マキペディア(発行人・牧野紀之)

本当の百科事典を考える

「天タマ」第04号

2018年11月05日 | カ行
    「天タマ」  第04号 (1998年10月30日発行)

       浜松市立看護専門学校 哲学の教科通信

 皆さん、〔恋愛のタイプの〕心理テストの結果はいかがでしたか? 自分の思っていた通りの「恋愛のタイプ」と出ましたか? 

 「先生は私たちが興味を持っていることまでわかっているなんて、すごいな!と思った」と書いてくれた人もいましたが、皆さんが率直な感想を書いてくれるから一人でに分かってくるのです。授業は教師と生徒の共同作品です。

 それにしてもこの心理テストに取り組む皆さんの態度は真剣そのもの。圧巻でした。

 「好意度診断テスト」の方はどうでしたか? 何番で盛り上がりましたか? アンケートを取ってみましょうか?

     組織はトップで8割決まる

──ここの病院の或る病棟に実習に行った時、私は「何て居心地のよいナースステーションなんだろう」と、そこに入った瞬間に思いました。その前の実習ではすごく居づらい雰囲気で、そこに居たくないと感じていました。それを先生(指導教員)に話したら、「こ
こは婦長さんがしっかりしているってことだよ」と教えて下さいました。

 確かにその通りだと思います。そこのナースステーションでは、看護婦同士、看護婦と医師、助手、その他の医療スタッフとの間で穏和な会話が時々ありました。もちろん婦長も含めて。そして、常に病室に患者さんの様子を伺いにいく婦長の姿が見られました。前
の病棟はみんな黙々と働くばかりで、余裕なんてものはなく、堅苦しいだけだと思いました。

 ★ とても好い実例を紹介して下さったと思います。これはこの通りだと思います。しかしここで終わっては哲学の授業の意味がありません。ここに止まらないで、もう一歩先まで考えて欲しいのです。そこで、次の問題を考えて下さい。

 A病院では、分かりやすく点数で表しますと、婦長の出来が90点から30点まで大きくバラついていたとします。B病院ではそのバラツキが小さく、どの婦長も60点以上だったとします。この違いは何によって説明されるでしょうか?

──講師の考え。総婦長と院長の違いによる。

 「ここのような大病院では院長の目が全てに行き届くのは難しいのではないか、忙しいから」という同情論もありました。これから皆さんも世の中に出ていくと「忙しい」という言葉をよく聞くと思います。

 「忙しい」って何でしょうか。「仕事がある」ということだと思います。しかし、全体を見るのはトップの「仕事」ではないのでしょうか? 忙しいからしなくて好いというものではないと思います。

 つまり、ここには2つの場合があります。(1) 仕事量が人間の能力を越えていて、誰がやっても無理な場合と、(2) そのトップの能力と情熱が不足しているために、すべての任務を全うできない場合と。

 (1) の場合は組織を小さく分割するしかないと思います。(2) なら、適任者に代わってもらうべきでしょう。「忙しい」の中身を検討しないで、これを放っておくのは正しいとは思えません。

   欠点を根本的なものと部分的なものとに分けること

──私たちが嫌いになる先生は、根本的に60点以下だから、アンケートをしても意味がない。問題はそれをどう伝えるか、どうやってその先生に分かってもらうか、である。根本的に嫌いな人は、その人の全てを受け入れられなくなっているわけで、その人が学校を辞
めるか、私たちがやめるか、どちらかしかない。何かが起こらない限り、和解は絶対にない。お互いがお互いをさけ、悪循環を引き起こす。生理的に受け付けないとはまさにこの事なのだろうか?

 ★ 少し感情的ではないかなという気もしますが、正直な気持ちではあるのでしょう。どうしたらよいのか、授業で考えましょう。

 このテーマは難しかったようです。設問を、「授業要綱の(4) をどう考えるか」とすると具体的になって考えやすかったかもしれません。

   下位の人の話を聞くときには、その場で反論するな

──私達は〔カウンセリングの〕授業で、人との接し方、聴く態度などをならう。人の話を聴く時は、否定・批判をせず、まず共感的・理解的な態度で接するべきだと、先生達が教えているのに、その先生達の中に、私達の言ったことに対してすぐに反論・批判をする
人がいる。これでは説得力がない。

 ★ 同趣旨のレポートがかなりありました。私は、哲学の第1前提は感情的にならないことだと思っています。私の通っていた大学院の或る教師はよく大きな声を出していました。私は教室から出てきてしまったこともあります。

   アンケートの発言(「自分の考えが一番正しいと思い込んでいる」及び「理解不可能な人」)について

──生徒の意見はひどいと思う。今まで、先生の授業を受けて、どう思っていたのか。心の中で批判ばかりしていたと思う。かわいくない。信頼関係が成立していない。生徒は根本的欠点と思っていたのに、約束だった上の人への相談をせず、アンケートで言っている。ルール違反である。

 ★ 「理解不可能な人と簡単に言える人の方が、私にとっては理解不可能な人です」と反発していた人もいます。逆に、「アンケートは名前を書かないから、どんな意見が出てもしょうがない。書いてもよい範囲があるなら、〔悪い事と同様に〕どんなに書きたくて褒めたくて、良いと評価したことも制限されなくては、フェアじゃない」という意見もありました。この問題は30日の授業で詳しく取り上げます。

   アンケートでの記名・無記名についての講師の考え

 (1) 根本的に悪い先生だと思っている人は、管理者に抗議しているはずだから、出席している人は一応「先生」と認めているはずです。すると、アンケートに欠点(と思うこと)を書くときでも、部分的な欠点なのだから、原理的には、記名で言えないことはないはずです(部分的欠点を指摘されて仕返しするような教師は、その点で「根本的に間違った教師」です)。私は、指摘してくれた人の名前を見て、その人に対して「さすがに○○さんだな」と思ったことが何度もあります。記名の大メリットです。

 (2) では、無記名のアンケートは要らないのか? いや、必要。
 名前に用のない統計のためのアンケートの場合。記名では「ごますり」等と思われるから書きたくない褒め言葉を書く場合。一般的に言って、「人を褒めるのは陰で言い、批判は直接言う」というのが原則ではないでしょうか。去年、1組のTさんの異才を2組で褒め
ました。Tさんには、「2組であなたの噂話をしちゃった」と言っておきました。

     心理テスト

──自分の恋愛のタイプは、自分が考えていたのとは反対で、「本当に?」って感じです。なかなかおもしろい。型にはまった恋愛なんてないと思いますが、これからの私の恋愛に生かしていくのもいいと思う。今は相手がいないのでこういう結果なのかもしれないけれど。相手ができたらきっと変化するでしょう。その変化が恋愛のおもしろさ、と思っている私は、やっぱりルダス型!?でしょうか。

     「天タマ」応援歌

──「天タマ」をいつも楽しみにしています。「あ、これ私と同じこと考えてる」とか、「みんなこんなことを考えてるんだ」と分かって、とっても楽しいです。病院の人や学生、先生達と「天タマ」みたいに意見の言い合える通信があったらいいのになあ、と思いました。

──「天タマ」はいつもいろんな事を考えさせてくれるので、とても好きです。前回の授業で考えたことについて、先生がもう一歩ふみこんだ意見を書いてくれるので、こういうことなんだ、と再確認するとともに、自分の考え方の偏りというか、足りない部分が見えてくる気がします。~大変とは思いますが、ずっと続けていってもらいたいです。

     その他

──授業の回数を重ねるごとに、だんだん先生のことが分かって(!?)きたみたい。先生は私たちのことを〔高校生以上になると先生と生徒の〕考え方は同じ、と言ってくれて、嬉しかった。先生方は立場は上でも、そういう気持ちで接してくださると、私たちもやる気
になります。

 ★ これは単純ではないと思います。要点だけ言います。人間の考え方は、2歳で言葉を使い始めて第1段階。3歳で「どうして?」という発問を覚えて第2段階。15歳前後で思春期になって「人間とは何か」を考えるようになって第3段階に達します。皆、ここで
「考え方としては」終わりです(だから高校生以上は教師と考え方は同じ第3段階なのです)。ヘーゲルという哲学者が初めてこの上の第4段階を発見しました。

──昨年までのことはいざ知らず、今年の哲学の講義はとても関心が持て、興味がそそられる。前日に、「明日はどんな講義内容なのかな?」とか、「レポートの感想はどんなかな?」とか、つい考えてしまう〔……恋人に会いに行く雰囲気ですね……〕。この講義では、今まで見えなかった問題について問い正してみたり、牧野先生個人の考えや、仲間の考えを知ることが出来るからである。

   スイートポテト・ババロア

  ──味覚の秋です。ヘルシーでシックな一品を!──

 ① ココアスポンジをパウンド型で焼いておきます。160 度、30分
 材料・・卵2個、砂糖65g、粉50g、ココア大さじ1、牛乳大さじ1

 ② ゼラチン8gを40ccの水でふやかしておきます。
 ③ さつま芋約150gを蒸して裏ごしして、さつまいもペースト100gを作っておきます。

 ④ 牛乳60ccに砂糖30g を加えて、約60度に熱し、火を止め、②を加えて溶かします。
 ⑤ 別のボールで卵1個をほぐし、③を少しずつ混ぜ合わせます。

 ⑥ ⑤に④を少しずつ加えてよく混ぜ合わせます。ブランデー15ccを加えます。
 ⑦ 生クリーム140cc に砂糖20g を加えてホイップします。⑥を加えて混ぜます。

 ⑧ 紙を敷いたパウンド型に⑦の半分を流し、冷蔵庫で冷やします。
 ⑨ 型より一回り小さく切ったココアスポンジを中央に置き、残りの⑦を流し、底になるスポンジをのせて冷蔵庫に。
(森山サチ子『和風ケーキ』ひかりのくに社、から)

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