ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

胎内第2ダム

2016-06-13 17:49:00 | 新潟県
2016年6月11日 胎内第2ダム
 
胎内第2ダムは新潟県胎内市宮久の二級河川胎内川本流にある新潟県企業局が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
1951年(昭和26年)の電気事業再編により新潟県は東北電力の管轄となりますが包蔵水力豊富な新潟県では同社だけでは開発の手が足りず公営発電である県企業局による電源開発が併せて進められました。
胎内川では1957年(昭和32年)より県企業局による電源開発が進められ、まず1959年(昭和34年)に完成したのが胎内第2ダムです。
ここではダム直下の胎内第2発電所で細大3600キロワットのダム式発電が行われています。
さらに3年後の1962年(昭和37年)には上流に胎内第1ダム・発電所(最大出力1万100キロワット)が完成、現在はさらに2基増設され第1~第4発電所併せて1万9200キロワットの発電能力を有しています。
 
胎内川沿いを走る県道53号を奥胎内ヒュッテに向かって進むと、右手に胎内第2ダムが見えてきます。
緑色のシングルゲートのダムは、緑の森の中に同化してるかのようです。

 
同じ場所からズームアップします。
ダム直下右岸側(向かって左)に胎内第2発電所があるのですが樹林に隠れて見えません。

積雪対策で切妻になった機械室とまっすぐに下りてゆく導流壁が特徴です。
 
残念ながらダムは立ち入り禁止。
 
総貯水容量285万立米のダム湖
数字ほど大きな貯水池には見えませんが、上流に細く長く続きます。

新潟県企業局のダムでは管理事務所じゃなく「見張所」。
 
0747 胎内第2ダム(0446)
新潟県胎内市宮久
胎内川水系胎内川
41.5メートル
90メートル
2850千㎥/1780千㎥
新潟県企業局
1959年

大石ダム

2016-06-13 16:02:00 | 新潟県
2016年6月11日 大石ダム
 
大石ダムは新潟県岩船郡関川村大石の一級河川荒川水系大石川にある国交省北陸地方整備局が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
1967年(昭和42年)の羽越豪雨では荒川水系を中心に新潟県下越地方と山形県で死者100名を超える甚大な被害が発生、これを機に国は二級河川だった荒川を一級河川に格上げし直轄事業による治水に乗り出します。
建設省(現国交省)は荒川本流にダム建設適地がなかったことから、主要支流である大石川への治水ダム建設を進め、これに発電事業者として荒川水力電気(株)が事業参加し1978年(昭和53年)に竣工したのが大石ダムです。
大石ダムは国交省が直轄管理する特定多目的ダムで大石川および荒川下流域の洪水調節、荒川水力電気大石発電所での最大1万900キロワットのダム式水力発電を目的としています。
その後2008年(平成20年)には荒川上流域最大支流である横川に横川ダムが完成し、荒川水系の治水能力は大きく向上しています。
また2015年(Lせて公園が整備されましたが、ちょっと荒れ気味。
クレストラジアルゲート2門、コンジット高圧ラジアルゲート1門、ホロージェットバルブ1条を備えています。
導流壁右手の管路はホロージェットバルブの放流管。



赤いラジアルゲート
新潟県営ダムでは赤いゲートが定番。
ここは国交省直轄ですがやはり赤いゲート。 


右岸下流から
堤体から発電用水圧鉄管が突き出ています。
一方手前のホロージェットバルブから河川維持放流中。


ゲートハウスとエレベーター棟。


照明に止まるハヤブサ
大石ダムでは毎年は営巣するそうです。


羽越豪雨の説明板。


竣工記念碑。


右岸管理事務所前のダムのモニュメント。


天端は徒歩のみ開放。
職員さんの心づかいの花のプランターがうれしいですね。


ゲート越しの減勢工
減勢工左手が利水放流設備となるホロージェットバルブ。


総貯水容量2280万立米の『おおいし湖』
洪水期は有効貯水容量1780万立米の大半が洪水調節容量となります。
訪問時は洪水期に向けて水位が下げられていました。


左岸のトンネルには関川村に伝わる『大したもん蛇』をモチーフにした壁画が描かれています。 
大蛇伝説や竜神伝説は洪水や土石流を由来とし、大石川や荒川が暴れ川である証ともいえます。


上流面
水位が下がっているので各設備がよく見えます。
右手は管理事務所
主ゲートの下にはコンジット予備ゲート、その左がホロージェットバブル取水口
さらに左手が発電用取水設備。
 
大石ダムをはじめ、新潟県中下越地方の治水・多目的ダムの多くは羽越豪雨を契機に建設されました。
ダム知ることは水害を知ること、つまり防災意識を高めることに紛いありません。

(追記)
大石ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。

0775 大石ダム(0445)
新潟県岩船郡関川村大石
荒川水系大石川
FP
87メートル
243.5メートル
22800千㎥/17800千㎥
国交省北陸地方整備局
1978年
◎治水協定が締結されたダム

鷹の巣ダム

2016-06-13 15:08:00 | 新潟県
2016年6月11日 鷹の巣ダム
 
鷹の巣ダムは左岸が新潟県岩船郡関川村大内渕、右岸が同村湯沢の一級河川荒川本流にある東北電力(株)が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
もともと当地には東北電力の旧鷹の巣発電所がありましたが、老朽化を受けて1996年(平成8年)に再開発が着手されました。
新しい鷹の巣ダムは2000年(平成12年)に竣工、ダム式発電所の2代目鷹の巣発電所は翌2001年(平成13年)より運用が開始され最大1万5700キロワットのダム式発電を行っています。
建設当時は新鷹の巣ダムという名称でしたが、完成後に鷹の巣ダムに変更されました。
 
ダムは荒川が大きく蛇行した先にあり、国道113号から見ることはできません。
ダムへ通じる旧道は通行止で立ち入ることはできませんでした。


あきらめてて引き返そうとしたのいですが、国道113号の片貝トンネルの脇から山へ通じる踏跡が見つかりました。
藪こぎ覚悟で突進したら、ラッキーなことに樹間からダムが見えました。


こちらは発電所です。
2000年竣工ということでコンクリートはまだきれいに見えます。
発電所の手前から魚道が伸びでいます。
 
さらに先へ進むと、ダム全体が見えました。
8門のラジアルゲートがあります。


扶壁上にゲート操作室が並び、管理橋で結ばれています。
ほかの東北電力のダムでは見られないデザインです。
 
(追記)
鷹の巣ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。
 
3249 鷹の巣ダム(0444)
左岸 新潟県岩船郡関川村大内渕
右岸        同村湯沢
荒川水系荒川
28メートル
177メートル
1865千㎥/1810千㎥
東北電力(株)
2000年
◎治水協定が締結されたダム

赤芝ダム

2016-06-13 12:47:00 | 山形県
2016年6月11日 赤芝ダム
 
赤芝ダムは山形県西置賜郡小国町玉川の一級河川荒川本流にある赤芝水力発電(株)が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
1954年(昭和29年)に東芝セラミックスの前身である電気金融(株)(のちの東芝電興業)によって同社小国製造所の精錬向け自家発電施設として建設されました。
2007年(平成19年)に東芝セラミックスが外資に買収されたのち、2010年(平成22年)に発電部門が赤芝水力発電として独立、現在はクリーンエネルギー事業を手掛けるリニューアブルジャパン(株)の傘下となっています。
赤芝発電所で最大5200キロワットのダム式発電を、1999年(平成11年)に増設された第2赤芝発電所で最大6000キロワットのダム水路式発電を行っています。
 
日本海東北自動車道の荒川胎内インターチェンジから関川に沿って国道113号を東に向かい、新潟から山形県に入ったすぐ先に赤芝ダムがあります。
上流から。
左は国道113号線のスノーシェッドです。
 
ダムへの道路は入り口で立ち入り禁止です。

ダムに隣接したて赤芝発電所。

国道から見下ろしますが、肝心のダムはうまく見ることができません。
 
さらに下流から
 
同じ場所からズームアップしますがこれが限界です。
ゲートや導流面を見ることはできませんでした。

よく見えないことは事前の予習で分かっていましたが、やはり見えそうで見えないのは少し残念です。
 
(追記)
赤芝ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。
 
0423 赤芝ダム(0442)
山形県西置賜郡小国町玉川
荒川水系荒川
31.8メートル
57.3メートル
2078千㎥/1632千㎥
赤芝水力発電(株)
1954年
◎治水協定が締結されたダム

馬ヶ城ダム

2016-06-06 14:00:00 | 愛知県
2016年6月5日 馬ヶ城ダム
 
馬ヶ城ダムは愛知県瀬戸市馬ヶ城町にある瀬戸市水道課が管理する上水道用水目的の重力式コンクリートダムです。
1933年(昭和8年)に瀬戸市の事業で隣接する馬ヶ城浄水場ともども建設されましたが、普段は立ち入りが許されず毎年6月の水道週間中の日曜にだけ一般公開されます。
戦前の古いダムに加えて美しい転波越流が見られることから、一般公開はダム愛好家でも人気のイベントとなっています。
 
東海環状自動車道瀬戸赤津ICから、国道248号線の標識に従ってダムのある馬ヶ城浄水場へと向かいます。
職員さんの誘導に従い駐車場に車を止めますが既に結構な数の車が止まっていました。
受付を済まして見学スタートです。
 
駐車場の先にろ過池があります。
全国でも珍しい緩速ろ過池で8時間かけてゆっくりと水をろ過します。
 
こちらはろ過池への水量を調整する着水井です。
上流の川から直接水を引いています。
 
木造の水源地事務所。
 
いよいよ馬ヶ城ダムへ向かいます。
 
正面にダムが見えてきました。
あいにくの曇天ですが、越流面には美しい鱗が!
 
想像以上に美しい転波です。
越流面の傾斜に合わせて鱗が広がりながら流れ続けます。
 
切り取ってみます。
息を呑む美しさとはこのことでしょう。
 
堤体に接近して撮ってみます。
堤体の下で甲斐甲斐しく写真を撮っている女性がいたのですが、実はダムマイスターの『佳』さんでした。
話を伺うとここ数年では一番美しい鱗だということでラッキー!!
 
天端に上ってみます。
古い上水用ダムでよくみられる円形の取水口。
 
貯水池は総貯水容量20万立米。
実は馬ヶ城浄水場は上流の川から直接水を引いており、ダムの貯水池は大雨で川の水が濁ったり水の需要が急増した際のサブとして利用されます。
 
天端から見下ろしてみると。
上から見る鱗も素晴らしい!!
 
ダムの下には紅葉をはじめ照葉樹が植えられています。
深緑もいいのですが、紅葉の時期にぜひ公開を!
 
見学会場では瀬戸西高校茶道部による呈茶サービスもありました。
 
最後に馬ヶ城の水のペットボトルを頂きました。
 
楽しみにしていた馬ヶ城ダムですが、期待以上の素晴らしい越流が見られ大満足。
職員さんに瀬戸市の水道について詳しい話を聞けたほか、ダムマイスターの『佳』さんとも知己を得ることができました。
 
1204 馬ヶ城ダム(0441)
愛知県瀬戸市馬ヶ城町
庄内川水系瀬戸川
16.6メートル
54.5メートル
200千㎥/199千㎥
瀬戸市水道課
1933年

谷山防災溜池

2016-06-06 13:00:00 | 岐阜県
2016年6月5日 谷山防災溜池
 
谷山防災溜池は岐阜県可児郡御嵩町御嵩の木曾川水系可児川右支流谷山川にある農地防災および灌漑目的の重力式コンクリートダムです。
岐阜県には全国最多の17基の農地防災ダムがあり、御嵩町中心部の可児川北岸には真名田防災溜池と谷山防災溜池が1キロ間隔で並んでいます。
両者ともに農水省の補助を受けた岐阜県の防災溜池事業によって1953年(昭和28年)に完成しました。
現在は一帯の防災ダム、溜池ともども可児川防災等ため池組合が管理を受託しています。
 
国道21号旧道を御嵩町役場の先で左折して山手に上って行くと、墓地の先に堤体が見えてきました。
 『堤体に墓!!』
 
墓地の部分はコンクリートできっちり護岸されています。
てっきりこれが堤体だと思っていたんですが・・・・
 
奥にコンクリートの洪水吐が見えます。
じゃあ手前は副堤??
 
案内板を見ると謎は解けました。
副堤の堤高は14.4メートルのためダムの要件は満たしていませんが、堤頂長は主堤を遥かに凌ぐ212メートルもあります。
ちなみにダム便覧の諸元と案内板の諸元は異なります。
 
ズームアップします。
自由越流式のゲートが7門、左岸に取水設備があるようです。
ただし主堤への道は関係者以外立ち入り禁止、下流側への道も見つかりません。
 
副堤の天端です。
これだけ見れば立派なアースです。
 
副堤は212メートルもV字に折れています。
灌漑期ということでほぼ満水。
 
インレットには砂防ダムが見えます。
行儀の悪い釣り師が糸を垂れています。
 
(追記)
谷山防災溜池には農地防災容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により洪水調節容量が確保されることになりました。

1076 谷山防災溜池(0440)
ため池コード 215210032
岐阜県可児郡御嵩町御嵩
木曽川水系可児川右支流谷山川
FA
18メートル(ため池データベース・現地案内板 20.1メートル)
62メートル(ため池データベース・現地案内板 59メートル)
268千㎥/268千㎥
可児川防災等ため池組合
1953年
◎治水協定が締結されたダム

真名田防災溜池

2016-06-06 12:30:00 | 岐阜県
2016年6月5日 真名田防災溜池
 
真名田防災溜池は岐阜県可児郡御嵩町中の木曾川水系可児川右支流大庭川にある農地防災および灌漑目的のアースフィルダムです。
岐阜県には全国最多の17基の農地防災ダムがあり、御嵩町中心部の可児川北岸には真名田防災溜池と谷山防災溜池が1キロ間隔で並んでいます。
両者ともに農水省の補助を受けた岐阜県の防災溜池事業によって1953年(昭和28年)に完成しました。
現在は一帯の防災ダム、溜池ともども可児川防災等ため池組合が管理を受託しています。
 
国道21号旧道を東進し県道83号を左折、大庭台団地に入って行くと溜池の袂に到着します。
貯水池上流側は親水公園となっており、ダムを周回する遊歩道が整備され、近隣の皆さんの散歩コースになっているようです。
ダムの目的はFAです。
訪問したのが灌漑期ということで貯水池はほぼ満水。灌漑期が終わると農地防災容量分水位が下げられるんでしょう。
 
天端も遊歩道の一部となっています。
車両は通行できません。
 
左岸に取水設備があります。
 
天端から下流を眺めると。
きれいに整理された水田が並んでいます。
 
左岸に洪水吐があります。
 
堤体の下に下りてみます。
右手の小さい穴が取水設備からの放流口になります。
 
下流から見上げると。
ここから見えうとダムらしく見えますね?
 
溜池の下には不動明王が祀られています。
不動明王といえば滝、その名も真瀧不動明王です。
たぶんここに溜池ができる前は大庭川の小さな滝があったんでしょう。
 
1077 真名田防災溜池(0439)
ため池コード 215210045
岐阜県可児郡御嵩町中
木曽川水系可児川右支流大庭川
FA
17メートル
98メートル
285千㎥/285千㎥
可児川防災等ため池組合
1953年

山田防災ダム

2016-06-06 12:00:00 | 岐阜県
2016年6月4日 山田防災ダム
 
山田防災ダムは岐阜県飛騨市神岡町山田の神通川水系山田川にある農地防災目的のアースフィルダムです。
岐阜県には全国最多の17基の農地防災ダムがありますが、山田防災ダムもその一つで農水省の補助を受けた岐阜県の防災ダム事業によって1988年(昭和63年)に竣工しました。
完成後は飛騨市(完成当時は神岡町)が管理を受託しています。
 
神岡から国道41号~県道75号を南下して、山田地区を過ぎると左手に山田防災ダムが見えてきます。
岐阜県の防災ダムでよくみられるように堤体に貯水池名が書かれています。
 
天端は車両通行可能。
 
上流面はコンクリートで護岸。
 
 
右岸に管理事務所がありそのわきから傾斜式の取水設備が伸びています。
これが常用洪水吐になります。
 
管理事務所の手前に非常用洪水吐となる横越流式洪水吐があります。
 
 
洪水吐導流部から減勢工。
堤体直下は公園ですがやや荒れ気味。
 
総貯水容量1260万立米のダム湖(山田湖)。
有効貯水容量すべてが農地防災容量のため、溜まっている水は堆砂容量と死水容量分となります。
 
下流からもアプローチできました。
ダムの直下で洪水吐導流部と常用洪水吐からの水路が合流します。
防災専用ダムのため、普段は流入量はそのまま流下されます。
 
1123 山田防災ダム(0438)
ため池コード 212170016
岐阜県飛騨市神岡町山田
神通川水系山田川
32.3メートル
140メートル
1246千㎥/1096千㎥
飛騨市
1988年

浅井田ダム

2016-06-06 11:30:00 | 岐阜県
2016年6月4日 浅井田ダム
 
浅井田ダムは左岸が岐阜県高山市上宝町吉野、右岸が飛騨市神岡町数河の神通川水系支高原川にある北陸電力(株)が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
北アルプスを水源とし水量豊富な神通川水系では戦前から神岡鉱業のほか複数の事業者により電源開発が進められてきました。
浅井田ダムは1942年(昭和17年)に神岡水力(株)によって建設されますが、完成直後に電力管理法により日本発送電に接収されました。
1951年(昭和26年)の電気事業再編成により日本発送電は解体、当初は関西電力(株)が事業継承しますが、直後に北陸電力に移管され現在に至っています。
ここで取水された水は約7キロの導水路で東町発電所に送られ最大3万2200キロワット(完成当時は3万1300キロワット)のダム水路式発電が行われています。
 
国道471号線を神岡方面に向かい高山市から飛騨市に入るとすぐに左手に浅井田ダムが見えてきます。
ローラーゲート8門を装備しています。
 
右岸に取水口があります。
奥が取水ゲートとスクリーン。古いダムらしくスライドゲートになっています。
手前は沈砂池です。
 
こちらが東町発電所への導水路呑口です。
呑口のコンクリートと上部の建屋は改修されたようでまわりとは色が違います。
 
天端はダム前面に作られており、対岸の採石場へ出入りするダンプがひっきりなしに行き交います。
 
天端から下流を眺めると。
 
ダム湖です。
ダム便覧では有効貯水容量32万8000立米となっていますが、堆砂が進み現在は26万5000立米まで減じています。
 
ローラーゲートを見下ろします。
 
左岸下流側。
 
ゲートビアの上にも管理橋がつけられています。
もともとは手前の車道はなかったのでしょう。
 
戦時中に竣工した古いダムですが、それにしても痛みが目立ちます。
大型ダンプが行き交いますが大丈夫なんでしょうか?
 
追記
浅井田ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により新たに洪水調節容量が確保されることになりました。
 
1069 浅井田ダム(0437)
左岸 岐阜県高山市上宝町吉野
右岸    飛騨市神岡町数河
神通川水系高原川
21.1メートル
135.4メートル
340千㎥/265千㎥
北陸電力(株)
1942年
◎治水協定が締結されたダム

双六ダム

2016-06-06 11:00:00 | 岐阜県
2016年6月4日 双六ダム
 
双六ダムは岐阜県高山市上宝町金木戸の神通川水系双六川にある富山共同自家発電(株)が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
富山県は主要河川がいずれも北アルプスを水源とした急流河川となっており、戦前よりその包蔵電力を糧に大量の電力を消費するアルミ精錬事業者が集積していました。
1951年(昭和26年)の電気事業再編令により、新たに北陸電力が誕生し積極的な電源開発を進めますが、同社だけでは朝鮮戦争特需で事業が急拡大するアルミ事業者の電力需要に答えることが困難でした。
そこで1952年(昭和27年)に北陸電力と富山県内のアルミ電解電炉事業者11社の共同出資により設立されたのが富山共同自家発電(株)です。
同社は神通川水系高原川と右支流双六川の水利権を獲得して1954年(昭和29年)に見座および葛山の2基の発電所を建設しました。
双六ダムは見座発電所の取水ダム兼調整池として1953(昭和28年)に竣工し、ここで取水された水は見座発電所に送られ高原川からの水を合わせて最大2万5500キロワットの水路式発電に供用されています。
その後の電力需要好転により富山共同自家発電の出資企業は4社に減りましたが、現在も日産化学(株)、昭和電工セラミックス(株)、JFEマテリアル(株)への電力供給を続けています。
 
高原川沿いの国道471号から双六川に沿って北上し、金木戸林道に入るとしばらくして右手に双六ダムが見えてきます。
ローラーゲート4門の小さなダムですがビンテージ感に満ち溢れています。
 
 
左岸の導流壁からは骨材やコンクリートの成分が染み出しています。
シュート部分は水との闘いが激しいのか?たぶん何度も改修されてるんでしょうね?
 
ゲートビアの上に管理橋があります。
コンクリートの支柱や高欄はいかにも昭和20年代のダムというデザインです。
 
上流から
とにかく水がきれいです。
 
 
対岸に取水口があります。
古いダムですが管理事務所だけは新しい。
 
(追記)
双六ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。 
 
1079 双六ダム(0436)
岐阜県高山市上宝町金木戸
神通川水系双六川
19メートル
53.3メートル
0千㎥/0千㎥
富山共同自家発電(株)
1953年
◎治水協定が締結されたダム

丹生川ダム

2016-06-06 10:45:00 | 岐阜県
2016年6月4日 丹生川ダム
 
丹生川ダムは岐阜県高山市丹生川町折敷地の神通川水系荒城川にある岐阜県県土整備部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
建設省(現国交省)の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、荒城川の洪水調節、安定した河川流量の維持と既得取水権への用水補給、丹生川町南西部への上水道用水の供給を目的として2013年(平成25年)に竣工しました。
2016年(平成28年)には河川維持放流を利用した中部電力丹生川発電所が増設され、最大350キロワットの小水力発電が開始されました。
ダムは周辺の景観との調和を考慮して建設され、ダム本体のデザインのみならず管理事務所や公園も含めた全体のデザインが評価され道府県施工ダムとしては初めてグッドデザイン賞を受賞、さらに日本ダム協会により『日本100ダム』にも選ばれています。
 
国道158号から県道89号を北上すると荒城川に合流します。ダム手前の交差点で旧道に入ると堤体直下に到着します。
V字型の導流壁が特徴ですが、下流からの姿はよくある自治体ダムの一つです。
バルブ放流が行われています。
 
放流を利用した丹生川発電所がほぼ完成
訪問直後の2016年6月より稼働しています。
 
 
県道に戻りダムへと上がります。
洪水吐のデザインが非常に前衛的です。
 
洪水吐をズームアップします。
さすがグッドデザイン賞!
 
天端は車両通行可能です。
ダム湖上流には紅葉の名所である木地屋渓谷があります。
 
減勢工。
 
左岸から。
 
左岸上流側から。
 
管理事務所もしゃれたデザインとなっています。
管理事務所周辺は公園になっており、家族連れがレジャーシートを敷いてお弁当を食べていました。
 
グッドデザイン賞。
 
さすがグッドデザイン賞を受賞しただけあり、ダム周辺は素晴らしい環境になっています。
時間が許せば公園に寝っ転がりいつまでも横になっていたい、そんなダムでした。
 
追記
丹生川ダムには洪水調節容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により新たな洪水調節容量が確保されることになりました。
 
1129 丹生川ダム(0435)
岐阜県高山市丹生川町折敷地
神通川水系荒城川
FNWP
69.5メートル
227メートル
6200千㎥/5300千㎥
岐阜県県土整備部
2012年
◎治水協定が締結されたダム

深谷ダム

2016-06-06 10:30:00 | 岐阜県
2016年6月4日 深谷ダム
 
深谷ダムは岐阜県高山市丹生川町法力の神通川水系小八賀川右支流(河川名未確認)にある灌漑目的のロックフィルダムです。
ダム便覧には1973年(昭和48年)に岐阜県の事業で竣工と記されており、高山市が管理を受託しています。
水利使用標識や事業の案内板等がなく詳細は不明ですが、丹生川村はトマトやホウレン草など園芸農業が盛んでダム下流にもトマト栽培のビニールハウスが並んでいます。
丘陵地のこれらの農地を開墾する際の水源として整備されたのかもしれません。
 
国道158号線で安房トンネル~平湯トンネルを抜け高山方面に走り法力集落で北側の丘陵地に上がって行くと深谷ダムに到着します。
灌漑用ロックフィルダムということでそれなりのダムを想像していましたが、目の前に現れたのどう見てもため池。
 
左岸に洪水吐があります。
車は釣りに来た地元の方のものです。
 
逆方向からの洪水吐です。
草がぼうぼう…
 
洪水吐の奥の草むらの中に斜樋がありました。
 
 
天端は車両通行可能ですが。この先にはオフロードバイクのコースがあり行き止まり。
大会が開催されているのか森の向こうでは轟音が鳴り響いています。
 
下流面は草が茂り、一見すればアースフィル。
下の建物は放流設備のようです。
 
総貯水容量30万立米の貯水池。
 
ダム湖上流面。
ヘラブナ釣りができるそうでこの日も数人の方が釣り糸を垂れていました。
 
1111 深谷ダム(0434)
ため池コード 212030010
岐阜県高山市丹生川町法力
神通川水系小八賀川
27.3メートル
103メートル
300千㎥/300千㎥
高山市
1973年

セバ谷ダム

2016-06-06 10:20:00 | 長野県
2016年6月4日 セバ谷ダム
 
セバ谷ダムは長野県松本市安曇の信濃川水系犀川右支流セバ川にある東京電力リニューアブルパワー(株)が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
水量豊富で急流河川である梓川上流部では戦前から複数の事業者によって電源開発が進められてきましたが、セバ谷ダムもそんな発電施設の一つで1928年(昭和3年)に湯川発電所の調整池として京浜電力によって建設されました。
日本発送電による接収ののち、1951年(昭和26年)の電気事業再編政令により東京電力が事業継承しました。
湯川や梓川で取水された水がいったん当ダムに貯留されたのち湯川発電所に送られ最大1万7400キロワットの水路式発電を行っています。
セバ谷ダムは犀川水系で最初に建設されたハイダムであり、且つ最上流部にあるハイダムとなっています。
 
ダムへは車道は通じておらず、最寄りの県道から標高差200メートルの徒歩となります。
 
奈川渡ダムから国道158号線を上高地方面に向かい、沢渡~白骨温泉へ向かう県道300号に入ります。
ダムへの巡視路入口付近の落石の心配のない路肩に車を止めます。
 
橋を渡って巡視路に入ります。
 
エゾハルゼミの大合唱の中、照葉樹林を登ってゆきます。
 
巡視路入口から登ること約30分、杉の植林になってくると瀬音が聞こえてきます。
 
ようやく目指すセバ谷ダムに到着です。
手前は余水路、奥に曲線状の堤体が見えます。
 
余水路を見ながらダム湖の上流側を歩いてみます。
 
アーチに見えますが型式は重力式コンクリート。
曲線重力式という珍しいダムです。
 
ダム湖上流から
 
いったん引き返し堤体を見学します。
これは余水吐。
コンクリートが新しく改修の跡が見られます。
 
天端を進みます。
ゆるやかな曲線を描いていますが型式はAやGAではなくGです。
 
ダム湖のインレットです。
左は梓川上流及び白骨温泉から来る導水路、右はセバ川本流です。
白骨温泉からの水のせいか多少硫黄臭が漂います。
 
堤体直下。
もともとセバ谷にある滝をせき止めて作ったダムのようです。
 
 
排砂ゲートと書かれています。
ゲートを開けても落ちるのは先ほどの谷底です。
 
左岸から
 
左岸に取水口がありここから湯川発電所へと水が送られます。
 
巡視路はよく整備され標高差200メートル強の山道も登山をしていれば全く問題のない行程です。
とはいえ、建機や重機がない時代、人力だけで1年強の工期で1000メートルを超える山中にこのようなダムを作り上げた成果には頭が下がるばかりです。
 
聞こえるのは水の瀬音とエゾハルゼミの大合唱ばかり。
いつの間にか蝉の声に慣れ瀬音だけが響きます。
芭蕉の句を借りれば『閑さやダムにしみ入る蝉の声』
立ち去りがたい気持ちは山々でしたが、先の予定もあるので後ろ髪をひかれる思いで山を下りました。
 
追記
セバ谷ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により新たに洪水調節容量が確保されることになりました。
 
0982 セバ谷ダム(0433)
長野県松本市安曇
信濃川水系セバ川
22.7メートル
42.4メートル
58千㎥/52千㎥
東京電力リニューアブルパワー(株)
1928年
◎治水協定が締結されたダム

奈川渡ダム

2016-06-06 10:10:00 | 長野県
2016年6月4日 奈川渡ダム
 
奈川度ダムは左岸が長野県松本市安曇、右岸が同市奈川の信濃川水系梓川にある東京電力リニューアブルパワー(株)が管理する発電目的のアーチ式コンクリートダムです。
北アルプスを水源とし水量豊富で急流が続く梓川上流部では戦前から梓川電力や京浜電力による電源開発が進められてきました。
戦後梓川の発電事業を継承した東京電力は、高度成長による電力需要増大に対処するために1961年(昭和36年)より梓川に3基のアーチダムと2基の混合揚水式発電所の建設事業に着手、それぞれ1969年(昭和44年)に竣工し最大86万8000キロワットの発電施設が誕生しました。
このうち最上流部に建設されたのが奈川度ダムで当ダムを上部池、水殿ダムを下部池とした安曇発電所で最大62万3000キロワットの混合揚水式発電を行っています。
またこの電源開発事業に合わせて梓川下流域では農水省による国営中信平土地改良事業が着手され、灌漑施設や耕地整理などが行われました。これらの灌漑用水は既得取水権であり東京電力の各ダムに貯水容量の設定はありませんが、ダムの建設と発電所の稼働により梓川の水位が安定したメリットを大いに享受しています。
梓川のように同一河川に3連のアーチダムが連続するのはわが国には他に例がありません。
さらに奈川度ダムの堤高155メートルは完成当時はアーチダムとしては黒部ダムに次ぐ日本第2位、現在でも第3位の高さを誇り日本ダム協会により『日本100ダム』に選ばれています。
 
国道158号線を西進、水殿ダムを抜けると上高地方面に進むと右手に奈川渡ダムが姿を見せます。
 
トンネル内で県道26号を分けると国道は奈川渡ダムの右岸に飛び出します。
24ミリの広角ではこれが限界です。
 
堤体直下に安曇発電所の建屋が見えます。
扇形の建屋はダム式発電の1・2号建屋です。
 
右岸お山にへばりついているのがダム水路式発電及び混合揚水発電を行う3~6号建屋です。
発電所上部の岩盤補強や山留めの造作がすごい。
 
左岸バス停奥には発電所の改修等で利用されるガントリークレーンが鎮座。
 
左岸から
 
改めて右岸側の岩盤補強や山留めを見てみます。
宇宙戦艦ヤマトに出てくる宇宙要塞のようです。
 
天端は国道158号線が通っており、ハイシーズンにはダムの天端で渋滞も起きます。
左手は閉館中のTEOCO館。
右岸湖岸に3~6号機の取水口があります。
 
ダム直下に発電所があるためダムは非越流式
左岸に洪水吐がありトンネル式導水路で放流されます。
 
右岸に戻りプラント跡の展望台から俯瞰してみます。
堤体中央部に1~2号機の取水口があります。
 
展望台側にもガントリークレーンが置かれています。
こちらは3~6号機の取水ゲート交換用。
 
追記
奈川度ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により新たに洪水調節容量が確保されることになりました。
 
1018 奈川渡ダム(0432)
左岸 長野県松本市安曇
右岸     同市奈川
信濃川水系梓川
155メートル
355.5メートル
123000千㎥/94000千㎥
東京電力リニューアブルパワー(株)
1969年
◎治水協定が締結されたダム

水殿ダム

2016-06-06 09:45:00 | 長野県
2016年6月4日 水殿ダム
 
水殿(みどの)ダムは長野県松本市安曇の信濃川水系梓川にある東京電力リニューアブルパワー(株)が管理する発電目的のアーチ式コンクリートダムです。
北アルプスを水源とし水量豊富で急流が続く梓川上流部では戦前から梓川電力や京浜電力による電源開発が進められてきました。
戦後梓川の発電事業を継承した東京電力は、高度成長による電力需要増大に対処するために1961年(昭和36年)より梓川に3基のアーチダムと2基の混合揚水式発電所の建設事業に着手、それぞれ1969年(昭和44年)に竣工し最大86万8000キロワットの発電施設が誕生しました。
3基のダムの中間に建設されたのが水殿ダムで当ダムを下部池、奈川度ダムを下部池とした安曇発電所3~6号機で最大41万2000キロワットの混合揚水式発電を、さらに当ダムを上部池、稲核ダムを下部池とした水殿発電所で最大24万5000キロワットの混合揚水式発電を行っています。
一つのダムが二つの揚水発電の上部、下部貯水池として機能するのは、ここと中部電力の富永ダムだけで非常に珍しいケースとなっています。
 
稲核ダムから国道158号線を上高地方面に走り、稲核集落を過ぎると水殿発電所への道が分かれます。
ここを下って行くダムと正対できます。
向って左手にジャンプ台が見えます。
 
いったん国道に戻り、上高地方面へ進むと道の駅の手前でダムへ向かう道が分かれています。
右岸ダムサイトは公園として整備され、天端も自由に歩くことができます。
右手に2門のラジアルゲート、対岸にプラント跡が見えます。
 
ジャンプ台式洪水吐を見下ろします。
 
下流側からゲートを見てみます。
 
ラジアルゲートは上部に切れ込みがありゲート上部を越流させる越流式ラジアルゲート。
 
天端は歩行者は自由に立ち入りできます。
 
堤体直下に混合揚水発電を行う水殿発電所があります。
 
ダムの直下は稲核ダムのダム湖です。
水殿発電所はこの湖を下部池として揚水発電を行っています。
 
左岸のガントリークレーン。
 
左岸からダムを眺めます。
アーチダムとジャンプ台式洪水吐の組み合わせと言えば宮崎の上椎葉ダムや一ツ瀬ダムがありますが、片側だけに設置されているのはここだけじゃないでしょうか?
 
国道を奈川渡ダム方面に走ると上流からダムを見ることができました。
 
 
追記
水殿ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により新たに洪水調節容量が確保されることになりました。
 
1022 水殿ダム(0431)
長野県松本市安曇
信濃川水系梓川
95.5メートル
343.3メートル
151000千㎥/4000千㎥
東京電力リニューアブルパワー(株)
1969年
◎治水協定が締結されたダム