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歌人クラブ東京ブロック大会

2016-10-27 09:23:24 | 歌う

            歌人クラブ東京ブロック大会

 昨日、中野サンプラザで歌人クラブ東京ブロック大会があった。恒例の「優良歌集」の表彰と講演、今年の優良歌集は ✿『霜葉』 著者・水谷文子 ✿『月と海』 著者・松尾祥子
✿『惑亂』 著者・堀田季何 ◆講演「歌ことばの現在」 講師 今野寿美  まず表彰された3人の歌集についてお伝えしたい。今日は 水谷文子歌集『霜葉』について。

 水谷文子は40年の都立高校教師生活を退いた節目として第二歌集を刊行した。ときおり批評精神をのぞかせながら端正な言葉を用いて題材を広げている。角川学芸出版『霜葉』から今井千草(短歌人編集委員)が20首を抄出し会場で解説した。その中から私の好きな7首を抄出する。

             水谷文子『霜葉』より七首

    バスケットボールとどろき肉体の飛び交ふごとく奔る若きら

    きのふのしごとけふのしごとの間に聴く泰山木のはな濡らす雨 

    霜葉はまこと花より紅ければ五十代すゑ愉しくをあらむ

    雪囲ひ済めばすつぽり冬となりじかんの無限にあつた冬の子

    いるかのジャンプ派手に褒めあげ失敗は見ぬふりをせよ 訓練士言ふ

    寡黙なる人こそよけれ的確に批評さるるは地獄にか似る

    新学期のわれはきつぱり宣言す「古典のノートは縦書きにして!」 

 作品のなかに元気な「水谷先生」が見え隠れして愉しい。自分の歌を的確に批評されると私も恐ろしくなる。水谷先生は「かりん」に所属。歌会での新鋭歌人の批評は厳しいであろう。若い人たちはほとんど横書き、せめて古典のノートは縦書きにと願う水谷先生、スミマセン。私も近頃は横書きが多くて。水谷文子には面識がないが杉並区在住、あるいは街で度々すれ違っていたかもしれない。秋田県出身とのこと。雪の歌に情感がこもっている。「時間の無限にあつた冬の子」の頃から彼女は歌人だったのであろう。

   次回は松尾祥子歌集『月と海』について書きます。 10月27日 松井多絵子

      


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