~NO、2になりたい ~
オリンピックで銀メダルはイヤ、金メダルが欲しいという選手の表情を見るとシンドイ。NO、1はイヤ。NO、2になりたい人たちもいる。NO、1は常に崖っぷちに立っている。社長より副社長になりたい、という人も多い。でも副社長だってめったになれない。
12月8日の✿朝日歌壇より4人の選者の入選歌NO、2を採りあげてみる。
★颯爽と肩で風切り映画館後にしたっけ「健さん」を観て (香川県) 藤井哲夫
♠永田和宏選評 {健さんを見た後は、私などはいつも俯角45度で家まで帰ったものだ}
人気俳優高倉健の映画を見て逞しい男になろうとする男と、自分が頼りなくなる男と。
★「寒い」って君がつぶやくところからはじまった冬と高三の恋 (筑後市) 近藤史紀
♠ 馬場あき子選評 {初恋の回想だが、時間的に遠くなく今につづくリアリティがある}
冬からはじまった恋、しかも高校三年、この冬も続いているのか、この恋は。
★感情は老いには無いと思うらし箱型四階ホームの図面 (鎌倉市) 月村邦子
♠ 佐佐木幸綱選評 {経済性と機能性ばかりを重視した老人ホーム}
老人こそ感情が極めてするどい。粗末に扱われれば心が痛む、
★ポケットにローリーの首輪しのばせて時流れても淋しき散歩 (横浜) 加藤久
♠ 高野公彦選評 {亡き犬を心に秘めての散歩}
ローリーという愛犬の名がいかにも淋しい。「首輪」が利いている。
朝日歌壇各選者NO、2はみな心に沁みる歌ですね。
12月9日 松井多絵子
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