ある音楽人的日乗

「音楽はまさに人生そのもの」。ジャズ・バー店主、認定心理カウンセラー、ベーシスト皆木秀樹のあれこれ

僕の瞳に小さな太陽

2021年01月17日 | 名曲

【Live Information】


稀代のソング・ライター、エルトン・ジョン。
リリースしたシングルとアルバムの総売り上げ枚数は、実に3億枚にも達しているそうです。
作曲、歌、ピアノ、どれをとっても素晴らしいエルトンが唯一手を染めていないのが、作詞です。
エルトンの音楽生活の大半で歌詞を担当しているのが、デビュー前から苦楽を共にしてきたバーニー・トーピン。
バーニーとエルトンは、ジョン・レノン&ポール・マッカートニーやジェリー・ゴフィン&キャロル・キング、あるいはミック・ジャガー&キース・リチャーズらと並び称される、作詞作曲の黄金バッテリーと言えるでしょう。


バーニーとエルトンは、出会ってすぐに互いの才能を認め合うようになります。また良き友人同士ともなりました。いわば、『盟友』と言える関係だったんですね。
ただエルトンがミュージシャンとして成功し、多忙になるにしたがって、人間関係や音楽制作、価値観のずれなどに疲弊し、ドラッグやアルコールに依存し、蝕まれるようになります。
その結果、1976年に発表したアルバム「蒼い肖像」をひとつの区切りとして、いったんバーニーとのコンビを解消します。



エルトン・ジョン(左)とバーニー・トーピン


それまでにもバーニーは、荒れてゆくエルトンを友人として放ってはおけなかったのでしょう、エルトンへのメッセージを込めているとも思える歌詞をいくつか書いています。
つまり、バーニーの書く歌詞は、「エルトンへの手紙」という意味もあったのかもしれないですね。
コンビを組んだころ、バーニーが量産する歌詞を読んで、ひらめくものや感じるものがあれば片っ端から曲をつけていったエルトンが、バーニーから送られてきた歌詞に何も感じなかったはずはないと思うんですけどね。


「僕の瞳に小さな太陽」の歌詞も、何らかの思いを込めているのかなあ、と思ったりします。
イギリスらしい格調の高さがある、文学的かつ哲学的な香りのするバーニーの歌詞に、ドラマチックなエルトンの曲が実にしっくりと合っています。
ゴスペル風でもあり、ソウル・ミュージックの雰囲気もある、ダイナミックなメロディ。
ホーンとストリングスを効果的に使った壮大なアレンジ。
「この曲を歌いこなせるようになって、ボーカリストとしての自信が出てきた」と自ら述べているだけあって、心を動かさずにはいられなくなる熱のこもった歌唱。
エルトンが書いた数多くの曲の中で、ぼくがとても好きなもののひとつです。





レコーディングは、デイヴィー・ジョンストン、ディー・マレイ、ナイジェル・オルソン、レイ・クーパーからなる、エルトン・ジョン・バンドによるものです。
長年おなじメンバーで録音、演奏を続けている、息ピッタリの黄金メンバーです。(ベースのディー・マレイは1992年に死去)
バック・コーラスにはビーチ・ボーイズのカール・ウィルソンとブルース・ジョンストン、キャプテン&テニールのトニー・テニールが参加していることでも知られています。


「僕の瞳に小さな太陽」は、ジョージ・マイケル(元ワム)とのデュオで1991年に再び発表、全米・全英ともにヒット・チャートの1位となりました。



【歌 詞】

【大 意】
僕は君の闇をこれ以上照らすことができない
僕の写真はみんな色あせ、白黒になってしまった
僕は疲れてしまい、時も僕の前では立ち尽くしているかのよう
人生の途中、僕はここで凍えている

僕が堕ちていくのを救うには手遅れ
僕は君の人生を変えてみた
でも君は僕に会って僕の気持ちを誤解してしまった
そして扉を閉ざしてしまったから
僕はなにも見えなくなくなってしまった

太陽を沈ませないで
自分を探し求めても見えるのは他人だけ
君の残りの人生は自由にすればいい
でも全てを失うのは太陽が沈むようなもの

ロマンティックな台詞が見つからない
でも一度僕をよく見て僕の気持ちを感じてくれ
君への悪意があるなんて想像して僕を捨てないでくれ
僕のこの傷が癒えるには愛が必要なんだ



◆僕の瞳に小さな太陽/Don't Let The Sun Go Down On Me
  ■歌・演奏

    エルトン・ジョン/Elton John
  ■シングル・リリース
    1974年5月20日
  ■作詞
    バーニー・トーピン/Bernie Taupin
  ■作曲
    エルトン・ジョン/Elton John
  ■プロデュース
    ガス・ダッジョン/Gus Dudgeon
  ■録音メンバー
    エルトン・ジョン/Elton John(piano, organ, vocals)
    デイヴィー・ジョンストン/Davey Johnstone(electric-guitar, acoustic-guitar)
    ディー・マレイ/Dee Murray(bass)
    ナイジェル・オルソン/Nigel Olsson(drums)
    レイ・クーパー/Ray Cooper(tambourine, bells)
    デヴィッド・ヘンツェル/David Hentschel (mellotron)
    カール・ウィルソン/Carl Wilson(backing-vocals)
    ブルース・ジョンストン/Bruce Johnston(backing-vocals)
    ビリー・ヒンシ/Billy Hinsche(backing-vocals)
    トニー・テニール/Toni Tennille(backing-vocals)
  ■収録アルバム
    カリブ/Caribou(1974年)    
  ■チャート最高位
   ☆オリジナル・バージョン(エルトン・ジョン)

    1974年週間チャート アメリカ(ビルボード)2位、イギリス16位
    1974年年間チャート アメリカ(ビルボード)78位
   ☆ジョージ・マイケル & エルトン・ジョン バージョン
    1992年週間チャート アメリカ(ビルボード)1位、イギリス1位
    1992年年間チャート アメリカ(ビルボード)26位、イギリス15位











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