すちゃらかな日常 松岡美樹

サッカーとネット、音楽、社会問題をすちゃらかな視点で見ます。

【ロシアW杯】策士・西野監督に見るメンタルコントロールの妙

2018-05-29 05:42:06 | サッカー日本代表
沈滞ムードを吹き飛ばした3バック

 ほんの十数日前、日本代表には重い沈滞ムードが垂れ込めていた。

 ハリルが解任され、さまざまな陰謀説がメディアを賑わせる。暗い話題ばかりが世間を覆い、しかも本番であるロシアW杯まではもう間がない。

「万事休すか?」

 そんな重苦しい空気が日本中に満ちていた。

 そこに西野監督が持ち出した飛び道具が、3バックだった。

 馴染みのない、新鮮な「素材」を世間に提供することで、人々の興味を惹く。それって何だ? いったいどんな戦い方をするんだろう? 日本は勝てるのか? 3バックとシャドーを含む新システムの採用で目先を変え、世の中の流れをすっかり変えた。

 暗い要素にばかり反応しがちだった人々のアンテナにはたちまちエネルギーが宿り、新戦術に好奇心をかき立てられた。また再び勝つための意欲が日本中に満ちてきた。

 これだけ短期間で地に落ちた多くの人々のメンタルをプラス方向に誘導した例は、歴史上でも珍しいのではないか? メディア・コントロールがうまかった点も含め、危機管理的な視点から西野監督を見ればまさに天才的な策士といえる。

 おそらくシャドーの採用も、愛弟子・宇佐美のもつ攻撃力を最大限引き出すためだ。西野監督に引き立てられた宇佐美も、心中、胸に期するものがあるだろう。「よし、やってやろう」とメンタルが躍り上がる。これで当の宇佐美が点を取りまくって日本が勝てば、西野監督は稀代の名将として歴史に名を刻むことになる。

 今後はガーナ戦、スイス戦、パラグアイ戦という強化試合が控えているが、すべては本番のための単なるテストにすぎない。仮にこの3戦で悪い結果が出たとしても、「本番前に日本の課題がしっかり把握できた」「これで欠点をキッチリ修正できる」と喜ぶべきだ。練習試合でいくら負けようが、W杯本番で勝てばだれも文句は言わない。

 運命のロシア・ワールドカップまでは、もうすぐそこだ。

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