えくぼ

ごいっしょにおしゃべりしましょう。

殻ちゃん~27回

2014-09-27 09:04:52 | 歌う

              殻ちゃん~27回

 ✿ 「遠野」とう茶房に入りしとき波が、アルハンブラのギターのさざ波  松井多絵子

 はじめての保護者会が終わった後、アキと飛鳥のママとさやかのママの三人が神山学園の近くの喫茶店にいた。飛鳥は殻ちゃんの隣席、さやかは前の席、娘の友だちはママの友だちにもなるのか。3人はカフェオレを飲みながらオシャベリをする。

 さやかのママ ♠ 「若いけどしっかりしてるわねシンジローは。いきなり皆さんのお子さんは秀才なんかじゃない。神山学園に入ったからアタマがいいなんてトンデモナイ、ですもの。」

 飛鳥のママ  ♠ 「たしかにそうかもしれないけどねえ。進学熟のおかげで学力をつけただけ。合否は1点の差で決まる。運が良かったに過ぎない。ウチの子はアタマがいいなんて決して思うな。とまで言われると。殻ちゃんはYなのNなの、進学塾は?」

     アキ  ♠ 「近所の塾の先生が熱心に教えてくれて。」

 さやかのママ ♠ 「おくれて入ってきた足立ユイのかっこいいこと。雑誌やテレビでよく見るけど、実物もいいわねえ。あの白いパンツスーツを見事に着こなして。」

 飛鳥のママもユイの息子の塔君までステキらしいと言う。アキは店にながれるギターの音に耳を傾けていた。このママたちはオラが歌手だったことを知らないのだ。ユイといっしょに唄っていたことも。でも知らない方がいい。気が楽だ。ユイも歌手だった頃のことは知られたくないのだ。保護者会が終わるとアキに挨拶することもなく帰ったのだから。(続く)

 ✿ ほのぐらき茶房の奥にいてわれは海底の魚になりてしまいぬ

                      9月27日  松井多絵子


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