【Live Information】
メリル・ストリープの素晴らしい演技で知られる『プラダを着た悪魔』。
この映画のオープニングは、ニューヨークの最前線で働くキャリア・ウーマンたちの、身支度を整えるシーンです。
ハードな一日に備え、朝起きて身にまとう服は、まさに「戦闘服」。
生き馬の目を抜く街とも言われるニューヨークで生きている女性たちは、着替えの時でさえアグレッシブです。
そんな場面で軽快に、そして生き生きと流れる曲が、KTタンストールの「サドゥンリー・アイ・シー」です。
KTタンストール
この曲は、2004年にリリースされたKTタンストールのデビュー・アルバム『アイ・トゥ・ザ・テレスコープ』に収録されており、同年8月にこのアルバムからのサード・シングルとしてリリースされました。
翌2006年6月に公開された映画『プラダを着た悪魔』ではオープニングに起用され、映画のヒットとともに彼女の評価をいっそう高めました。
KTはこの曲で、2006年のアイヴァー・ノヴェロ賞の最優秀ソング部門を受賞しました。
パンク・ロック黎明期に出現したパティ・スミスは、1977年にデビュー・アルバム「ホーセス」を発表しました。
「ホーセス」は絶賛され、それによってパティは「パンクの女王」と呼ばれるようになります。
「ホーセス」のアルバム・ジャケットには、ロバート・メイプルソープが撮影したパティの有名な白黒写真が使われていますが、この写真に感銘を受けたKTが書いた曲が「サドゥンリー・アイ・シー」なのです。
パティ・スミス「ホーセス」
歌詞には、美しさと大きな存在感を持つ女性を見て、「これが私のなりたい姿」だと突然悟った、ひとりの女性の心境が表されてます。
自分を変え、人生を変えていこうと未来に立ち向かっている女性たちにとっては、とても心強いメッセージなのではないでしょうか。
心もち歪ませたグルーヴィーなギターのカッティングと軽快なリズムは、たちまちテンションを上げてくれます。
KTの歌声には、自然な「伝えたい思い」が満ちているように感じます。同時に、優しくて、甘い。
ポップ・ロックのエッセンスが詰まったようなメロディーは、フレンドリーでほんの少しセンチメンタル。そのブレンド具合がなんともいえず温かくて、慌ただしく時間に追われていつの間にか何かを感じる力が鈍っている自分の心に響きます。
『プラダを着た悪魔』は、ぼくの好きな映画のひとつです。
なんといっても、エンディングで一瞬だけ見せるメリル・ストリープの微かな笑み、これを観るだけでも価値があると思います。
「サドゥンリー・アイ・シー」は、『プラダを着た悪魔』のほかにも、テレビ・ドラマ『アグリー・ベティ』の主題歌としても使われています。
ちなみにKTは、この曲でドラムを担当しているルーク・バレンと2008年に結婚(2013年離婚)しています。
<歌 詞>
<訳 詞>
◆サドゥンリー・アイ・シー/Suddenly I See
■シングル・リリース
2005年8月29日
■歌・演奏
KTタンストール/KT Tunstall
■作詞・作曲
KTタンストール/KT Tunstall
■プロデュース
スティーヴ・オズボーン/Steve Osborne
■録音メンバー
KTタンストール/KT Tunstall(vocal, guitar, Synthesizer-bass, percussions)
ルーク・バレン/Luke Bullen(drums, percussions)
■収録アルバム
アイ・トゥ・ザ・テレスコープ(2004年)/Eye to the Telescope
■チャート最高位
2005年週間シングル・チャート アメリカ(ビルボード)21位 イギリス12位
2005年年間シングル・チャート イギリス69位
『プラダを着た悪魔』オープニング
2010.3.26 Live at 9:30 Club, Washington D.C.
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