20年以上も使っていた、マルチ・コンポのCDドライブが先に故障したカセットに続いてメディアが取り出せなくなり 廃棄することにしたが 一度も使っていなかったMDドライブもあったので 処分の前に分解して見た。本体はシャーブ製だが マレーシア製造の商品で オーディオに中国が台頭する以前のものらしい。
恐らく、カセットはメカのゴム部品と CDドライブはメデイァの取り出しのプラ部品の劣化なのでメーカーも変わり 修理不能だろう。MDを開発した、ソニーは東京通信工業の時に 世界初のテープレコーダーを発表し 録音する・・と言う市場を開拓し、更に1970年にIBMが開発したフロッピーディスクを 小型の3.5インチにしてマッキントッシュに採用され一挙に世界に普及させたし 音楽CDを1980年前半にソニーとフイリップスで共同開発し テープ・カセットでもウォークマンのヒットで世界のソニーと呼ばれるようになった。
そのソニーが1991年に発表したMD ( MiniDisc)は、初めて録音も可で小型化され期待されていたが 直ぐにデジタル化となり普及する間もなく市場から消えてしまったので今は知る人は少ないが 交換型の最後のものなのかもしれない。
情報端末の普及で、記憶装置として必須なこの記録メデイアの歴史は変化が早くて 保存する永久品と思っていた FDDもカセットも今は市場から消えている様に 今使っている CD・DVD・HDDドライブも 押し寄せる ステック・メモリーなど低価格・小型化がさらに進むと後 数年で 全て歴史のメカニカル・ドライブとして博物館行きになるのだろう。
しかし、分解して精巧な各ドライブの構造を眺めていると その蓄積された技術力と大昔 千葉のソニー工場で見学させて頂いたカセット・セットの精巧な24時間無人で動いていた組み立てラインを思い出す。私が最初に勤務した企業が、1960年頃に拡張した下丸子工場の隣に「東京通信工業」の無人の工場建物を見つけたのは偶然だったが そのソニーは品川御殿山に移り 当時メデイアでは「市場を創造する企業」と言われて憧れていた企業だったが ここ数年はあまり歓迎出来ないゲーム機メーカーとなり 全てこれも過去の事になってしまった。
市場を創造すると言う言葉を考えると、昔のドラマ「坂の上の雲」の中に「貧乏で産業は農業しか無かった小さな国が、初めて明治維新に触れ希望にあふれた日本人となった・・」と言う好きだった ナレーションと重なるが そんな企業がこの国に存在していた事が 今の現状と比べると不思議な気がしてしまう。
過去のメディアの半世紀の変遷
MDドライブ・・センサーとメカニカルの塊だ
CDドライブ
カセット・プレイヤー ・・何処で作られた物だろうか