お墓参りのときに、私たちはお花をお供えしますが、そのときの心構えとして大切な一句があります。
「香は禅心よりして火を用ゐることなし 花は合掌に開けて春に因らず」
(香りはわざわざ火を用いて焚くものではなく、清らかな心の中に薫るものです。同じように
花は春が来るからつぼみが開くのではなく、正しい心で合掌するその手の中に花は咲くのです)
これは学問の神様で知られている菅原道真が詠んだ和歌です。
心がきちんと整っていないのに、いくら高いお線香を買って焚いても効果はありません。
たとえどんなに小さなお香であっても、供える人の清らかな心一つで、とてもよい香りとなります。
同じように、どんなに高価なお花よりも、心から手を合わせる合掌のほうが何よりのご供養となります。
つまり、外に見える部分以上に、花を手向ける人の「心」が何よりも一番大切なのです。
お供えするのは、仏さま、ご先祖様を大切に想う「心」なんです。
供養は心を込めて行いたいものです。
花の供養には、仏さまに対するお供えという意味だけでなく、花の供養をする者の心をも清める働きがあるとされています。
花には、供養する人の心をおだやかにし、仏道修行に励む心を助け、その心を養い育てる働きがあるのです。
これは、仏さまに対する供養にさえ、仏さまが大慈悲をお示しになって
「汚れたつらい世界に生きても、この花のように、美しい心の花を咲かせなさい」とお説きになっているのです。
合掌