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キッチン・トランスレーターつれづれ日記

つれづれなるままに日々のよしなしごとを綴ります。本、風景や花や料理、愛犬の写真などをご紹介。

秋晴れ

2013-11-22 14:52:29 | 絵本
            

            秋晴れの午前中、自転車で街を巡っていると、赤い実が目につきます。

            これはトキワサンザシ、ピラカンサとも呼ばれます。赤い実がびっしりつい

            た小鳥が喜びそうな木です。春には白いかわいい花が咲きます。サンザ

            シの英語の別名はmayflowerですね。春も秋も目を楽しませてくれます。

                

            先日那須の道の駅で買ってきたガマズミもまだ元気です。それに

            しても、秋になるといろいろな実がほんとに真っ赤になりますね。

            

            サザンカももうあちこちで咲いています。あと10日もすれば12月です。

            

            道ばたに葉が半分茶色くなった、お世辞にも格好良いとはいえない

            木がぽつんと生えていました。木の種類に詳しくない私には落葉樹

            だということぐらいしかわからなかったのですが、

            

            クヌギの木、横に説明書きがありました。丹沢の山のドングリさんでした。

            川崎のこの地で芽生えてから20年、大きくなりましたね。そう言われてみ

            ると、細いモシャモシャの葉っぱもなにやら健気に見えてきます。

            去年の今頃亡くなった母が、晩年に好んで読んでた本を思い出しました。

            
山のごちそう どんぐりの木 (絵本 気になる日本の木シリーズ)
川上 和生
理論社

            この「気になる日本の木シリーズ」の本は「杉」、「桜」もありますが

            どれも、吉野の山里で育った母のお気に入りでした。なつかしいクヌ

            ギの木に母を懐かしんだひとときでした。
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アフリカから、ネットから

2013-10-24 09:05:44 | 絵本
              

              南アフリカヘ旅行に行った友人が、すてきなネックレスのお土産を

              くれました。赤色が鮮やかです。シンプルなネックレスですが、ど

              ことなく日本のものともヨーロッパのものとも違う香りがします。

              

              ネット・オークションで透明なガラスのペンダントトップ15個を300円

              ほどで手にいれました。直径2センチから4センチ。星型、円型、ハー

              ト型、四角形、創作意欲がわきます。

              

              大きな四角いヘッドを中心に爽やかなペンダントを作りました。材料

              費が200円ほど(小さなビーズのほうが高い)とは思えないでしょう?

              

              

              星形、チョウチョ形のヘッドのも作りました。なかなか可愛く出来上

              がりました。アフリカからネットから、色々な美しいものがわが家へ

              やってくる、グローバル化やインターネットの功罪はともかく、ある

              意味面白い時代です。
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レイク・カーロイのほのぼの世界

2013-09-14 15:21:22 | 絵本
犬のラブダとまあるい花
レイク カーロイ,B´alint ´Agnes,Reich K´aroly,うちかわ かずみ
冨山房インターナショナル


          「犬のラプダとまあるい花」はハンガリーの絵本です。

          犬のラブダはチビという名前だったけど、年寄りになったのでラブダという

          名前に変えました。ラブダロージャ(手まりカンボク)というまあるい花が咲

          く庭に住んでいるからです。もう目も良く見えないし、動くとすぐ疲れるけれ

          ど、やかましやのニワトリおばさんや、黒猫のシドルや、ちょっと怠け者の

          女の子のバルバラや、自動車の好きな男の子アダムや、子犬のパチと遊

          びながら、のんきな隠居生活を送っています。

          

          主人公が元気な子犬や、強い成犬じゃなくて、よぼよぼの老犬なのがおもし

          ろく、健気な犬の話でも、お涙頂戴でもないお話なのもいい感じです。

          ブランコをゆすったり、おいしいおやつにありついてうれしがったりしている

          だけなのに、読んでいると、なんだかラブダがとても充実した生活を送って

          いるふうに見えてきます。こんなに楽しい一日を近頃送ったことがあるかし

          ら、なんて考えさせられます。ゆったりした文と、のんきで愉快なクレヨン画

          風の絵の組み合わせが絶妙なんです。まあるい花の下で、ハンモックにゆ

          られているラブダを見ていると、幸せな気持ちになります。幸せな気持ち

          にしてくれる本というのは、そうはありません。得難い本です。

もりのたいしょうは はりねずみ
レイク・カーロイ,うちかわ かずみ
偕成社

          レイク・カーロイの絵は、へたうまというのでしょうか、一見子どもが書いた

          ように見えます。でもその想像力、造形力、色使い、だたものではありませ

          んそれもそのはず、彼はハンガリーの国民的な画家なんです。

3びきのうさぎ
レイク カーロイ,Zelk Zolt´an,Reich K´aroly,マンディ・ハシモト レナ
文溪堂


          ハンガリーの民話を元にしたこの「3びきのうさぎ」は、日本の「カチカチ山」

          を連想させる、かしこいうさぎの話です。得意げなうさぎたちの顔が笑いを

          誘います。
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トミ・ウンゲラーの奇想天外な世界

2013-09-03 10:57:11 | 絵本
カッチェン―ウンゲラーのねこワールド
Tomi Ungerer
BL出版

         トミ・ウンゲラーは日本では主に絵本作家として知られています。でも、この

         100ページ近い猫のイラスト集を見るとわかります。一筋縄で行く人ではあり

         ません。様々にデフォルメされた猫、猫、猫。ユーモラスなの、ブラックなの、

         エログロ、奇抜、暗示的。かなり強烈な作風の日本の漫画家武田秀雄(大英

         博物館で個展を開いた世界初の漫画家らしい)と二人展を開いたというので

         もわかります。風刺画家、コピーライター、絵本作家、愛猫家、色々な顔を持

         っています。

フリックス
Tomi Ungerer,今江 祥智
BL出版

         彼の絵本も、蛇や蛸やちょっと普通は絵本の主人公になりにくい動物が活躍

         します。このフリックスは犬ですが、普通の犬ではありません。猫の夫婦から

         生まれたパグなんです!もちろん猫社会ではいじめられます。猫でもない、犬

         でもない、自分のアイデンティティの問題は、彼の生い立ちにあるのでしょう。

         彼の故郷フランンスのアルザスは、彼が生まれた頃はドイツに併合されていま

         した。彼はフランス人ですが、作品はすべてドイツ語で書かれています。アメ

         リカで活躍し今はアイルランドに住んでいるようですが、自分がいったい何者

         で、どこに帰属するのかという問題が、作品の根底にあるような気がします。

へびのクリクター
中野 完二
文化出版局

         でもね、その世界で異質でも、嫌われ者でも、ウンゲラーの絵本の主人公たち

         には、逆境をはね返すガッツと明るさがあります。猫夫婦の間に生まれたフリ

         ックスは、猫社会と犬社会の架け橋として成功するし、この蛇のクリクターく

         んも、くねくねした長い体を活かして、人気者になります。逆に言えば、異質の

         ものを受け入れる度量のある大らかな社会を願って、ウンゲラーは変わった

         主人公の絵本を書き続けているのかもしれません。

すてきな三にんぐみ
いまえ よしとも
偕成社

         日本で一番人気の彼の絵本「すてきな三にんぐみ」は、社会からドロップア

         ウトした泥棒三人組が、孤児救済に精を出すというちょっと皮肉の効いた、

         ウンゲラーらしいシュールな絵の絵本です。       
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こまった鳥の木

2013-08-26 11:08:26 | 絵本
Tree of Birds
Susan Meddaugh
Houghton Mifflin (Juv)

              近所の図書館の片隅に、リサイクル本というコーナーがあって、ダン

              ボールの箱に種々雑多な本が詰め込まれ「ご自由にお持ちください」

              と書かれています。時々おやっと思うような良い本があるんです。

              この本もそう。邦訳の題名を「こまった鳥の木」というユーモラスな

              絵本です。まさに掘り出し物でした。
      
              

              ある日ハリーは交通事故にあった鳥を家に連れて帰り、看病します。

              サリーと名づけたその鳥は、鳥類図鑑で調べると「グリーン・タフト・

              トロピカル」という渡り鳥のようです。

              

              秋になって、木の葉が落ち始めたのに、一本の木だけ緑色です。

              サリーの仲間がサリーを連れ戻そうやってきたようです。ハリー

              が学校へ行くと、鳥たちもついてきます。一日中ハリーの家を監

              視しています。

              

              だんだん寒くなってきて、冷たい雨が降っても、鳥たちは我慢強く

              ハリーの家を見張っています。もうそろそろ南に飛んで行かないと。

              

              とうとう「明日は大雪、大型の冬の嵐が接近中」と言う天気予報が。

              緑色の鳥たちは凍えて青くなりました。それでも飛んでいこうとし

              ません。「わかったよ、負けたよ。サリーを返してやるよ」と窓を

              開けた途端、

              

              「うわあ、みんな入ってきちゃった!」

              

              ヒッチコックの「鳥」のほのぼの絵本版とでもいいましょうか?

              いい子いい子の絵本じゃなくて、ちょっとひねったユーモアが良

              い味です。ハリーを非難するように見つめるグリーン・タフト・

              トロピカルたちの表情が笑えます。         
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やなぎむらのおはなし

2013-07-21 16:04:35 | 絵本
ほたるホテル―やなぎむらのおはなし (こどものとも傑作集)
カズコ・G. ストーン
福音館書店

         「おおきな おおきな やなぎの きの したに、ちいさな ちいさな むら

         がありました。その むらは やなぎむらと いいました。」こんなひらがな

         の分かち書きの紹介で始まる、カズコ・G・ストーンさんの「やなぎむらの

         おはなし」シリースは4冊あります。それから、おとなりの「しげみむら」

         のお話も1冊あります。

しげみむら おいしいむら―やなぎむらのおはなし (こどものとも傑作集)
カズコ・G. ストーン
福音館書店

         登場人物はアリやクモやトンボなど昆虫たち、そこにカタツムリやトカゲなど

         小さい動物も加わります。カズコさん、大の昆虫好きで、今住んでいるアメリ

         カへ行った時、知らない昆虫に会えるかと期待して行ったら、全然昆虫がい

         なくてがっかりしたとか。多雨で緑の多い日本は昆虫の宝庫のようです。

きんいろあらし―やなぎむらのおはなし (こどものとも傑作集)
カズコ・G・ストーン
福音館書店

        ほとんどのページが草原や草花で埋めつくされ、その中に小さな昆虫たちが

        かわいらしくもいきいきと描かれています。たまにわがままなやつもいるけ

        れど、みんなとても仲良し。それそれが自分の得意なことを生かして、協力

        して生活しています。たとえばクモは糸でベッドを作る、トンボはお手紙を

        届ける、ハチは蜜を集める。何もしないようなカタツムリでさえ、ぬるぬるし

        た足跡を残して、帰り道を教える。嵐が来てもみんなの知恵で切り抜けます。

        理想郷ですね。ちょっと住んでみたいな。

サラダとまほうのおみせ―やなぎむらのおはなし (こどものとも傑作集)
Kazuko G.Stone
福音館書店

        絵本なので、擬人化されていて、昆虫たちがパーティーを開いたり、ホテルを経

        営したりしますが、そこは昆虫に詳しいカズコさん、昆虫の生態をさり気なく教

        えてくれます。チョウチョの羽化や、冬ごもりや。

ふわふわふとん―やなぎむらのおはなし (こどものとも傑作集)
Kazuko G. Stone
福音館書店

        やなぎむらの冬を描いた「ふわふわふとん」は他の緑の4冊に比べて、背景が白

        い雪で、また格別の美しさがあります。昆虫たちはガガイモの大きな種を見つけ、

        中に詰まっていたふわふわの綿毛に大喜び。この布団にくるまれば、寒い冬も

        へっちゃらです。このガガイモというの、なかなか面白い植物です。夏の季語に

        なっているくらい日本でもおなじみで、神話では、オオクニヌシノミコトを助け

        るために、ガガイモの種を2つに割って作った船に乗りスクナヒコノミコト(一寸

        法師の起源らしい)が天からやって来たことになっています。やなぎむらから古

        代神話にまで空想が広がります。絵本は楽しいね。
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オレンジ色のペンギン

2013-06-22 15:33:23 | 絵本
            

            どのページにも青い空と灰色の砂、青い海と灰色の砂、

            そこに豆粒みたいな黒いひょうと豆粒みたいな白い少年。

            空は悲しいほど澄んだ青で、砂は何の汚れもない灰色の砂。

            そんな広い静かな世界の豆粒みたいなひょうと少年が、な

            んと心に迫ってくること。少年の憧れが痛いほど感じられる、

            不思議な絵本です。

イルカの星
葉 祥明
佼成出版社

オレンジいろのペンギン
葉 祥明
佼成出版社


           葉祥明さんの絵本の青はほんとうに美しい。昼間の空の青も、

           夜の空の藍色も、深い海の紺色も。この「オレンジいろのペン

           ギン」もすべてのページのほとんどの部分が青と白。その中の

           オレンジ色の小さいペンギンがとても温かい。みんなと違うオレ

           ンジ色だからって、仲間はずれになんかされません。違うってい

           うことは素敵なことなんですから。作者の温かい優しい心がペー

           ジいっぱいの青や白や灰色やオレンジ色から伝わってきます。

あのひのこと――Remember March 11,2011
葉祥明 絵・文
佼成出版社
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六月の楽しみ

2013-06-15 10:25:28 | 絵本
             

             毎年6月の初め、柿の若葉が少ししっかりしてきた頃、つやつやした柿の葉

             に包んだ柿の葉寿司を作るのが、私のふるさと奈良の吉野の風習でした。

             塩さばをそぎ切りにして握り寿司を作り、柿の葉でくるんで、専用の木箱

             に何重にも並べ入れ、ふたをして重しの石を置きます。いわゆる押し寿司

             で、保存食。今では各家庭ではあまり作らないようですが、専門のお店が

             たくさんあります。少しずつ味が違って食べ比べると楽しいのですが、や

             はり昔から食べ慣れている、実家の近くのお店のが一番美味しく感じます。

             弟が送ってくれました。6月1日に解禁になる吉野川の鮎とこの柿の葉寿

             司を食べると、ああ今年もそろそろ夏がくるなと思ったのを覚えています。

             

             この頃になると、村のお寺の夏ツバキも咲きはじめていたような。別名

             沙羅双樹、お寺には相応しい木です。クリーム色の清楚な花を思い出す

             と、懐かしくなります。

             

             

             オレンジ色の百合や黄色い未央柳も盛りです。雨に濡れる花々の可憐な

             風情に、梅雨もいいなと思うこのごろです。
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一番の宝物

2013-03-12 11:45:17 | 絵本
             

         魔女の国の新しい女王を決めるため、コンテストをすることになりました。

         一番素晴らしい宝物を見つけてきた魔女が新しい女王に選ばれるのです。

         小さな魔女ティベリアはカラスのエミリオをお供に出かけますが、宝探し

         はそっちのけ、途中で出会ったクジラと友だちになりたくて、南極海まで追

         いかけて行きます。そして空をとぶ呪文をクジラにかけて、はるばる魔女

         の国へクジラを連れて帰ってきます。魔女たちは宝石や織物や、色々なす

         ばらしい宝物を持って帰ってきましたが、新しい女王に選ばれたのは、ティ

         ベリアでした。だって友達というお金では買えない一番の宝物を持ってき

         たのですから。

        「そらをとんだくじら」という題名で訳本が出ているThe Greatest Treasureは、

        かわいらしい絵のほのぼのとしたお話です。本年度最後の小学1年生の読み聞

        かせにこれを選びました。教訓的でなく、友だちっていいなって素直に読み取れ

        る本です。結構字数の多い絵本ですが、独特の色彩と、クジラや子ども魔女がと

        てもチャーミングでファンタジーに溢れているためでしょうか、みんなとても静か

        に聞き入っていました。アルカディオ・ロバトは日本ではそう有名な絵本作家で

        はありませんが、愛おしくなるようなほのぼのとした絵と温かい文章が秀逸です。    

仙人のおくりもの (ともだちだいすき)
渡辺 享子
童心社
わたしの庭のバラの花
アーノルド ローベル,Arnold Lobel,Anita Lobel,松井 るり子
セーラー出版

         他にも、韓国民話をもとにした「仙人のおくりもの」、積替せね歌型で、庭の

         花がどんどん増えていく「わたしの庭のバラの花」を読みました。「仙人のお

         くりもの」には鳳仙花が、「わたしの庭のバラの花」には薔薇、向日葵など13

         種類ものきれいな花が出てきます。そして、

             

         子どもたちからは、1年間お話を読んでくれたお礼にと、こんなきれいなラナン

         キュラス-花金鳳花をプレゼントされました。花いっぱいの春がやってきます。
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絵本のくまさん

2013-02-22 09:04:58 | 絵本
100ぴきのくまさん (おはなしチャイルドリクエストシリーズ)
若菜 珪
チャイルド本社

        読み聞かせの会で、この「100ぴきのくまさん」を初めて知ったのですが、絵が

        あまりにもチャーミングで惹きつけられました。

        くまの子どもが、風邪を引いたおじいさんのために町へ薬を買いに行くのですが、

        猟師がそれを見ていて、帰ってきた時に撃ってやろうと思います。くまの子は、

        おじいさんを心配する大勢の子どもたちと一緒に薬を買って戻ってきます。み

        のかさをつけた子どもたちが、みんなくまだと思った猟師は怖くなって逃げて

        いきます。

        何だか理不尽な話でしすよね。絵本にしても。くまの子といっても、人間の子と

        同じに、お話もできるし、おじいさん思いです。それなのに、くまだったら、鉄

        砲で撃って、熊汁にしてしまうつもりなんです。絵本ならでこその矛盾といって

        しまえばそれまでですが、人間の思い上がりのようなものが見えませんか?

        絵があまりに可愛いので、最初はとても惹かれたのですが、よくよく考えると、

        複雑な気持ちになる絵本です。

クマのプーさん (岩波少年文庫 (008))
E.H.シェパード,Alan Alexander Milne,Ernest Howard Shepard,石井 桃子
岩波書店

        絵本には熊がとても良く出てきます。これほど現実の存在とお話の中の存在が

        かけ離れた動物もいないかも知れません。現実のくまさんは結構やっかいがられ

        ています。森や山で出会ったら、可愛いなんて言っていられません。結局人間の

        側の都合でということですが。

3びきのくま―イギリス民話より
たちもと みちこ
ブロンズ新社

        おなじみの童話「3びきのくま」は、イギリスの民話で、トルストイが

        再話したことで有名ですが、20世紀初頭に作られたこの絵本の挿絵は、

        ものすごくリアルで、三匹の熊は獰猛そのもの、森でこんな熊に会った

        ら大慌てで逃げるか、死んだふりをするか。くまの家のおかゆを食べて

        くまの家のベッドで寝た主人公のゴルデロックスも、結局追いかけられ

        命からがら逃げていくのですが、もし捕まっていたら、なんて考えるの

        は絵本の読み方じゃないですよね。もっとも、絵本からは少し離れます

        が、「本当は怖いグリム童話」なんていうのがあるように、民話はハッピー

        ハッピーだけで終わらない、人間動物その他も諸々森羅万象の奥深さ

        を表す凄みみたいなものを持っていることがありますからね。 
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