◆15歳、ぼくにしかできないことを
店のキャッチコピーは「ぼくができることから ぼくにしかできないことへ」。
自宅でコーヒー豆の店開店 群馬・桐生
発達障害のため学校になじめず苦しんだ群馬県桐生市の岩野響(ひびき)さん(15)が中学を卒業した今春、コーヒー豆の販売店
「HORIZON LABO」を自宅にオープンした。究極のコーヒーの探求と「障害と向き合いぼくにしかできないことを見つける」ことを目指
し“ホライゾンは(水平線、地平線)、ラボ(研究室)”と名付けた店で焙煎(ばいせん)した豆は、早くもコーヒー通の注目を集めつつある。
岩野さんは小学3年生の時、アスペルガー症候群と診断された。物との距離感がうまくつかめないため、教科書や黒板に書かれた文字をノ
ートに書き写すことが苦手。中学に入ると授業についていけなくなり、1年の1学期が終わった頃にはトイレが近くなるなど体に不調が表れ
始めた。
「このままでは心が潰れてしまう」。心配した母久美子さん(36)は、無理をして登校させる代わりに家族の食事作りを頼むことにした。
「小さなことでもいいから『できる』を実感し、自信をつけさせてやりたかった」(久美子さん)
岩野さんは、幼少期から料理の調味料の変化に気づくほど鋭敏な味覚と嗅覚を持ち、カレーのスパイスを自ら調合するほど。やがて、豆の
種類や煎り方、いれ方で味や香りが変化するコーヒーの奥深さにひかれ始めた。図書館で本を読みあさり、中2の春からは母の知人にもらっ
た焙煎機を用いるなど探求していく中で、自分の心が解き放たれていくのを感じた。いつか自分の店を持ちたい。でも高校には行った方がい
いのか。真剣に悩むようになった。
しかし中3の夏に家族で旅行したタイで船から水平線を眺めた時、迷いは消えた。「世界ってこんなに広大なんだ。他の人と違う生き方も
いいのかな」。自分も大海原にこぎ出そうと決意した。
自宅の和室を改修した店内は8畳ほど。父開人さん(39)と一緒に壁をペンキで塗り、床を張り替え、カウンターや机、椅子も手作りし
た。営業日は毎月1~7日(11~19時)のみで、それ以外は両親が営む染め物洋品店「リップル」の手伝いや焙煎の研究に充てている。
それでも5月は7日間で県内外から1000人以上が店を訪れ、完売の盛況ぶりだった。
今は、豆を買ってくれた人の「おいしい」という一言が何よりうれしい。「季節に合わせて自分らしいコーヒーを出したい」。6月は芽吹い
た木々が力強くなっていくのに合わせ、濃いめに仕上げる予定だ。
はじめは独学で、焙煎の勉強を続けた響さん。そんななか、二つの出会いが訪れます。
まずは、地元・桐生のスペシャルティコーヒー専門店「伊東屋珈琲」。「浅煎り」の焙煎は、伊東屋さんに教わっているそうです。
そして、先生がもう一人。東京・南青山で2013年まで営業していた「大坊珈琲店」の大坊勝次さんに、「深煎り」の焙煎を見て
もらっているそう。
※毎日新聞2017年5月26日の記事を引用しました。
店のキャッチコピーは「ぼくができることから ぼくにしかできないことへ」。
自宅でコーヒー豆の店開店 群馬・桐生
発達障害のため学校になじめず苦しんだ群馬県桐生市の岩野響(ひびき)さん(15)が中学を卒業した今春、コーヒー豆の販売店
「HORIZON LABO」を自宅にオープンした。究極のコーヒーの探求と「障害と向き合いぼくにしかできないことを見つける」ことを目指
し“ホライゾンは(水平線、地平線)、ラボ(研究室)”と名付けた店で焙煎(ばいせん)した豆は、早くもコーヒー通の注目を集めつつある。
岩野さんは小学3年生の時、アスペルガー症候群と診断された。物との距離感がうまくつかめないため、教科書や黒板に書かれた文字をノ
ートに書き写すことが苦手。中学に入ると授業についていけなくなり、1年の1学期が終わった頃にはトイレが近くなるなど体に不調が表れ
始めた。
「このままでは心が潰れてしまう」。心配した母久美子さん(36)は、無理をして登校させる代わりに家族の食事作りを頼むことにした。
「小さなことでもいいから『できる』を実感し、自信をつけさせてやりたかった」(久美子さん)
岩野さんは、幼少期から料理の調味料の変化に気づくほど鋭敏な味覚と嗅覚を持ち、カレーのスパイスを自ら調合するほど。やがて、豆の
種類や煎り方、いれ方で味や香りが変化するコーヒーの奥深さにひかれ始めた。図書館で本を読みあさり、中2の春からは母の知人にもらっ
た焙煎機を用いるなど探求していく中で、自分の心が解き放たれていくのを感じた。いつか自分の店を持ちたい。でも高校には行った方がい
いのか。真剣に悩むようになった。
しかし中3の夏に家族で旅行したタイで船から水平線を眺めた時、迷いは消えた。「世界ってこんなに広大なんだ。他の人と違う生き方も
いいのかな」。自分も大海原にこぎ出そうと決意した。
自宅の和室を改修した店内は8畳ほど。父開人さん(39)と一緒に壁をペンキで塗り、床を張り替え、カウンターや机、椅子も手作りし
た。営業日は毎月1~7日(11~19時)のみで、それ以外は両親が営む染め物洋品店「リップル」の手伝いや焙煎の研究に充てている。
それでも5月は7日間で県内外から1000人以上が店を訪れ、完売の盛況ぶりだった。
今は、豆を買ってくれた人の「おいしい」という一言が何よりうれしい。「季節に合わせて自分らしいコーヒーを出したい」。6月は芽吹い
た木々が力強くなっていくのに合わせ、濃いめに仕上げる予定だ。
はじめは独学で、焙煎の勉強を続けた響さん。そんななか、二つの出会いが訪れます。
まずは、地元・桐生のスペシャルティコーヒー専門店「伊東屋珈琲」。「浅煎り」の焙煎は、伊東屋さんに教わっているそうです。
そして、先生がもう一人。東京・南青山で2013年まで営業していた「大坊珈琲店」の大坊勝次さんに、「深煎り」の焙煎を見て
もらっているそう。
※毎日新聞2017年5月26日の記事を引用しました。