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すちゃらかな日常 松岡美樹

積極財政などの政治経済をすちゃらかな視点で見ます。ワクチン後遺症など社会問題やメディア論、サッカー、音楽ネタも。

【J1 第4節】アルビレックス新潟が「台風の目」だ ~新潟 1-0 川崎F

2023-03-12 08:17:45 | Jリーグ
豪快にニア下をぶち抜く

 見せ場は前半22分にきた。左サイドの高い位置で新潟の左SB渡邊泰基がハイプレスで競ったボールを、エースの伊藤涼太郎に託す。受けた伊藤は間髪入れずニア下を狙い、強烈なミドルを叩き込んだ。これで伊藤は貴重な2戦連発。チームは今季負けなしだ。

 これでチームは勝ち点8の暫定2位。新潟を相手に星を取りこぼしたチームが、優勝戦線から脱落するかのような様相を呈してきた。

 新潟のフォーメーションは4-2-3-1。力のある川崎が押し込み、受けた新潟が鋭いカウンターを見舞う展開で進んだ。新潟のサッカーはグラウンダーのボールを2タッチ以内でテンポよく繋ぐスタイルだ。

 のっけから新潟ボールに川崎が激しいプレスをかけまくるが、新潟は少ないタッチ数ですいすいと包囲網をかいくぐる。

 試合は川崎が6割方ボールを支配し敵陣に圧をかけるが、実は「試合を支配」しているのは新潟のほう。その証拠に自陣深くでボールを奪うと、ショートパスを立て続けにつないでの新潟によるコレクティブなロングカウンターが鮮やかに何度も決まりかける。

 ほかにGKの小島亨介は足元がよく、ビルドアップの第一歩になるパス出しがすばらしい。またCBトーマス・デンの絶妙なフィードがバシバシ決まっていた。

サポートの角度とアジリティがキモ

 新潟の強くて速いグラウンダーのパスを2タッチ以内で繋ぐサッカーは、常にボールホルダーの周囲にサポートがいなくては実現できない。

 サポートの運動量、サポートの角度、スピード、アジリティが必要だ。

 開幕戦を見て「彼らはいいサッカーをしているが、このスタイルだとプレッシングとカウンターを受けたときが課題だろうな」と予想した。だがこのチームはかなり厳しくプレッシングをかけられてもボールを失わない。

 この試合で出た新潟の今後の課題としては、狭いほうのサイドへワンタッチで向かってしまうシーンが目についた点。そうでなく常にフィールド全域を観察し、広いサイドへボールを展開するようにしたい。

 また自陣に押し込まれてどうしようもないときは、割り切ってハッキリ大きくクリアすること。彼らはどんな状況でも「繋ごう」としてバタバタし、終盤に失点するのがパターンだ。

 いやそれにしても彼らの2タッチ以内のテンポのいいサッカーは、ご飯がおいしく2度食べられる。それくらい楽しいサッカーだ。今後も強豪チームを倒して、下克上を起こしてほしいものだ。

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【J1 第2節】相手の色に合わせた横浜FMが完勝する 〜横浜FM 2-0 浦和

2023-02-26 05:00:00 | Jリーグ
両軍、開幕戦と同じスタメンで臨む

 開幕戦で川崎フロンターレに2-1で勝った横浜F・マリノスが、浦和レッズをホームに迎えた一戦だ。

 両チームとも開幕戦と同じスタメンで臨んだ。試合は2-0で横浜FMの勝利。開幕2連勝だ。前半18分にFWアンデルソン・ロペスが先制ゴールを上げ、続く後半44分にはFWヤン・マテウスが2点目を取った。

 横浜FMは持ち前のハイライン・ハイプレス色をさほど出さず、相手のやり方に合わせてボールを繋いでよく攻めた。自分たち本来のリズムではなかったものの、流れに応じてうまく試合を運んだ。対する浦和は前からプレスをかけようとするが、なかなかハマらず。攻勢に転じることができない。

 かくて前半にバタついた浦和は、後半の立ち上がりから興梠慎三が途中交代で入ると流れを引き寄せた。しかしなかなか決め手を欠き、試合をひっくり返すまでには至らなかった。

 横浜FMのフォーメーションは4-2-1-3。スタメンはGKがオビ・パウエル・オビンナ。最終ラインは右から松原健、畠中槙之輔、角田涼太朗、永戸勝也。CMFは渡辺皓太と喜田拓也。トップ下に西村拓真。3トップは右から水沼宏太、アンデルソン・ロペス、エウベルだ。

アンデルソン・ロペスが先制点を取る

 横浜FMの先制点は前半18分だった。中盤に降りたアンデルソン・ロペスがボールを収めて縦パスを入れる。これをエウベルが中央で落とし、ロペスが大きく左に振った。

 ボールを受けた永戸は、ペナルティエリア手前左から逆サイドに展開。右にいた西村がこれを折り返し、アンデルソン・ロペスがヘッドで決めた。

 続く横浜FMの2点目は後半44分だ。マルコス・ジュニオールがフリックして西村が受ける。西村はペナルティエリア内で左のヤン・マテウスに送り、ボールをもらったマテウスが左足でゴールを決めた。

 これで横浜FMは開幕から2連勝と好調なスタートを切った。一方の浦和はマチェイ・スコルジャ新監督のもと、手痛い2連敗になった。さあこれから山あり谷ありのシーズンの始まりだ。

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【J1リーグ・2023】優勝争いは横浜FM-川崎Fの変わらぬ構図だ

2023-02-23 06:29:11 | Jリーグ
横浜FMの開幕戦以外、おもしろい試合がない

 J1リーグの第1節を全試合、見た。だが優勝しそうに思える力を持ったチームは、先陣を切った開幕戦の横浜FMと川崎F以外にない感じだ。

 サッカージャーナリストや解説者などの予想ではC大阪や広島あたりの名前が挙がっているが、「いったいどこに目をつけているのか?」というありさまだった。

 そんななかで唯一「おもしろい」と思ったのは、アルビレックス新潟のサッカーだった。グラウンダーの強くて速いパスを2タッチ以内でリズミカルに繋ぐことにあくまでこだわり、ポゼッションを高めて局面を打開していく。彼らはマイボールを大事にし、パスが次々に繋がるから見ていておもしろい。

 つくづく「専門家」の見どころ予想とか優勝予想はあてにならないな、と感じた。

 まあ新潟はあのスタイルだとプレッシングとカウンターに弱そうだから、優勝までは無理だと思うが。

 ほかに(優勝は別にして)まあまあ「いい」と思ったのは、湘南と鹿島、名古屋、柏あたりだった。

「専門家」の見立てとはあまりにかけ離れていておもしろい。 

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【J1リーグ】炸裂する横浜FMのショートカウンター ~川崎F 1-2 横浜FM

2023-02-18 07:32:09 | Jリーグ
王者の貫禄を見せた横浜FM

 J1リーグの開幕戦が17日、等々力競技場で行われた。連覇を目ざす昨季王者の横浜F・マリノスが、川崎フロンターレを2-1で下した。ポゼッション率37%の横浜が、持ち前のショートカウンターで川崎を粉砕した。

 試合はハイライン&ハイプレスの横浜と、ショートパスをつなぐポゼッションサッカーの川崎との激しいつばぜり合いになった。フォーメーションは横浜が4-2-1-3、川崎が4-1-2-3。川崎は右SBの山根視来が偽SB化してアンカー脇を埋めた。これにより3-2-5に可変し、ビルドアップ及び被カウンターに備える新機軸を見せた。

 前からしきりにハイプレスをかける横浜は前半4分。川崎のGKチョン・ソンリョンのフィードを至近距離で横浜のエウベルが頭でカットし、トップ下の西村拓真が余裕をもってコースを狙い右足で先制点を挙げた。好調の西村は日本代表への招集もあるのではないか?

 横浜はチームコンセプト通りの、ハイプレスからのショートカウンターが痛快に決まった形だ。

「ボールをもつ側が勝つとは限らない」

 そして横浜の2点目は前半38分だった。

 横浜の左SB永戸勝也が左CKからゴール前へクロスを入れると、FWアンデルソン・ロペスが頭で落とし、それをエウベルが倒れ込みながらオーバーヘッド気味のシュートを叩き込んだ。

 これに対し川崎は試合終了間際の後半46分、左SBの佐々木旭がこぼれ球を拾って縦に持ち運び、ペナルティエリア左から中央へ横パスを出す。それに走り込んだアンカーの橘田健人が右足で合わせ、1点を返すのがやっとだった。

 川崎は後半に盛り返しさかんにポゼッションしたが、横浜の守備にあいゴールが遠かった。負けた川崎のポゼッション率は63%。横浜がカウンターの威力を見せ、「ボールをもった側が勝つとは限らない」というサッカーの一面の真理を立証した試合だった。

 横浜FMは今年も暴れそうだ。

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【富士フイルム・スーパー杯】日本サッカーの高いレベルを示した一戦 ~横浜FM 2-1 甲府

2023-02-11 16:56:30 | Jリーグ
横浜の速いパスワークが光る

 クオリティの高い、いいゲームだった。

 Jリーグの開幕を告げる富士フイルム・スーパー杯が11日、国立競技場で行われた。昨シーズンのJリーグ覇者・横浜F・マリノスが、天皇杯を制したJ2のヴァンフォーレ甲府を破り、初優勝した。

 まず横浜のFWエウベルが前半30分に先制ゴールを上げたが、甲府は前半44分にFWピーター・ウタカが追いすがる同点弾。だが後半16分、横浜のトップ下、西村拓真が決勝ゴールを叩き込んで押し切った。

 横浜のフォーメーションは4-2-1-3だ。スタメンはGKがオビ・パウエル・オビンナ。最終ラインは左から上島拓巳、畠中槙之輔、角田涼太朗、永戸勝也。CMFは渡辺皓太と喜田拓也。トップ下には西村拓真が入り、最前線は左からエウベル、アンデルソン・ロペス、水沼宏太だ。

 一方、甲府のフォーメーションは4-2-3-1。スタメンはGKが河田晃兵。最終ラインは左から須貝英大、山本英臣、エドゥアルド・マンシャ、三浦颯太。CMFは松本凪生と佐藤和弘。2列目は左から水野颯太、長谷川元希、鳥海芳樹。1トップはピーター・ウタカだ。

横浜の強くて速いボールスピードが目を引いた

 試合が動いたのは前半30分だった。横浜の水沼宏太がアンデルソン・ロペスへ縦パス。ロペスがダイレクトでこれを折り返し、ペナルティエリア左のエウベルがフリーでゴールした。

 かたや甲府は44分。エドゥアルド・マンシャが縦パスを入れ、長谷川元希に当たったボールを鳥海芳樹が受けて横のピーター・ウタカにパス。ウタカは無人のゴールに流し込んだ。

 そして決勝点は後半16分だ。横浜の角田涼太朗が自陣からボールを持ち出し、ロペスにスルーパスを入れる。反応したロペスはシュートしたが惜しくもポストを直撃。その跳ね返りを西村拓真が押し込んだ。まるでゴールポストとワンツーしたようなおもしろいゴールだった。

 横浜は2タッチ以内で回す機敏なパスワークと、強くて速いボールスピードが光った。インテンシティの高さも目を引いた。一方の甲府もよく粘って健闘したが、惜しくも後半に入ってパワーダウンした。

 日本のサッカーが逞しく雄たけびを上げるような、レベルの高い一戦だった。

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【サッカーJ1リーグ】ヴィッセル神戸はロティ―ナ監督で守備を立て直せ

2022-04-08 11:02:46 | Jリーグ
イニエスタら攻撃陣ばかりに目が行くが……

 ヴィッセル神戸の新監督に、ミゲル・アンヘル・ロティーナ氏(64)が正式就任した。

 ヴィッセルは守備の崩壊が深刻だ。イニエスタら豪華な攻撃陣ばかりに目が行きがちだが、サッカーは守備がダメでは絶対勝てない。

 その点、ロティーナ氏は守備の構築が得意であり、過去、セレッソ大阪の監督時代の20年にはJ1で4位になった実績もある。

 ロティーナ氏はそのセレッソでは「守備的だ」などという、いかにもサッカーをわかってないバカな理由で退任するハメになった。だが彼を信用し、ついていけばまちがいない。

 なぜならサッカーは守備の構築が基本の「キ」であり、いくら豪華な攻撃陣をそろえても守備がザルでは戦えないからだ。

 かつて「日本には守備の文化がない」といった監督がいたが、その意味では「守備的だ」という理由で切られるなどいかにも素人的だし、そもそも別にロティーナ氏は守備的なわけではない。日本人がゾーンディフェンスをわかってないだけだ。

 イニエスタら華やかな攻撃陣の構築とマーケティング的な話題性にばかり注力してきたヴィッセル神戸が、ロティーナ氏の就任をきっかけに基本に帰り「守備の文化」に目覚めることに期待しよう。

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【2022年 J1 第1節】川崎Fが今年も始動した 〜川崎F 1-0 FC東京

2022-02-19 09:14:35 | Jリーグ
幕開きは川崎Fのハイプレスから

 今年もJ1が幕を開けた。第1節の開幕戦は川崎フロンターレとFC東京。4-3-3同士の対戦だ。

 この日の川崎は立ち上がりからハイラインを取り、最終ラインからビルドアップしようとする東京に対し、積極的にゾーンを押し上げ前からプレスをかけた。

 そのため東京のボールホルダーは判断が遅くなり、味方のサポートも遅れてうまくゲームを作れない。

 全体に川崎は「止める、蹴る」「止める、蹴る」と2タッチの処理でボールの動きがリズミカルなのに対し、東京は1人がボールを持ってから「次のプレイを考える」という各駅停車だ。これが両チームのリズムの違いを生んでいる。

 ところが川崎がハイプレスをやめるに従い、次第に東京も中盤でボールを動かすようになった。そんななか前半27分、東京期待の高卒ルーキー、松木玖生がゴールを視野に入れ果敢にミドルシュートを放つ。いいシュートだった。

 こうして東京は次第に前線へ人数をかけるようになり、厚い攻めを見せるようになる。これに対し、川崎はラインを下げて受け止める。虚々実々の駆け引きだ。

 だが、かくて後半35分。川崎は途中出場したFW遠野大弥の左コーナーキックにFWレアンドロ・ダミアンがニアで頭に合わせ、ゴールへ叩き込む。このまま試合はゲームセットとなった。

 川崎がうまくワンチャンスをモノにしたな、という印象。FC東京にも得点機はあった。川崎自慢のポゼッションサッカーはまだまだこれから、といったところである。

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【J1リーグ】横浜FMの猛攻に清水もよく反攻したが…… 〜第17節 横浜FM 2-1 清水

2021-06-02 05:58:22 | Jリーグ
たがいに撃ち合う好ゲームだった

 横浜F・マリノスはいつものハイライン・ハイプレスだ。

 やはり横浜FMの攻撃力はハンパない。前半4分でいきなり先制だ。

 早い得点でどうなることかと思ったが、その後、清水エスパルスも盛り返した。
 
 印象的だったのは、清水のパスワークがはっきりロジカルになった点だ。明らかにロティーナ効果だろう。

 その清水が前半41分にサイドチェンジを絡めたすばらしいゴールを決め同点。

 だが最終的には後半44分に、横浜FMのレオセアラが決勝弾を放ち試合が決まった。

 両チームとも、アグレッシブに攻め合った好ゲームだった。

横浜FM4-2-1-3、清水は守備時5-3-2で粘る

 横浜FMのフォーメーションは4-2-1-3だ。スタメンはGKが高丘陽平。最終ラインは右から小池龍太、チアゴ・マルチンス、畠中槙之輔、ティーラトンだ。

 2CMFは岩田智輝と渡辺皓太。トップ下はマルコス・ジュニオール。3トップは右からエウベル、オナイウ阿道、前田大然である。

 今日は喜田拓也と天野純の2CMFは控えだ。

 一方、清水は3-1-4-2、守備時5-3-2である。

清水がサイドチェンジを絡めて同点に

 前半4分。ティーラトンが前縦にスルーパスを出す。これ一発でライン裏に抜け出した前田大然が折り返し、エウベルがファーから右足で叩き込んだ。

 一方、清水は前半41分。左SBから右WGまで長くすばらしい対角線のサイドチェンジが入る。

 エウシーニョがボールを収めて右サイドをドリブルで疾走する。

 彼は右サイドの敵陣深くからクロスを入れ、ゴール前でチアゴ・サンタナがGKのセーブに遭いながらもこぼれ球を詰めた。すばらしい組み立てからの得点だ。

 清水のGK権田が奇跡的なセーブを連発し、均衡が保たれている。

横浜FM、エウベルがシュートも枠を外す

 後半2分。清水のカルリーニョス・ジュニオが中盤からドリブルで上がる。

 C・ジュニオはペナルティエリアの手前から右足でシュートを放つが、枠から外れる。

 一方、後半5分だ。横浜FMは右サイドの渡辺がスルーパスを出し、それに呼応しオナイウが抜け出す。

 彼はゴールライン際からヒールキックを入れた。

 それを受けたエウベルがペナルティエリア右からシュートを放つが、枠から外れた。

 この後も横浜FMの波状攻撃が続く。

横浜FM、後半44分にレオセアラが決勝弾を決める

 そして後半44分だった。

 途中出場の仲川が敵陣中央をドリブルで上がり、右へパス。最終的に途中出場の水沼にボールが渡る。

 彼は右サイドの敵陣深くからペナルティエリア右へ入り込み、右足で低いクロスを入れる。

 これに途中出場のレオセアラがゴール前で体を入れて押し込んだ。

 決勝点である。

 さて敗れはしたが、清水はめざすゲームモデルが目に見えて実現できるようになっている。

 シーズン後半の彼らの巻き返しが期待できそうだ。

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【J1リーグ】川崎F、勝者の論理 〜第17節 川崎F 2-1 鹿島

2021-06-01 04:31:58 | Jリーグ
前半の鹿島は消極的だった

 前半の鹿島アントラーズは慎重に守備ブロックを自陣に組んだ。

 川崎フロンターレが一方的に攻めて鹿島の「守備練習」化する。

 だが川崎Fのレアンドロ・ダミアンに先制され1-0とされた後半、鹿島はゾーンを上げて勝負に出た。

 結果、上田綺世がライン裏に抜けて同点ゴール。

 だがアディショナル・タイムに劇的なゴールが待っていた。

 川崎Fの小林悠が交代出場からたった1分で決勝点をあげ、激闘の幕が降りた。

川崎F4-1-2-3、鹿島4-2-3-1だ

 川崎Fのフォーメーションは4-1-2-3だ。スタメンはGKがチョン・ソンリョン。最終ラインは右から山根視来、ジェジエウ、谷口彰悟、登里享平だ。

 アンカーはジョアン・シミッチ、右インサイドハーフは田中碧、左インサイドハーフは旗手怜央。3トップは右から家長昭博、レアンドロ・ダミアン、三笘薫である。

 一方、鹿島のフォーメーションは4-2-3-1。守備時4-4-2だ。スタメンはGKが沖悠哉。最終ラインは右から常本佳吾、犬飼智也、町田浩樹、永戸勝也だ。

 2CMFはレオ・シルバとディエゴ・ピトゥカ。2列目は右から土居聖真、小泉慶、荒木遼太郎。ワントップは上田綺世である。

レアンドロ・ダミアンが先制点

 前半19分。山根が右サイドからダイアゴナルなグラウンダーのクロスを入れ、レアンドロ・ダミアンがライン裏に走り込みGKの股下を抜いてゴールを決める。絵に描いたようなゴールだ。

 川崎Fのビルドアップは両SBを高く上げ、2CBで行う。鹿島がずっとディフェンディングサードに守備ブロックを作りっぱなしなので、川崎Fの2CBはえんえんセンターサークル付近にいる。まるで鹿島の守備練習である。

 鹿島がたまに攻めてロストボールすると、川崎Fはものすごく素早い切り替えからカウンターをかける。

 そのせいか鹿島はボールを奪っても、ポジティブ・トランジション(守から攻への切り替え)が遅い。「このまま前に人数をかけて大丈夫なのか?」という杞憂が頭をよぎるからだろうか?

 鹿島は切り替えの速さが信条だが、前半はそれがあまり発揮されてない。

鹿島がゾーンを上げて反攻へ

 川崎Fに先制されたので、鹿島はこのまま自陣に守備ブロックを置き続けているだけでは勝てない。どこかでボールを奪った瞬間、爆発的な勢いで選手が前へ飛び出していかなければカウンターは成就しない。

 前半30分ごろから、そんな場面が出始めた。

 鹿島は前でもっと上田綺世がボールを収め(大迫化し)時間を作れれば、なんとかなるのだが。

 川崎Fによるライン裏を狙ったボールに対し、鹿島のGK沖がピューッと飛び出してスイーパー化する。反応がいい。

 鹿島がこわがらず前からプレスをかけたときライン裏にスペースができる。そのスペースを狙われたときはGKがスイープできるかどうかが死命を制する。

上田綺世がライン裏に飛び出し同点弾

 後半開始と同時に鹿島が小泉に代えて白崎凌兵を投入する。

 後半になると鹿島が思い出したように攻め始めた。ゾーンを上げ、圧迫をかけ始める。

 後半16分。荒木遼太郎が軽いタッチで裏をつくボールを出し、上田綺世がライン裏に飛び出しボールをもらってきれいなゴール。レアンドロ・ダミアンのゴールと同様、まるで絵に描いたようだ。

 鹿島が前からプレスをかけるようになり展開が変わった。

 こうなれば「やるかやられるか?」だ。

投入1分、小林悠の信じられない一撃で大団円

 後半25分頃、川崎Fはシステムを変え、田中碧を一列下げてジョアン・シミッチと組ませて2CMFとし、家長をトップ下に、旗手を右WGにした。

 次第に残り時間は約10分になる。

 このまま引き分けを念頭に置くのか? それとも逆転を狙い思い切ってゾーンを上げるのか? 鹿島としては悩ましいが、どうやら勝ち点「3」をめざすようだ。

 後半42分。川崎FがDF車屋紳太郎とFW知念慶を投入、エースのレアンドロ・ダミアンを下げた。一方、鹿島はピトゥカに代えて永木亮太を投入。

 後半48分。川崎Fは旗手に代えて小林悠を投入。

 後半49分。川崎F、左サイドから長谷川が斜めのクロスを入れ、小林悠が胸トラップから矢のようなシュートを叩き込んだ。2-1。決勝点だ。

 交代出場からたった1分で結果を出してしまう小林悠。見事というしかない。勝負師だ。

 かくて川崎Fvs鹿島の激しい戦いは、小林の信じられないミラクルゴールによって劇的に終幕を告げた。

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【J1リーグ】なぜ柏は勝てないのか? 〜第17節 柏 1-2 札幌

2021-05-31 06:00:32 | Jリーグ
勝てないチームのジレンマが悩ましい

 コンサドーレ札幌は縦パスがいい。「ズバン!」と強くて速い良い縦パスを持っている。

 一方の柏レイソルは、いいサッカーをやっていながらなぜか勝てない。

 この試合も札幌が先制し、柏が追いつき、札幌が突き放す、という展開で進んだ。

 柏は第15節の横浜FM戦などをみると、非常に知的なサッカーで横浜FMの攻撃力を封じていた。

 なぜ柏は勝てないのか? 大いなる謎である。

柏4-1-4-1、札幌3-4-2-1でスタートした

 柏のフォーメーションは4-1-4-1。守備時5-3-2だ。スタメンはGKがキム・スンギュ。最終ラインは右から高橋峻希、大南拓磨、上島拓巳、古賀太陽だ。

 アンカーは三原雅俊。2列目は右からクリスティアーノ、椎橋慧也、ドッジ、仲間隼斗。ワントップはアンジェロッティである。

 一方、札幌のフォーメーションは3-4-2-1だ。スタメンはGKが菅野孝憲。3バックは右から岡村大八、田中駿汰、福森晃斗だ。

 中盤は右からルーカス・フェルナンデス、荒野拓馬、高嶺朋樹、青木亮太。2シャドーは小柏剛と駒井善成。ワントップはジェイである。

札幌の選手はイキイキしている

 札幌がずっとボールを握っている。中盤のデュエルが激しい。

 札幌の選手はイキイキやってるが、柏の選手は考え込みながらプレイしている感じだ。

 なかなか順位が思うようにあがらないチームのジレンマだろうか?

 前半18分。札幌の青木が敵GKと最終ラインの間を狙い、強いグラウンダーの好パスを出す。小柏がきっちり決めた。先制である。

 続く前半35分。今度は柏がPKを取る。クリスティアーノが右足でゴール左に叩き込んだ。同点だ。

 すると前半40分。札幌の福森がファーにクロスを入れる。

 一度クリアされたが、こぼれ球を岡村が拾い、ペナルティエリア左からクロスを入れる。

 するとボールが柏の上島に当たりゴールインする。これで札幌リードだ。

 途中から柏はフォーメーションを攻撃時4-2-3-1、守備時4-4-2に変えた。

 ネルシーニョ監督も手探りでベストを探している感じだ。

柏はエースの江坂を投入

 フォーメーションを4-2-3-1に変えた柏は、後半開始から三原を江坂任(トップ下)に、アンジェロッティを細谷真大(ワントップ)に代えた。

 だが「江坂効果」は感じられない。

 札幌は相変わらず強くて速い縦パスがいい。

 そして試合は終盤まで、中盤のデュエルが激しいエキサイティングな展開だった。

 スコアはそのまま動かず、札幌の勝利だ。

 なぜ柏が負けているのか、よくわからない。

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【J1リーグ】エキサイティングなスコアレスドロー 〜第16節 札幌 0-0 鳥栖

2021-05-30 05:10:52 | Jリーグ
中盤のデュエルが激しい

 序盤は中盤の球際のデュエルが激しく、壮絶な試合になるかと見えた。

 だが次第に中盤にスペースができて緩くなり、その後は中盤をどちらが支配するかの戦いになる。

 たがいのビルドアップにはたがいにハイプレスをかけ合い、おもしろい試合になった。

 札幌はハッとするダイレクトパスを多用して魅せた。

 スコアレスドローの引き分けとは思えない見どころのある試合だった。

札幌3-4-2-1、鳥栖3-1-4-2だ

 北海道コンサドーレ札幌のフォーメーションは3-4-2-1だ。スタメンはGKが菅野孝憲。3バックは右から田中駿汰、宮澤裕樹、福森晃斗だ。

 中盤は右から金子拓郎、深井一希、高嶺朋樹、菅大輝。2シャドーは小柏剛と駒井善成。ワントップはジェイである。

 一方、サガン鳥栖のフォーメーションは3-1-4-2だ。スタメンはGKが朴一圭。最終ラインは右からファン・ソッコ、エドゥアルド、中野伸哉だ。

 アンカーは松岡大起。2列目は右から飯野七聖、樋口雄太、仙頭啓矢、小屋松知哉。2トップは山下敬大と本田風智である。

アグレッシブなハイプレス合戦

 鳥栖の仙頭は要所で一列降りてアンカーの松岡と2CMFのようになる。

 鳥栖のビルドアップは攻撃的な左CBの中野伸哉が高く張り出し2バックで行う。

 その鳥栖のビルドアップに対し、札幌はすごいハイプレスで来る。GKにもプレスをかける。

 逆に札幌のビルドアップは、右CBの田中駿汰が上がって幅を取り、2バックで組み上げる。要所でCMFの高嶺が最終ラインに下りて3バックになる。

 札幌の3バックによるビルドアップには、鳥栖は前3枚の同数でプレスをかけている。こちらもハイプレスだ。

双方、惜しいチャンスを逃す

 前半21分。札幌CBの福森がジェイに目の覚めるような縦パスを出す。

 中盤でジェイがそれを落とし、受けた深井一希がダイレクトで小柏剛にすばらしい縦パスを入れる。

 だが小柏が惜しくもシュートをミス。寄せて行った鳥栖GK朴一圭のポジショニングがよかった。

 後半開始と同時に、札幌はジェイを引っ込めMF青木亮太を入れた。これで小柏のワントップ、青木と駒井の2シャドーにする。

 後半6分。鳥栖がプレスをかけてボールを奪い樋口が右サイドを走る。彼はゴール前にクロスを入れるが、受けた本田の胸トラップが長くなりボールロスト。チャンスがつぶれる。

鋭い縦パスが多くアグレッシブなゲームだった

 後半13分。札幌の田中駿汰がサイドチェンジ。受けた田中がダイレクトで前縦の金子にパス。

 金子はドリブルからマイナスのクロスを入れて菅がゴールネットを揺らす。だが金子がオフサイドを取られてノーゴールに。

 後半14分。鳥栖は山下に代えて林大地を投入する。

 後半27分。縦パスをもらった林大地がDFにカラダを入れられながらもすり抜け、ペナルティエリアに入る寸前で倒される。PKにも見えたがFKだ。

 キッカーの仙頭が蹴ったボールはなんとゴール前の密集を通り抜け逆サイドへ抜けてしまう。惜しいチャンスだった。

 試合全体に強く鋭い縦パスで局面を打開する場面が多く、非常にエキサイティングだった。

 弱い横パスやバックパスが多い試合にくらべ見どころのあるゲームだった。

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【J1リーグ】仙台がまんまとうまくハメた 〜第16節 名古屋 0-1 仙台

2021-05-29 17:09:14 | Jリーグ
仙台の放り込みとブロック守備が利いた

 ベガルタ仙台のゲームモデルはハッキリしていた。

 ポイントは3つだ。

 (1)マイボールになったらロングボールを放り込む。

 (2)相手ボールになれば素早く自陣に4-4のブロックを敷く。

 (3)名古屋にサッカーをやらせず、なるべくガチャガチャした展開に持ち込む。

 これにより名古屋グランパスは1点先行され、まんまとうまく必敗形にハメられた。

名古屋は速い切り替えをさせてもらえなかった

 名古屋はボールを奪ったら素早く攻めに切り替えたかった。

 だが仙台のネガティブ・トランジション(攻から守への切り替え)が速く、名古屋は攻めへの速い切り替えがうまくいかなかった。

 そのため名古屋はボールを持つと、常に敵の堅固な守備ブロックを相手にすることになった。

 これがすべてだ。

 終盤、ゴール前の混戦が続き、いつ名古屋に点が入ってもおかしくなかったが、勝利の女神は微笑まなかった。

 名古屋は伸ばした手に勝利をつかめなかったが、仙台は伸ばした足にボールが届いた。

名古屋は「人がよく」先制されると相手のペースにハメられる

 変な表現だが、名古屋は「人がいい」。先制されると、ズルズルと相手のペースにハメられる。

 そこでズル賢く切り返し、自分たちのゲームにすることができない。

 これはメンタルの問題だろう。

 逆にいえば仙台は「やること」(前述の3つ)が徹底しており、しっかりしていた。

 彼らは粘り強く自分たちのゲームモデルを貫いた。

 その結果の勝利だといえる。

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【J1リーグ】よくも悪くも「日本のサッカー」だ 〜第16節 広島 2-2 浦和

2021-05-28 05:35:25 | Jリーグ
世界では勝てない

 J1リーグの中位同士の対決だ。J1リーグでは悪くないレベルなのかもしれないが、「世界」という目で見れば「2部リーグ」に映る。

 浦和レッズは「ユンカー効果」で上位を窺う位置にいるが、彼がいなければ並のチームだろう。

 なぜ浦和のキャスパー・ユンカーがあれだけ飛び抜けて見えるか? それはあれが「世界標準」だからだ。

 サンフレッチェ広島もバランスが取れており穴がない、といえばいえるが、そこから頭ひとつ抜け出す爆発的な力がほしい。

 日本のサッカーが世界で勝つためには、まだまだ改善が必要だと感じた。

浦和4-2-3-1、広島3-4-2-1

 浦和のフォーメーションは4-2-3-1。守備時4-4-2だ。スタメンは最終ラインが右から西大伍、岩波拓也、槙野智章、明本考浩。

 2CMFは柴戸海と伊藤敦樹。2列目は右から田中達也、小泉佳穂、汰木康也。ワントップはキャスパー・ユンカーである。

 一方、広島のフォーメーションは3-4-2-1だ。スタメンは3バックが右から野上結貴、荒木隼人、佐々木翔。中盤は右から藤井智也、柴崎晃誠、ハイネル、東俊希。

 2シャドーは長沼洋一とエゼキエウ。ワントップはジュニオール・サントスである。

ガラパゴス化した日本式パスサッカー

 浦和は典型的なポゼッション・スタイルだ。攻撃型のチームで、守備に入るとやや心もとない。

 ただ浦和はインサイドキックの球質自体から変える必要がある。もっとボールスピードが必要だ(これは広島にもいえる)。

 一方の広島は守備時5-3-2で待ち受ける。ボールを奪えば器用にポゼッションもできる。よくつなぐ。エゼキエウは非常に危険な選手だ。

 ただ私の目には両チームとも、ガラパゴス化した日本式パスサッカーと映る。世界には通用しない。

 プレースピードが遅いしテンポもスローだ。もっと展開に一定以上のスピードがあり、もっとリズミカルでなければダメだ。

 常にトランジションを意識し、切り替えを速くするために一定以上のプレースピードを常時確保しておく必要がある。

 例えばマンチェスター・シティを見ればわかるが、彼らはものすごいハイテンポで90分間プレイし続ける。しかも2タッチ縛りで。

 あの頂をめざし、もうひと山越えるために両チームとも研鑽を積んでほしい。

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【J1リーグ】苦いドロドロの野菜ジュースみたいな試合だった 〜第16節 鹿島 1-0 C大阪

2021-05-27 04:13:31 | Jリーグ
鹿島のパスワークには「設計図」が見える

 試合冒頭の10分間、見ただけでも、両チームのレベルの違いがよくわかる。

 もちろん鹿島アントラーズの方が上だ。

 インサイドキックの球質のレベルがまるで違うのだ。

 鹿島のパスワークは「設計図」がよくわかる。一方のセレッソ大阪は何がやりたいのかまるでわからない。

 ただセレッソは相手にサッカーをやらせないよう試合を殺しに来たため、鹿島も苦労した。

 鹿島がポゼッションし、セレッソがカウンターの機会をうかがう、という展開だった。

4-2-3-1のミラーゲームだ

 鹿島のフォーメーションは4-2-3-1。守備時4-4-2だ。スタメンはGKが沖悠哉。最終ラインは右から常本佳吾、犬飼智也、町田浩樹、永戸勝也だ。

 2CMFはディエゴ・ピトゥカとレオ・シルバ。2列目は右から荒木遼太郎、小泉慶、白崎凌兵。ワントップは土居聖真である。

 一方、C大阪も4-2-3-1のミラーゲームだ。

 鹿島は相手ボールに対する寄せが速く、切り替えが機敏だ。

 獲物に襲いかかるスズメバチの群れのようである。

 セレッソはボールを持ってもほとんどまったく何もできない。

 なぜロティーナ監督を手放したのか? という感じである。

セレッソは正体不明のヌエのようだ

 セレッソは常に自陣にブロックを敷いてべったり引き込むわけでもなく、ミドルプレスだ。

 むしろラインは高い時さえあるのだが、なんだかふにゃふにゃした正体不明のミステリアスなサッカーであり、かえってその「ワケのわからなさ具合い」が鹿島の足を引っ張り鹿島にサッカーをさせない。

 そうこうするうち鹿島のリズムがすっかり狂ってくる、という非常に珍しい試合展開になっている。

「クルピ・マジック」と言えなくもない。

 そんなセレッソはいざブロック守備の態勢に入ると要所で6バックになり、(ロティーナ体制の名残りなのか)けっこう守備が堅い。

 ザ・アンチフットボールである。
 
 相馬アントラーズの切り替えの速いピリッと冴え渡るサッカーを見ようと意気込んでいたのだが、すっかりアテが外れてしまった。セレッソのせいだ。

 こうなったら途中出場するであろう上田綺世を見るのだけが唯一の楽しみである。

あとはどんな絵を描くか? だけのセレッソ

 鹿島のビルドアップは両SBを高くあげ、2人のCBが大きく開いて2バックで行う。

 セカンドボールをよく拾うし、特に小泉慶はスプリントがすばらしい。

 対するセレッソは藤田直之と原川力という「いぶし銀」が2人もおり、最終ラインには期待の星である瀬古歩夢がいる。

 もちろん、いうまでもなく至宝・清武弘嗣もいる。

 あとはどういう絵を描くか? だけなのに、非常に惜しい話だ。

 守備は堅いのだから残るはどうビルドアップし、どう展開し、どうフィニッシュするか? という問題である。

鹿島の荒木、冷静な切り返しで「勝負あり」の決勝点

 後半9分だった。ピッチの中央で鹿島のディエゴ・ピトゥカが組み立てのパスを出す。

 それを受けた永戸勝也が左サイドから、敵GKとディフェンスラインの間を狙ったすばらしいグラウンダーのラストパスを送る。

 決定的。「あとは打ってくれ」という話だ。

 だがドンピシャのタイミングでゴール前に入ったシューターの白崎凌兵が、セレッソ左SB、丸橋祐介の倒れながらのいいディフェンスに合いフィニッシュが決まらない。完全に1点ものの守備だった。

 そして大団円は後半27分に訪れる。

 セレッソのパスミスが鹿島にとっては超ナイスパスになり、このプレゼントボールを受けた土居聖真が左を上がってきた荒木遼太郎にラストパス。荒木は冷静に切り返しを入れ、右足でゴールの右スミに沈めた。

 決勝点である。

 下から足元に絡みついて水の底へもろとも引き摺り込もうとするかのような怨霊みたいなセレッソ相手の試合だ。

 それだけに鹿島にとっては、この試合に競り勝ったのは非常に大きい。

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【J1リーグ】勝者なきスコアレスドロー 〜第15節 徳島 0-0 名古屋

2021-05-25 05:06:04 | Jリーグ
名古屋がハイプレスで新境地を見せる

 徳島ヴォルティスのビルドアップに対し、名古屋グランパスが珍しくハイプレスで応じるなど、引き分けに終わったながら新境地が見られたゲームになった。

 マテウスは川崎Fとの首位決戦2戦目のCKからのゴールを経験し、すっかり得点に貧欲になりシュートを打ちまくる。

 これに対し徳島は杉森、宮代がキーマンになり、ボールを握って攻撃を組み立てるがなかなか得点には至らない。

 かくして1点を争う競ったゲームは膠着状態になり、最後はスコアレスドローという結果になった。

 リーグ2位のチームを相手によく戦った徳島は手応えを得たが、できればとどめを差しておきたかったゲームだった。

4-2-3-1のミラーゲームに

 徳島のフォーメーションは4-2-3-1だ。スタメンはGKが上福元直人。最終ラインは右から岸本武流、ドゥシャン、カカ、ジエゴだ。

 2CMFは鈴木徳真と岩尾憲。2列目は右から小西雄大、宮代大聖、杉森考起。ワントップは垣田裕暉である。

 一方、名古屋のフォーメーションも4-2-3-1だ。スタメンはGKがランゲラック。最終ラインは右から成瀬竣平、中谷進之介、木本恭生、吉田豊だ。

 2CMFは稲垣祥と米本拓司。2列目は右からマテウス、ガブリエル・シャビエル、相馬勇紀。ワントップは柿谷曜一朗である。

徳島・杉森のシュートはゴールならず

 相手のビルドアップに対し、今日の名古屋はいつもより高い位置からプレスをかけている。

 いつもならミドルプレスだが、心なしかゾーンが高い。

 前半12分。その名古屋が敵陣中央でFKを得た。

 キッカーのマテウスは左足で浮き球を前線に送ると、中谷がペナルティエリア内で抜け出してヘディング。だがシュートは枠からはずれて行った。

 一方、徳島はポゼッションして名古屋にしきりに圧をかけるが、なかなかゴールに至らない。果たしてボールを握っているのか、それとも握らされているのか? 彼らにもよくわからなかっただろう。

 そんな前半18分。徳島の鈴木徳真が敵陣中央をドリブルで攻め上がり、左の杉森にパスを出す。

 杉森はカットインし、ペナルティエリア手前左方からシュートを打つが、防がれた。

貧欲にシュートを打つマテウス

 マテウスは川崎Fとの首位決戦2戦目のCKからのゴール以来、ゴールに貧欲になっている。積極的にシュートを打つ。彼はFKからのゴールも虎視眈々と狙っている。

 前半28分。名古屋は敵陣左サイドでそのFKを得る。

 キッカーのマテウスが左足でロングボールを放つと、味方がドッとペナルティエリア内に走り込む。

 中央にいた柿谷がコースを変えると、ファーの味方が競り合いに。だがシュートチャンスにはならなかった。

 また前半47分。またもマテウスが右サイドの敵陣深い位置から米本にマイナスのパスを出す。受けた米本は痛烈なシュートを打ったが、敵DFにブロックされた。

名古屋は相手に「やらせておく」

 ゲームは後半に入ったが、大きな流れは変わらない。徳島がポゼッションし、名古屋はやらせておく、という展開である。

 とはいえ「相手にボールを持たせる」といっても、自分たちがまったくボールをもてないのでは得点機会は訪れない。

 そこで後半15分、名古屋は打開策に打って出る。シャビエルに代えて長澤和輝を、相馬に代えて齋藤学を投入する交代策である。

 これにより米本をアンカーにした3センターにシフトチェンジした。そして齋藤を左WG、マテウスを右WGとする3トップに変えた。

 名古屋は続く後半28分にも、今度は米本に代えて山崎凌吾を投入。これで2CMFに戻し、柿谷をトップ下に、山崎をワントップに据えた。

 すると後半30分。名古屋の齋藤が敵陣中央からスルーパスを送り、受けた柿谷が抜け出す動きをする。彼はペナルティエリア左からシュートを放ったが、ボールはゴールの右へ外れた。

徳島は自信を得たが勝ち切りたかった

 一方の徳島も無得点の状況に業を煮やした。後半29分。鈴木徳真に代えてクリスティアン・パトッキオ(CMF)を投入。

 また続く後半39分には宮代と杉森、垣田を引っ込め、渡井理己と藤原志龍、佐藤晃大を入れる3枚代えを敢行した。

 かくして終盤も徳島がポゼッションし、名古屋がカウンターを狙う展開になった。だが互いにゴールを割れず、痛み分けである。

 両者、得点がなかった試合の評価はむずかしい。

 上位を相手に健闘した徳島は勇気づけられる勝ち点「1」になったが、ぜひとも勝ち切りたかった。

 反対に劣勢の名古屋とすれば、「大ケガせずに済んだ」といったところだろうか。

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