最近は新刊本の速報を受けて、本屋さんに行っても電子本の発刊で紙の本は遅れるので いつも思いとは違う本を手にしてしまうのだが それも違う視点と言う意味では良いことだろう。
撤退論と言う内田樹著を読んでみた。「撤退」は敗北・退却と言うマイナーな感じで人気はなさそうだが 「コロナの様な感染爆発(pandmic)、気象変動、AIによる雇用環境変化、人口減」が この国が直面している課題で歴史的な分岐点にあり生活様式の大転換を提案した貴重な内容だ。ここ数年50万人の毎年県単位で人口減少となり政府予想でも80年後は日本人口は1/3(4000万人)になるそうだ、労働不足を海外から受入れるにも この国は異邦人の受け入れ体制がない とか元気な企業は海外に移転し 弱い企業が存続出来るのは低金利政策だからと言う社会はどう考えても健全ではないだろう。
バラ色の東京五輪も終わったのに、実は主要企業の金儲けに利用されスポーツ振興は蚊帳の外だった様で この様子では国の未来を作ると言う大阪万博も、リニア新幹線も、札幌五輪、原発再稼働にも 恐らく似た様な結果だろうと考えると憂鬱になる。大決断と言うと、1962年イギリスとフランスの共同開発でマッハ2の速度で飛ぶ、超音速旅客機があったが14年かけて実用化したが運行する程 赤字となり中断され 人類の夢物語は最大の失敗例として半世紀後の今も語られている。
誤謬と言う意味はサンクスコストを惜しんで投資を続けてしまう事だそうだ。それまでに費やした資金や労力などの見返りを得ようとして、かえって損失が拡大すること。超音速旅客機の投資が巨額になり採算割れは確実と言う認識があったのにも関わらず中止が出来なかった事に因む・・コトバンクからの引用だが。
昔は神や王の言葉が正しいとされたり、哲学者の言葉が正義として多くに理解されて行きすぎた競争は抑えられていたのに 現代の自由資本主義とテクノロジーでもっと便利に無駄のないと進んだ競争社会は,勝った者が正しいしかも便利だからそれが正しい方向だとなった。街の喫茶店が消え、コンビニ・コーヒーを立ち飲みするのが良いと言う具合に・・・。
登山道を間違えて、山頂に行けず先へ先へと進む内に 戻ることも出来ない状態に似ているが 山なら今なら元の道に戻れるが、20年前に失われた10年と言われ 未だ大丈夫と20年・・30年を越えてしまい もうこの社会は戻り方も分からない・・コンコルドの様な大決断の覚悟は残っているのだろうか。
未来を予感させたこのコンコルドは、今どうなったのだろうか