すちゃらかな日常 松岡美樹

サッカーとネット、音楽、社会問題をすちゃらかな視点で見ます。

【ポゼッション信仰】ボール保持率が上がれば本当に失点の確率は減るのか?

2018-05-16 08:53:41 | サッカー戦術論
ボールを持ってる限り失点しないのウソ

 サッカーでは、「ボールを保持している限り失点しない」とジョークまじりによく言われる。だが本当にそうだろうか? むしろ逆にポゼッションしているチームは、常にカウンターを受ける危険と隣り合わせにいる。サッカーに「絶対」なんてありえない。

 攻撃に必要なのは幅と奥行きだ。ゆえにボールを奪取し攻撃に移ったチームの選手は、ピッチいっぱいに広がり前がかりになる。これを守備側の選手から見れば、スペースがたっぷりできた状態に映る。特にライン裏にはおいしい空間が広がっている。トランジションの重要性が言われるのはそれゆえだ。

 すなわちサッカーにおける攻撃とは、いかに自らバランスを崩して攻めるか? 逆に守備とはいかにバランスを保って守るか? そのせめぎ合いである。

 とすれば攻めている状態というのは、刀を構えている敵の前に首をさらし「どうぞカウンター攻撃をしてください」と言ってるのと同じだ。

 ヨーロッパや南米の強豪国でさえそうなのだから、こと日本式パスサッカーの場合はなおさらである。

 長いパスを蹴る・止めるのが苦手な日本人は、狭いエリアに複数の選手が集まってショートパスを交換する。裏を返せばボールを奪われカウンターを受ければ、さっきまでボールに群がっていた3〜4人の日本人選手はまとめて置き去りにされる。つまりガラパゴス化した日本のパスサッカーは、強豪国と比べとりわけカウンターに弱いのだ。

 ワールドカップで日本が「ボールをつなぐサッカー」を志向する限り、カウンターの危険はついて回る。それを防ぐには日本人が長いパスをコントロールする技術を身につけるか、日本ならではの特殊なカウンター対策をひねり出すか。ふたつにひとつしかない。

 こと日本に限っては、「ボールを保持する限り失点しない」なんてジョークでは笑えないのである。

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