ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

水窪ダム

2016-06-21 14:22:08 | 山形県
2016年6月18日 水窪ダム
 
水窪(みずくぼ)ダムは山形県米沢市万世町刈安の一級河川最上川水系苅安川にある灌漑・上水・工水目的のロックフィルダムです。
米沢平野に流入する河川はいずれも流域面積が小さく渇水による干ばつ被害多頻発し、灌漑設備の整備は農家の長年の悲願となってきました。
1968年(昭和43年)に農林省(現農水省)による国営米沢平野農業水利事業が着手されその灌漑用水源として1975年(昭和50年)に水窪ダムが竣工しました。
事業全体も1992年(平成3年)に完了し、米沢平野土地改良区管内約9000ヘクタールの農地に灌漑用水を供給するとともに、水道事業者として事業参加した山形県企業局を通じ米沢市に上水・工水を供給しています。
ダムの管理は山形県農林水産部が受託しています。
さらに2016年(平成28年)には利水放流を利用した水窪ダム発電所(最大出力798キロワットの小水力発電)が増設されました。
なお静岡県に同じ表記の水窪ダムがありますが、当ダムは『みずくぼ』、静岡は『みさくぼ』と読みが異なります。
 
国道13号線から県道232号線を西に進むとダム湖へ。
ダム湖にかかる水窪大橋から上流面を一望。
 
右岸上流側から
手前はインクライン
奥に管理事務所があります。
 
右岸下流面
 
桟橋に係留されたボートと取水設備。
奥に水窪大橋が見えます。
 
総貯水容量3100万立米は本州の農業用ダムとしては屈指のスケール。
目の前に広がるのはその一端にすぎません。
 
減勢工
柵が邪魔でこのアングルからしか撮れません。
 
洪水吐を挟んでロックフィルの堤体。
 
クレストは2門の青いラジアルゲート。
 
 
(追記)
水窪ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。

0437 水窪ダム(0466)
山形県米沢市万世町刈安
最上川水系苅安川
AWI
62メートル
205メートル
31000千㎥/30500千㎥
山形県農林水産部
1975年
◎治水協定が締結されたダム

蛭沢溜池

2016-06-21 12:59:22 | 山形県
2016年6月18日 蛭沢溜池
 
蛭沢(びるさわ)溜池は山形県東置賜郡高畠町安久津の最上川水系蛭沢川にある灌漑目的のアースフィルダムです。
起源は江戸時代に遡り当初は2枚の上下池でした。
1949年(昭和24年)の県営事業で現在の蛭沢溜池が築造され。1994年(平成6年)に大規模な改修が行われました。ダム便覧ではこれを竣工年度としています。
総貯水容量200万立米超と本州の溜池として屈指の規模で、蛭沢川だけでは十分な集水ができないため山の東向こうの屋代川に宮下関頭首工を設け約1.4キロの導水路で集水しています。
現在の管理者は米沢平野土地改良区です。
 
国道113号からぶどうまつたけラインを北上すると蛭沢溜池が見えてきます。
 
6月にしてはきれいに整備された下流面。 
 
左岸の洪水吐。
 
横越流式洪水吐。
 
上流面には『びるさわこ』の文字と河童の絵が描かれています。
逆光でうまく見えません。
 
総貯水容量207万5000立米の貯水池。
 
右岸の取水設備。
 
ダムの下流には水田とぶどう畑が広がっています。
 
取水設備からの底樋樋門。
 
国土地理院地形図を見ると、山向こう東側の屋代川からの導水路が記載され、ダム便覧でも河川は蛭沢川ではなく屋代川となっています。
このことから、蛭沢溜池は主として屋代川の水を導水して貯水していることがわかります。
 
屋代川の宮下堰頭首工です
ここで取水して蛭沢溜池に送水されます。
 
取水はチロル式でこのバースクリーンから取水します。
 
蛭沢導水路の吐口。
 
石積みの擁壁は1949年(昭和24年)の築造当時のもの。
 
0415 蛭沢溜池(0465)
ため池コード
山形県東置賜郡高畠町安久津
最上川水系屋代川
23.5メートル(ため池データベース 24.2メートル)
190メートル(ため池データベース 240メートル)
2075千㎥/2075千㎥
米沢平野土地改良区
1949年