すちゃらかな日常 松岡美樹

サッカーとネット、音楽、社会問題をすちゃらかな視点で見ます。

【なでしこ】女子W杯2019に向けての現在地

2018-05-05 09:00:19 | なでしこジャパン(ほか女子サッカー)
アジア杯で優勝しW杯出場決定へ

 なでしこジャパンは今年4月に行われたアジアカップで強敵・オーストラリアを破って堂々の優勝。2019年6月7日からフランスで開かれる第8回FIFA女子ワールドカップ2019への出場を決めた。そこでW杯を見据え、アジアカップ決勝の模様も振り返りながら女子E-1選手権(2017年12月)から課題がどう修正され、またどんな宿題が残っているのかを見て行こう。

 アジアカップ決勝では強烈なハイプレスをかけてくる豪州に対し、日本はブロックを低く構えて待ち受けた。そしてボールを奪うと早めに縦へロングボールを入れてリスクヘッジ。これで相手のプレスをかわし、速いカウンターを見舞った。研究通りだった。

 守備では随所でカラダを投げ出す強い対応でデュエルし、フィジカルの強い豪州に負けていなかった。あの女子E-1選手権では「ただ見ているだけ」で球際の粘りがなく淡白だったが、まったく別人のような長足の進歩である。

 またピッチを広く使ったウラへの長いスルーパスやダイアゴナルなサイドチェンジも有効で、グラウンダーのショートパスばかりで小さく縮こまっていたE-1選手権時からかなり進歩していた。ムダな横パスやバックパスも減った。ただしボールスピードに関してはまだまだ欲しい。密集地帯でパスを通すには強くて速いボールが必須。現代サッカーのセオリーである。

メンタルがグンと強くなった

 最大の収穫はメンタルだ。E-1では非常に消極的で弱々しく、すべてのプレイが中途半端になっていた。だがアジアカップ決勝では、フィジカルが強くて速い豪州に一歩も引かなかった。「彼女たちはいったいどこまで伸びるんだろう?」。そう思わせるサッカーIQの高さだった。男子とちがい、女子の修正能力には目を見張る。

 ただひとつ気をつけたいのは全体をコンパクトに保つことだ。アジアカップ決勝では相手が前からプレスをかけてくることもあってか、ラインが下がりブロックが間延びするケースが散見された。

 もうひとつはサイドチェンジの工夫である。例えば右サイドで前が詰まってボールが最終ラインにバックパスされたとき、DFがまた再度わざわざ混んでいる同サイド(右サイド)に縦パスを入れたりしていた。前が詰まってボールが戻ってきたら、必ず空いている逆サイドを見ること。この場合は左サイドへサイドチェンジすれば攻めがスムーズになる。

若い選手の伸びが著しい

 選手別ではCBでキャプテンの熊谷やボランチの阪口、宇津木、中島、鮫島ら中心選手に加え、若い選手の台頭も目立った。女子E-1とアルガルベ杯ではベテランと若手をうまく配合し、失敗しながら我慢強くテストを繰り返した高倉監督の手腕が光った。なかでも特にタイミングのいいオーバーラップが積極的な右SBの若い清水は、スピードと運動量、運動能力が際立つ。

 また視野が広く気の利いたサイドチェンジが目を引くボランチの隅田はサッカーセンスが抜けているし、ガッツと粘りのある守備が頼もしいCBの市瀬も楽しみな存在だ。アジアカップ決勝でファインセーブを繰り返したGKの山下や、隅田と並びサッカーIQが高いSHの長谷川もパスセンスがすばらしい(ただし長谷川は「必ずパスで終わる」のでなく、チャンスがあれば自分でシュートを打つことも意識してほしい。そうすれば一皮も二皮もむけて相手にとってイヤな選手になれる)。

 そして特筆すべきは圧倒的な決定力を誇るFW陣だ。岩渕や横山、田中、菅澤、川澄ら。彼女たちの高い得点力と個の強さを見ていると、「やっぱりサッカーは点を取ってナンボだなぁ」とあらためて思い知らされる。今後もこの強烈な攻撃陣を軸に、女子W杯で世界を驚かせてほしい。

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