~ かたわらに猫 ~
さくらの花が咲きはじめた並木道を三毛猫が歩いている。前方からも茶髪の猫がやってくる。待ち合わせをしての花見なのか。冬の間は外で猫をあまり見かけなかったが、暖かくなれば外出する猫が多くなるだろう。4月1日から☀朝刊に『吾輩は猫である』の連載開始。、
猫は私たちのもっとも身近な動物だが話すことが出来ないのは残念だ。いや共通の言葉がないため猫の動作や表情は人間にいろいろなことを思わせて楽しい。犬に比べて妖しげな風情がただよっている。猫が詠まれた歌はとても多い。私もたくさん詠んでいるが迷歌ばかりである。穂村弘著✿『短歌ください』 のなかでこんな歌に出会った。次の一首は「ダ・ヴィンチ」の読者の投稿歌の中から穂村弘が選んだ作品である。
✿ 飼っている猫がこっちを見ています僕は将来有望ですか (ハレヤワタル・男・28歳)
気になる自分の将来を猫に訊くとはスゴイ歌だ。きびしい応えがあるはずもないから猫に問うのだろうか。穂村弘は次のように書いている。~唐突な「僕は将来有望ですか」に意表を突かれつつ、奇妙な納得感を覚えます。「猫」って物凄く賢そうに見えたり、全てを知っているように思えたりすることがありますね。だから漱石も「猫」を書いたのかなあ。「飼っている猫」なら「僕」についてのデータも充分だから、未来予測も可能でしょう。
今朝9時のツィツターで、私は「吾輩は猫」みたいな猫に出会った。朱いカーペットに仰向けになり私を見ている。なんとなく批判的に私を見ている。私のことを気遣ってくれているようにも見える。茶褐色の猫、たぶん初老の猫だろう。7031さんの猫にまた会いたい。
3月25日 松井多絵子