ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

新穂第2ダム

2022-04-28 23:00:00 | 新潟県
2022年4月23日 新穂第2ダム
 
新穂(にいぼ)第2ダムは新潟県佐渡市上新穂の国府川水系天神股川にある灌漑目的の重力式コンクリートダムです。
佐渡市南東部、国中平野東端に位置する旧新穂村は古くから開拓が進み、朱鷺の里として知られる農業地帯です。
当地では1958年(昭和33年)に佐渡初の本格的ダムとして新穂ダムが完成しましたが、昭和後半以降の大型機械導入を目的とした圃場整備等により同ダムの用水不足が顕在化しました。
そこで県は農水省の補助を受けた『かんがい排水事業新穂第2期地区』を採択、新たな灌漑用水源として1991年(平成3年)に竣工したのが新穂第2ダムです。新穂第2ダムは新穂ダムの用水不足を補填し両ダム合わせて約900ヘクタールの農地に灌漑用水を供給しています。
管理は両ダムとも新穂村土地改良区が受託しています。

新穂ダムから左岸沿いの道を約1.5キロ遡上すると新穂第2ダム直下に到着します。
農業用コンクリートダムらしく放流設備はクレスト自由越流頂と利水放流設備のみ。
農業用コンクリートダムと言えば、ついつい漸縮型堤体導流壁のイメージが強いのですが、ここの導流壁は直線。


新穂ダムの用水不足の補填を目的として建設されたため、年間を通じほぼ満水位が維持されており、訪問時も美しい転波越流が見られました。
左手は利水放流設備、エンドシルの下流にバッフルブロックが並んでいます。

 
ダムサイトにはいったん新穂ダムまで戻り、ダム西側の道を辿ります。
左岸中段に展望台があり堤体を真横から見ることができます。


左岸ダムサイトから
堤高61.4メートル、堤頂長176メートルの立派な躯体。
天端標高は約200メートルで、周辺の山桜はちょうど満開。


天端は車両の通行も可能。


上流面
取水設備は多孔式で、機械室は頭でっかち。


フーチング越しの減勢工。


上から見ても転波越流が美しい。
バッフルブロックは一般にエンドシルの手前にあることが多いのですが、ここはエンドシルの下流に並びます。

 
貯水池は総貯水容量122万立米
新穂ダムと併せて約900ヘクタールの農地の水源となっています。


左岸の艇庫とインクライン。

0798 新穂第2ダム(1795)
新潟県佐渡市上新穂
国府川水系天神股川
61.4メートル
176メートル
1220千㎥/1050千㎥ 
新穂村土地改良区
1991年

久知川ダム

2022-04-28 18:00:00 | 新潟県
2022年4月23日 久知川ダム
 
久知川ダムは左岸が新潟県佐渡市新穂田野沢、右岸が同市久知河内の二級河川久知川本流上流部にある新潟県土木部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
久知川流域では昭和40年代に2度の水害が発生し、これを契機に久知川への多目的ダム建設が採択され、1985年(昭和60年)に久知川ダムが竣工しました。
久知川ダムは建設省(現国交省)の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、久知川の洪水調節、安定した河川流量の維持と不特定灌漑用水への補給、上水道用水の供給を目的としています。

両津の佐渡一周線に久知川ダムを示す案内板があり、これに従い県道赤玉両津港線を南下すると久知川ダムに到着します。
ダムの手前1キロほどの分岐を右に採るとダム下に出ますが、立ち入り制限がありこの写真が精いっぱい。


右岸から
非常用洪水吐としてクレスト自由越流頂9門、常用洪水吐として自然調節式オリフィス1門
さらに利水放流管としてジェットフローゲート1門を備えています。


右岸ダムサイトの管理事務所
職員の常駐はありません。


天端は徒歩のみ開放。


上流面。


右岸に艇庫がありその裏手にはインクライン。


フーチングに合わせて階段状になった堤趾導流壁が特徴的
高知の横瀬川ダムもこれに似た構造でした。


オリフィスから放流中
さらに左手の利水放流管からも放流されています。


天端からは両津湾がわずかに見えます。


総貯水容量166万9000立米の貯水池。


右岸ダムサイトの公園の不思議な動物たち
遊具かと思ったらどうやら椅子のようです
うーん、ちょっと不気味…。

0783 久知川ダム(1794)
左岸 新潟県佐渡市新穂田野沢
右岸     同市久知河内
久知川水系久知川
FNW
51メートル
131.8メートル
1669千㎥/1410千㎥
新潟県土木部
1985年

道遊ダム

2022-04-28 12:00:00 | 新潟県
2022年4月22日 道遊ダム
 
道遊ダムは新潟県佐渡市相川銀山町の濁川水系右沢川にある佐渡市上下水道課が管理する上水道用水目的の重力式コンクリートダムです。
旧相川町の上水道水源として1975年(昭和50年)に竣工し、2004年(平成16年)の市町村合併による水道事業統合で現在は佐渡市の管理となっています。
ここで貯留された水は西方約1キロにある右沢浄水場を経て相川地区に給水されています。

車道はダムの左岸(南側)高台で終点。
眼下にダムと貯水池が見えます。


フーチングからダム下に下りられます。
堤高25メートル
洪水吐はクレスト自由越流頂1門のみの自治体管理の上水ダムらしい簡易な作り。

左岸建屋から突き出た鉄管
この鉄管で右沢浄水場に送水されます。


フーチングが開放されているので真横からダムを見ることができます。


左岸のフーチングと階段。


ダムサイトには旧相川町と施工者の日特建設による銘板が並びます。


天端も開放されています。
というか、こんなところに人が来ると想定してないんでしょう。


総貯水容量は48万7000立米。


天端から
左手は放流設備で3枚目写真の鉄管はこの建屋から出ています。


不安定な天気でしたが、雲の切れ間から夕陽に輝く日本海が見えました。
ちょっと幻想的。

0767 道遊ダム(1793)
新潟県佐渡市相川銀山町
濁川水系右沢川
25メートル
63メートル
487千㎥/487千㎥
佐渡市上下水道課
1975年

佐和田ダム

2022-04-28 08:00:00 | 新潟県
2022年4月22日 佐和田ダム
 
佐和田(さわた)ダムは新潟県佐渡市山田の石田川水系片貝川にある灌漑目的のアースフィルダムです。
大佐渡山脈南麓各河川は流域面積が小さく雨水の河川流出が早いため、灌漑期に用水不足が頻発していました。
1977年(昭和52年)に農水省の補助を受けた県のかんがい排水事業佐和田地区が着手され、その灌漑用水源として1990年(平成2年)に竣工したのが佐和田ダムです。
運用開始後は国仲西部土地改良区が管理を受託し、佐和田地区600ヘクタール超の水田に灌漑用水を供給しています。
ほぼ前後して建設された藤津川ダム同様ロックフィルとしては珍しい傾斜コアを採用したほか、取水設備も同ダムと同じヒンジパイプ昇降型フロート式取水設備を採用しています。

ダムを下流から一望できるポイントはなく、樹林越しのこの1枚が精いっぱい。


上の写真を撮った場所はこちら
ダムからの幹線水路が片貝川を跨いでいます。


ダム建設に合わせて公園や遊歩道などが整備されました。
しかし車両進入禁止のバリケードが一見立入禁止にも見えるせいか、あまり利用されている風には見えません。
こちらは右岸ダムサイト。
佐渡を模した植栽や藤棚、記念碑、ベンチが置かれています。


ダムサイトの竣工記念碑。


上流面。


右岸のインクラインと巡視艇

湖面に浮かぶ取水設備は同時期に建設された藤津川ダムと同じフローティングアーム方式


天端から
真野湾が遠望できます。


ダム下
右手のコンクリートの建屋は調圧水槽
左手の赤い橋が2枚目写真の幹線水路橋です。


右岸の管理事務所
窓を大きくとった洒落たデザイン
職員の常駐はありません。


左岸から下流面。


左岸の横越流式洪水吐
左岸ダムサイトは公園やキャンプ場として整備されています。
この時期人気はありませんが、ハイシーズンには利用者がいるようです。




ダム西方標高290メートルの富室山から
個人所有の山ですが、地主さんがベンチや遊歩道などを整備され誰でも立ち入ることができます。
展望台からは佐和田ダム越しに国仲平野や真野湾まで一望できます。

0785 佐和田ダム(1792)
新潟県佐渡市山田
石田川水系片貝川
45.6メートル
129.1メートル
1656千㎥/1649千㎥ 
国仲西部土地改良区
1988年