です。暑い真昼、木々で覆われた柱からウォーターミストのシャワーが。

         涼しい!このミスト・シャワー、初めて出会ったのは十数年前カリフォルニ

         アのディズニーランドでした。今じゃ日本中どこでもありますね。

          

         この美術館は、明治中期に英国人建築家ジョサイア・コンドルが設計した

         三菱銀行の事務所だったビルを、かなり忠実に再建したものだそうです。

         いわばフィレンツェのウフィッツィ美術館の小型版、現代版といったところ

         でしょうか。中も当時の雰囲気そのままですが、さり気なくハイテクです。

              

         私の好きな英国ラファエル前派のエドワード・バーン・ジョーンズの展覧会

         が開かれているというので、行って来ました。中は以前の事務所の造りの

         まま再現されているので、小さい部屋を3階からへ1階くねくねと巡り歩いて、

         作品を見ていきます。他の美術館とはちょっと違う新鮮な感覚。たくさんの

         バーン・ジョーンズの作品が、テーマごとに分けてうまく展示されています。

         彼の絵は一見イタリア・ルネッサンス期の絵のように見えるものもありま

         すが、装飾性が強く、より幻想的かつ神秘的です。同時代のフランス印象

         派とは、かなり趣が違います。好みの分かれるところでしょう。

          

         建物のあるブリックスクエアは、ごく最近造られた人工的な空間ですが、

         とても上手に植物を使って、爽やかな憩いの場所になっていて、ベンチ

         でランチするサラリーマンやオフィスレディーがおおぜいいました。

          

         帰りはまたこの東京駅からJRで川崎へ。たまにしか行きませんが、毎回

         この近辺の垢ぬけさ具合に、完全にお上りさん状態になる私です。遠い

         ところから初めて来たように、ポカンと口を開けて建物や人々を見てし

         まいます。自分が住む下町で感じる日本のイメージとはかなり違うので。
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夏の花

2012-08-17 09:24:46 | 季節の花々
          

          ノウゼンカヅラは、どんなに暑くても平気とばかりに、力強く咲いている

          夏花のチャンピオン。凌霄花という漢字名も力強いですね。カヅラとい

          うからには蔓植物、だれにすがってでも、巻き付いてでも強く生きてい

          く、ふてぶてしくも、逞しい姿。好き嫌いが分かれそうな花ではあります。

         

         夾竹桃も強い花。よく高速道路沿いに植えられていて、排気ガスにも負

         けず鮮やかに咲いて、渋滞中にも目を楽しませてくれる感心な花です。

         

         夏水仙もまた真夏の一服の清涼剤。白やピンクのかわいい花ですが、

         冬の水仙より大ぶりで、おおらかな感じ。ヒガンバナ科の花だそうです。

         

         これはこの間軽井沢の白糸の滝に行く途中に見た花です。涼しい木陰の

         沢にたくさん咲いていました。何の花かしらと思っていたら、俳句の花の

         本に8月の花として出ていました。湿地や渓流に咲く釣船草という花のよ

         うです。花の形が船を吊り下げたように見えるのでこの名がついたとか。

            おほかたの露の吊船草破船           皆吉爽雨
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なつやさいのなつやすみ

2012-08-16 06:50:36 | 季節
なつやさいのなつやすみ
柿田 ゆかり
ひかりのくに


        野菜たちがいきいき夏休みを楽しんでいます。絵と文がベストマッチ!

        赤、緑、黄、紫。かぼちゃ、なす、とうもろこし、ゴーヤ、トマト、ピーマ

        ン、プチトマト。ユーモラスな力強い絵。

        「わーい、なつやすみ うれしいなっす」「あつくておいらクラクラだ」

        「コーンなひはおよぐにかぎる」「そうや!みんなプールにいこうや お

        よゴーヤ」というわけで、みんなでおけのプールへ。プチトマトくんは

        ころころうおよぎ、ピーマンくんはぷかぷかういて、きゅうりくんは

        きゅうるり、きゅうるり。そこへトマトくんが「ちょっトマットくれ!」

        カボチャくんが「カボジャバーン!」みんなザルのうえ。みんなでカラ

        オケたいかい。せみもいっしょに「ドレミーン、ミーン ミーン」

        そろそろひがくれる。よるになり、やさいたちはおいしいなつやさいカレー

        となつやさいサラダになりました。「さあ、みなさんたべてくやさーい」

        

          どーんとおおおきななつやさいカレーのおいしそうなこと!

          こういう「ことばあそび」の絵本がいつもつぼにはまります。

          なつやすみにはうってつけの楽しい絵本です。ことばあそび

          といえば、五味太郎さんのおとぼけ絵本もかかせませんね。

          ありました、ありました、夏の五味絵本が!

なつはぐんぐん―きせつのえほん (おひさまのほん)
五味 太郎
小学館

         
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ふるさとの山

2012-08-15 09:56:05 | 地球
          

          ふるさとの山にむかいて言うことなし
          ふるさとの山はありがたきかな          石川啄木

         毎年お盆の季節に山深いふるさとに帰って、緑濃い山々を仰ぎ見ると

         この詩を思い出します。もっとも私は

          石をもて追はるるごとく故郷を出でし悲しみ消ゆる時なし   石川啄木

         というような壮絶な体験を持ち、故郷に対して愛憎相半ばの啄木とは違い、

         別に追われた訳ではありませんが、若い時に出てしまったこともあり、あの

         空気の中には二度と戻れないという、何かしら複雑な気持ちもあります。

          

             けれど、咲き乱れる野辺の薄桃色の昼顔、

          

         ふっくり実った無花果などを見るにつけ、山に川に愛おしさを感じます。

          

         山深い私の実家に比べ、夫の方は、大和平野の真ん中、広々とした田畑の

         広がるところです。大津皇子の眠る二上山をはるかに望むと、古代の歴史

         が蘇ってくるような気がします。
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