ある音楽人的日乗

「音楽はまさに人生そのもの」。ジャズ・バー店主、認定心理カウンセラー、ベーシスト皆木秀樹のあれこれ

マイ・ファニー・ヴァレンタイン (My Funny Valentine)

2006年02月14日 | 名曲

                       ♫映画「恋のゆくえ」で、「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」をはじめとして、ステキな歌声を聴かせてくれるミシェル・ファイファー。
 

 

 ヴァレンタイン・デーにはとくに楽しい思い出はないです。
 学生時代、2月13日には、「明日は歯医者を予約しておいたぜ!」とか「明日は(チョコを入れる)段ボール箱を持ってこなくちゃな~」などと豪語していたものでした。言うのはタダですから・・・。(笑)
 そして2月14日の朝は、いくばくかの期待を抱いて家を出るんですよ。でも夕方にはたいてい肩を落としてトボトボと家路につくのです。そして枕をソッと濡らす・・・(笑)。


 自分に彼女がいない状態の時には、「もしかして誰かが想いを寄せてくれているかもしれないな~」なんてワクワクドキドキしてしまいますよね。その気分がまた「青春」だったりするんです。1年のうちの2月14日くらいはその程度の妄想、アワワ、期待を抱いても許されるでしょ?
 で、ヴァレンタイン・デー当日の夕方にはあえなく轟沈・・・


 たしか高校1年のヴァレンタイン・デーだったかなあ、教室の教卓上に貼られている座席表の、チョコを貰えた男子の席の部分に、女子の誰かがラインマーカーで色を塗っていくんです。
 休み時間がくるたびに、教室にはよそのクラスの女子(たいていふたり連れなんですよね)がやって来て、誰かを呼び出すんですね。呼ばれたヤツが戻って来た時には、必ず包みを持っている。そして座席表が歓声とともに、ひとマスまたひとマスと塗られてゆく・・・。とくにその時のクラスは、呼ばれて出て行く男子がとても多かったので、「そろそろオレの番かな~」、と少なからず期待を抱いてしまったのがマチガイでした。
 3時間目が終わり、4時間目が終わり、昼休みが終わり、そして6時間目が終わっても誰もぼくを呼びに来てくれなかったもんな~。ヘタに期待してしまったぶん、その日は、それはそれはガックリきたものでした。「アイツが貰えて、なんでオレが貰えないのだ~~、ううう・・・


 ちなみに、「ヴァレンタイン・デー」の起源とは・・・。
 3世紀のローマにヴァレンタイン司祭という人がおりました。
 当時の皇帝クラウディウス2世は、強兵策の一つとして、里心がつかないよう、兵士たちの結婚を禁止していましたが、ヴァレンタイン司祭はこれに強く反対し、皇帝の命令に背いて多くの兵士たちを結婚させました。これが皇帝の逆鱗に触れたため、ヴァレンタイン司祭は殺されてしまいました。この日が西暦270年(269年、という説もある)の2月14日だったのです。そしてその殉教の日が「ヴァレンタイン・デー」となった、というわけです。ただし、この由来には諸説あって、真偽のほどは定かではないそうです。
 のちヴァレンタイン司祭は、「聖ヴァレンタイン」として敬われるようになり、ローマカトリック教会は、この2月14日を「聖ヴァレンタイン」の死を悼む祭日と定めました。そして14世紀頃からこの日は、若者たちが愛の告白をしたり、愛し合うふたりが愛を確かめ合う日になった、という事です。


 毎年この時期になると、ジャズのライブで演奏する機会の多いのが、スタンダード中のスタンダード・ナンバーである「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」という曲です。客席にカップルなんかがいたりすると、恋とヴァレンタイン・デーとに引っ掛けたMC(曲間のおしゃべり)を入れたりしてますね。
 ぼくの大好きな映画、『恋のゆくえ』(出演…ミシェル・ファイファー、ジェフ・ブリッジス)のエンド・ロールで、ミシェル自身の歌う「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」を聴くことができます。とてもジーンとくる美しい歌声です。


 「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」は、マイナー調の曲で、スロー・バラードとして演奏されることが非常に多いです。
 フランク・シナトラ、マイルス・デイヴィス、エラ・フィッツジェラルドなどの歌や演奏で有名ですが、ジャズ・ミュージシャンならば、ほとんどが必ず一度は演奏したことがある、といってもいいでしょう。


 歌い出しのメロディーはとってもクラ~いんですが、歌詞は、「あなたってなんて冴えないの。でも私を愛しているのならそのままでいてね」という、ちょっとカワイラシイ内容です。
 これに似た歌詞を持つ有名な曲、ほかにもありますね。そう、ビリー・ジョエル作の「素顔のままで」です。
 今のままで、いつまでもそのままでいてほしい、という想いは、今も昔も変わらないみたいですね。


 さあ、今日は日本中でいくつの恋が芽生えるんでしょう。愛を告白するために、勇気を振り絞って好きな男性のところへ向かう女性全員にエールを送ります!


【マイ・ファニー・ヴァレンタイン】
■作詞…ロレンツ・ハート
■作曲…リチャード・ロジャース
■1937年

わたしのおかしなヴァレンタイン
わたしの可愛くておかしなヴァレンタイン
漫画みたいなあなたのルックスはわたしを笑わせる
滑稽な顔、写真に向かない顔
あなたの容姿はギリシャの彫刻より見劣りがするし
口つきもヘンだし
話し方もスマートではない
でも、わたしのために髪の毛一本も変えないで
わたしを愛しているならそのままでいて
そうしたら毎日がヴァレンタイン・デーね




 

コメント (8)
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