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新人賞の男子歌人の怖さ

2018-08-17 13:48:41 | 歌う
先日、郵送された歌集の封を開いて驚いた。表紙の装画はラファエロの聖母、著者の八木博信は2002年に短歌研究新人賞を受賞している。この歌集と表紙はいかにもミスマッチだ。

▲ 少女らの猥談みちる理科室にねむる琥珀の女王蜂が

▲ 婚近き若き教師の喉仏うごく少女の視線あつめて

▲ 「先生、あたし、整形したの」新しく何が見えるか?二重瞼で

この歌集をひらくと、こんな歌に出会う、さすがに新人賞歌人だ。斬新だと思う。表紙の聖母がとても気なる。

昨年の新人賞、小佐野弾について同性愛を隠すどころか武器にしたなどと私は意地悪なことを書いた。昨年「死ぬほど好きだから死なねーよ」という歌集を刊行した石井僚一は健在の父親を亡き人にした一連で短歌研究新人賞を受賞した。だから私は新人賞の男子歌人は怖い。

短歌人口の7割は女性らしい。が結社の主宰は男性が多い。新人賞も男性の活躍が目立つのは大胆不敵だからか。八木博信氏の「ザビエル忌」はまだ読み始めたばかりなので感想は控えるが、男子歌人は新人にしては表現力の完成度が高いのではないか、まじめに勉強しているのだ。しかし新人賞は優等生ではダメ。だから偽悪的、屈折した自分を演出し強調するのだろうか。

今年の短歌研究新人賞の発表が近づいて来た。私は10年位前まではこの時期はそわそわしていた。ことしは女性を、卑弥呼みたいな逞しい女を期待している。