Gon's_Bar

ブログって何? 2023年4月より兵庫県高等学校演劇研究会東播支部へ移動。高校演劇の情報の配信、記録も。

ステージの奇跡

2010-06-18 21:36:03 | Gon's_Diary
 担任をしている1年5組。理系でも文系でもない学年ど真ん中の普通のクラス。賑やかな一部女子と留年生、何人かの子供っぽい男子に目が行きがちになるけれど、文化祭での主役は彼らではなかった。
 合唱コンクールは課題曲としてテープ伴奏の校歌。自由曲はピアノ伴奏とルールで決められている。ところが我がクラスでは伴奏者として立候補する者が居ない。ほとんど唯一のピアノ経験者は、中学時代の合唱コンクールのトラウマ?のせいか頑なに拒否。そこまで言うならしかたないよねってアカペラで歌う覚悟だったわけです。期限も迫った最終日、予想外の男子が「俺、出来るかどうか分からへんけど…。」って立候補。長身サッカー部の彼が一躍ヒーローに祭り上げられてしまったのです。
 ところが彼の苦悩は想像以上。一応小学校時代にピアノを習ってはいたのですが、なにせ久しぶり。思うように手が動かない。途中、言いにくいながら僕に「やっぱりアカペラじゃダメですか?」って言いに来るほど。よっぽど苦労したんだと思います。それでも苦しかったら左手パートを右手で弾いていいからと励まして数日。なんとかやってみようってところまで来ました。
 迎えた合唱コンクールの予選。課題は間奏。ここで止まってしまっては次の歌い出しがそろわない。直前の練習でも成功率は限りなくゼロに近い。何があってもやめないこと、みんなの気持ちをそろえるのは指揮者であること、0か100ではなく30でもいいんだってコトを指示してステージへ。放送コメントでも温かい気持ちで聞いてくださいなんて流してみる。
 かくして演奏スタート。客席で祈る担任の思いも空しく伴奏が止まる。ここまでかと思った次の瞬間、指揮者のいつもに増したアクションで歌が盛り返す。伴奏復活。よし!いいぞと思ったら間奏でリズムが狂う。指揮者もそれに合わせて振りを変える。これで歌い出せるのか?と思ったらさらに歌い始める。こけては立ち直り、立ち直ってはこけるの繰り返しに、なぜか会場が一つになっていったのは不思議。そして、最後まで歌い通せたのはやはり奇跡。思わず立ち上がっての拍手。
 演奏終了後、舞台袖へ走る。上手くできなかったと泣き崩れる伴奏者に、クラスのみんなが声をかける。返事が出来ないぐらい落ち込む彼を責める人は誰も居なかった。むしろもらい泣きは袖にいた先生達へも広がり、下手袖大号泣状態である。こんな合唱コンクールは初めて。終わってから泣く彼も、懸命に指揮をし続けた指揮者も、最後まで歌い続けたみんなも、たまらなくいとしかった訳です。
 結果発表はまさかの決勝進出ベスト3。偶然の奇跡に対するご褒美だとおもいます。何処かでもう許してあげてよっていう気持ちも確かに。でも、やってみますって言う限り、リベンジ目指して進む道を止める訳にはいかないのです。
 奇跡は二度起こりません。多分そうです。だからこそ、一度の奇跡を大切に、感謝して何かを成し遂げて欲しい。気付いてくれる人が何人居るのかな。
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いよいよ西高祭

2010-06-18 08:19:49 | Gon's_Diary
 毎日多忙なため、更新はのんびり。いよいよ30回生の引退公演です。
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