碧い山・青い海

趣味の山登りとか、技術とネット情報を照合し個人メモに・・

1307-炊飯器は自動化の始まり

2013-07-11 | hobby
 昔話になるが、現代の何でもがコンピュータで制御され構成されている以前に家庭でより便利に・・」・とタイム・スイッチ考えられた電気時計があったのを覚えているだろうか。1958年工業高校を卒業し東京大田区の家電機器を製造する中企業(社員300人規模)を学校から薦められたままに応募し入社する事になった。東芝の下請けで当時人気の「電気炊飯器」の生産が主力だったが、私は別棟の「トースター」組立ラインでドライバーを使う工程を担当させられた。次々とベルトで送られる発熱体の付いた本体にクロームメッキのカバーを取付ける担当だが1分に一台、一日に約4千台のトースターが最終工程に積み上げられる様にも驚いたが、翌日の手のひらは豆だらけになった。





   これは「東芝トースター形TT-6」でなく欧州製の類似品・・GE製を国内向けにしたポップアップ式トースター

 2年間現場経験の後、技術部に配置転換となったが家電産業の盛況で技術陣強化の方向に沿ったものらしい。図面が得意だと言うと最初はトースターの設計補助をさせられた。なかなか興味ある仕事だったが、完了すると、次は国内で初と言う「自動トースター」設計・試作・試験・認定試験認可までを担当する事になる。毎日、食パンを10斤焼いてデータを取る日も続き、やがて「形TT-18 東芝トースター」として市場の店頭に並べる事が出来た。
 炊飯器に繋ぐと「朝起きれば御飯が出来る」と言うテレビコマーシャルで「タイムスイッチ」と言う物が宣伝されていた。置時計にスイッチを付けた商品だが時計企業からの提携品を東芝製としてこの企業で品質管理され出荷されていた。
 次の開発テーマはダイアル・ツマミで設定するこの「小形タイムスイッチ」。未経験の時計技術だったが時計会社から出向して来た先輩技術者から歯車の初歩をいろいろ教えて頂き学びながら何度も商品設計のやり直しをしたのを記憶している。時計と言っても動力は交流モータであり、減速部分だけを完成できれば難しくは無かったが、大電流の15アンペアのコンセントの設計も初めてでこの開閉試験には苦労した。ここは電気科で学んだ電力知識が少しは役立ったので学校の知識も無駄ではなかったと初めて思ったのだが、次の法律課題には困ってしまった。
 これは新分野商品で製造発売には「電気用品規格」の工場認可が必要で工場敷地・所有設備を各部署に調べ申請書類を法律書を読みながらまとめた。そんな不得意な苦労までさせられたが、何とか一年後の秋の新商品として「形TWM-701タイムスイッチ」が東芝から発売された時は、とても嬉しく誇らしくも思った物だ。




 御飯の炊上がり温度を検知して電源を切る炊飯器も、焼き上がり温度で自動でポップアップするトースターも仕組みは「サーモスタット」と言う温度スイッチを使った簡易な自動化だが、タイマーで決められた時間に電源を「入・切」出来るサーモスタットを使う簡単な自動化は、家庭での最初の省力化だつた気がする。

 

1307-腕時計

2013-07-03 | 時計
 時計に興味を持ったのは、1955年工業高校入学祝いに、香川県讃岐に住む叔母からケースに入ったスイス製腕時計をお祝いに贈られたのが最初だ。WELTHAM・・セイコーしか知らなかったが、町の時計屋さんで一番高い腕時計だったと後から聞いたが。



 学校でも、こんな高級時計を持つ友は誰もいなかったが社会人になってからも長い間愛用していた。給料を貰うようになってから皆が持つ「セイコー」の時計にも興味がでて新デザインと言う「セイコー・スカイライナー」と言う物を購入した。似たような物だが、大切にした「ウォルサム」はどうしたのか覚えていない。この頃から、週末は山登りばかりしていたので、良い時計のガラス面も外枠もキズだらけになってしまった。物を大事に扱わない乱暴癖もあったが、貴重品・高級品と貴金属扱いされていた腕時計もこの頃には価格が下がり買い換えて楽しむグッズになってしまったらしい。「スカイライナー」は当時セイコー・クラウンと言う高級時計の普及品シリーズのひとつで精度も良く気に入っていたのだが、クオーツ時計が発表され親父にこれを譲り、新し物好きの私は「カシオ・デジタル」にした。一年足らずでデジタル表示に飽きてしまい、オリエンタル時計のアナログ・クォーツに代えた。その後の時計もいろいろ代えたが覚えていない。正確で薄くて使いやすいが、電池が切れた時点で突然信頼していた物が壊れた気がして、やはりこれは機械ではなく、形の似ている電気製品と言う違和感があるからだろう。
ウオルサムの時計もスカイライナーも何処かに亡くして、形も忘れかけていたが、ネットのビンテージ品で調べると、それらしい物の写真と情報は簡単に入手できた。



 社会に出ての仕事上でも、電気機器設計から始まったが制御分野の時間・時計に関係した。それも、小型モータと付随する精密歯車減速装置に携わる事になったのも、最初のこの腕時計への興味が仕事の方向を決めてきた気がするから不思議だ。1974年頃に仕事の関係で、西日本の同系会社に転勤となり、その餞別にと世田谷で貴金属商をしている義兄から、自分の使っているローレックスを私の安物の時計と交換してくれた。外周がプラチナ・リングなのでこれを持つ事は、時計だが実は高価な貴金属を持っているのと同じ意味もあるらしい。時計としてもこの頃の「ウォルサム・ローレックス」の高級なものは3世代は持つので親子代々伝承して使った時計職人たちが長い工程を経て作った芸術品と言われている。しかし、最近のローレックスは大量生産機種も出来て価格も下がったが過去の物とは違い中には10年も持たないと言う噂もある。



 これも気に入って30年程、使い続けたがその内にさすがに、日に2分ぐらいの遅れが出てきた。時計屋さんに分解掃除を打診すると時計が5個位買えそうな費用になるらしいので、それならと探したのがシチズン「エコドライブのエルティナ」だ。文字盤ソーラー電池なので、買った後は電池も何も必要なく動き続け2004年に購入してから既に10年弱になる。驚くほど正確でしかもチタンケースとサファイア・ガラスで、流行の車メーターの様なデザインだし薄型なので、山でザックを背負うときにも腕が引っかからない。裏蓋の刻印に「JAPAN MOVT・CASED IN CAINA」とあるのでエコノミーな商品に仕上がっている。当分はこれで行く予定。



  時計ではもうひとつ記憶に残った物があった。丸亀の叔父が存命だった頃、軍人だったので旧陸軍で使っていた時限時計を記念に持っていたが時計が好きと言う話をする中でこれを頂ける事になった。用途は時限装置に使う事らしい以外は知らないが置き時計として使えるので持っていた・・・と言う話だった。変わった形で、頑丈だったので何度か分解して内部のテンプの動きなどを記憶している。一辺5cm程のサイコロ型で真鍮材をくり抜き中に4cm径のゼンマイ時計が嵌め組み込まれいる重い物だった。裏にネジ蓋でシールドされていて裏蓋を外すと、ムーブメント上部に銀接点があり、時限設定のノブがゼンマイネジに並んで配置されていた。外から聞こえなかったが、ケースを外すとチック・タックと動いていて、SEKO刻印もあった。多分、接点はリード線で爆弾信管に接続して使うに違いない。調べると当時の高射砲弾にも時限装置があり爆発高度を設定していたらしいが、これは砲弾の爆薬の上に付けられた機械時計は円形で外周リングにより爆発時間を設定していた。しかも砲弾は1秒/800mの速度で上に飛ぶので爆発高度設定は秒単位のタイマーで、打ちあがると内部の水銀スイッチが加速度でオンとなり時計が動き始める仕組みらしいが、どうもこれではなさそう。これは目覚まし時計の様な物なので地上に設置する時限装置用なのではないだろうか。正確な用途なのかを知ろうと、これもネットでも検索してみたが何も情報は見つからなかったが折角、叔父が残してくれた貴重な時計だがどうもこれも無くしてしまった様だ。

1307-振り子時計

2013-07-01 | 時計
 現在は、コンピューター中心の情報化時代で実際とバーチャルが混在していてその見分けに苦労します。別にそのまま受け入れて知識とすれば良いのですが、メカニカル設計に約40年関わってきた自分としてはこれがどうも納得できないのです。先日、長いこと岡山で焼物をしている備前焼作家さんとお会いして話したのも「自信をもって作られたものは良い作品になるが、手を抜いた物は後で直ぐに壊れたり使い勝手が悪い」「形ある物は必ずこの正直さがあるから一生懸命に作れる」と言う話を聞き、私の歯車とか時計設計とも全く同じ事を話されているとこれには共感しました。デジタルよりアナログ時計が好きなのも多分この事が頭に残っているからか、散々、設計ミスで苦労して来たことも原因なのかも。

今年、神戸の輸入雑貨屋さんでみつけた「振り子時計」をみつけたので紹介します。


 この時計はドイツのヘルムレ社(HERMLE)製の高級振り子時計で何故か「インテリア用に・・1800円」と表示されていたのを見て、本物なら10万以上するのでは・・と直ぐ購入しました。落としたか何かで動かず、更に振り子接続の部品が折れている様でした。部屋でいろいろ調べると振り子が合わず、動かないだけで付属の金の振り子は諦め、手持ちの適当な金具を分銅にして重さと長さを調節すると驚いた事に動き始めました。



 とても正価では買えませんが、良い音で時報も鳴るし、10日巻きで振り子の動きも見とれてしまいます。時計は何故発明されたか・・・に面白い話を見つけました。古代エジプトで800年頃に日時計・水時計・砂時計が発明されていたのですが、船が出来て現在地を知るのに正確な時計が必要になったそうです。それは1490年代にコロンブスとかヴァスコ・ダガマが新大陸発見した事がきっかけになり「海を制するものが世界を制覇できる」と1700年に欧州の国が発明者に賞金を用意したそうです。ガリレオもその参加者の一人でした。科学者は「地球は丸い。円は360度。24時間で一回転するから、1時間で15度回転する。だとすると、ある船が母港太陽が一番高いときに時計を12時(正午)に合わせ、出航すれば、後は船がどこにいても船上で太陽の南中する時刻を船の時計で見れば船の経度が分る。例えば、太陽の南中するときに船の時計が午後2時とわかれば、船が母港から30度西にいることがわかる」と。つまり、正確な時計があれば経度を導き出せると考え付いた訳だそうです。振り子時計の発明はホイセンスと言う人で、ゼンマイもこの方の発明のようです。

 昨年購入したクォーツ時代の振り子時計ですが近くの店で 格好が良かったので衝動買いをしたものです。可愛いくて時間精度は良くても、振り子が忙しく振れて、音もうるさい事であまり近くに置きたくないのが問題です。今も部屋の片隅に置かれて動いてはいますが失格です。