ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

田原ダム

2017-04-14 20:20:34 | 岡山県
2017年4月9日 田原ダム
 
高梁川河口部では1950年代後半から水島臨海工業地帯が形成され、中国電力は増加する電力需要へ対処するため新たな電源開発に迫られました。
中国電力は高梁川の主要左支流成羽川に着目、1963年(昭和38年)に『新成羽川発電所建設計画』を策定し1968年(昭和43年)に成羽川中流域に3基のダムを建設しました。
田原ダムは3基のダムの中間に位置し田原ダムを下部池、新成羽川ダムを上部池として新成羽発電所で最大30万3000キロワットの揚水式発電を行うほか、ダム直下の田原発電所で最大出力2万2000キロワットの一般水力発電もおこなっています。
 
黒鳥ダムから成羽川に沿って県道33号を北西に進むと田原橋で左手に田原ダムを望むことができます。
クレストには7門のラジアルゲートが並びゲートビアには被覆された管理橋が設置されています。
 
田原橋から県道107号を左折するとダム左岸に到着します。
整然と並ぶゲートと白いゲートピア、減勢工の2列のブロック工・・・非常にスマートなダムです。
 
2列に並ぶ減勢工のブロック工。
 
右岸ダム下には円形の田原発電所があります。
 
天端は立ち入り可能です
ちょっと霧が出ています。
 
導流面と減勢工
ここから見ると2列のブロックはそれぞれ形状が異なっているのがわかります。
上流側は櫛形切欠き、下流側は歯型閾というようです。
 
黒鳥ダムと異なりゲートビアには被覆された管理橋があります。
 
田原発電所
手前に水圧鉄管があります。
 
右岸から下流面。
 
上流面。
 
(追記)
田原ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。
 
1880 田原ダム(0923)
岡山県高梁市備中町東油野
北緯度分秒,東経度分秒
DamMaps
高梁川水系成羽川
41メートル
206メートル
千㎥/千㎥
中国電力
1968年
◎治水協定が締結されたダム

黒鳥ダム

2017-04-14 18:32:25 | 岡山県
2017年4月9日 黒鳥ダム
 
高梁川河口部では1950年代後半から水島臨海工業地帯が形成され、中国電力は増加する電力需要へ対処するため新たな電源開発に迫られました。
中国電力は高梁川の主要左支流成羽川に着目、1963年(昭和38年)に『新成羽川発電所建設計画』を策定し1968年(昭和43年)に成羽川中流域に3基のダムを建設しました。
3基のうち最下流に位置するのが黒鳥ダムで、上流の発電所の逆調整池としての役割を持つほか、自身も黒鳥発電所で最大2200キロワットの発電を行っています。
 
国道313号の手川橋交差点から県道33号に入り成羽川沿いに西進すると右手に黒鳥ダムが見えてきます。
クレストには6門のローラーゲートが並びます。
ゲートピアには管理橋がなく扶壁前面の建物の中に巻き上げ機があるのは前日見学した呉の二級ダムと同じスタイルです。
 
ダム右岸に黒鳥発電所があります
天端は対岸との生活道路になっており、歩行者及び二輪車が通行可能です。
 
右岸上流から
手前が発電所の取水ゲートになります。
 
ゲートピアの壁面には番号が振られています。
 
ダム湖
右岸県道沿いの桜は満開、朝霧が幻想的な雰囲気を掻き立てます。
 
 
上流面。
 
右岸の桜。
 
左岸下流から
対岸の発電所から放流されているのがわかります。
 
東北や北陸の発電ダムの被覆されたゲートピアに慣れているせいか、広島や岡山で見られるこのタイプのゲートピアには何となく違和感を感じてしまいます。これから西日本のダムの見学を増やせばこのタイプにもなじんでくるんでしょうね?
 
(追記)
黒鳥ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。
 
1881 黒鳥ダム(0922)
岡山県高梁市備中町長屋
北緯度分秒,東経度分秒
DamMaps
高梁川水系成羽川
15.5メートル
122メートル
千㎥/千㎥
中国電力
1968年
◎治水協定が締結されたダム

椋梨ダム

2017-04-14 14:45:37 | 広島県
2017年4月8日 椋梨ダム
 
三原市から尾道、福山にかけての臨海部は1960年代以降臨海工業地帯として発展、多数の工場が進出するとともに人口も増加し上水道用水及び工業用水の需要が大幅に増加しました。
一方広島県中央部から東広島市を経て三原市中心部を東西に横断する沼田川については流域の宅地化、都市化の進展に伴う抜本的な洪水対策が必要となっ;/沼田川総合開発事業を策定、広島県を中心として、藤井川上水道企業団、三原市、中国電力の共同事業として1.968年(昭和43年)に沼田川の主要左支流に建設されたのが椋梨ダムです。
椋梨ダムは椋梨川及び沼田川の洪水調節、三原市を中心とした瀬戸内海沿岸都市及び島嶼部への上水道用水の供給、三原市から福山市に至る臨海工業地帯への工業用紙の供給を目的とするほか、中国電力椋梨川発電所で最大2万3100キロワットの発電を行っています。
さらに2008年(平成19年)に沼田川本流上流に福富ダムが完成し、沼田川水系の洪水調節は万全のものとなりました。
 
椋梨ダムは国道432号線沿いにあり河内から国道を北上するとダムに到着します。
ダム右岸に駐車場がありここに車を置いて見学をします。
下流からの展望ポイントがなく樹間から辛うじてゲートを見ることができます。
クレストは赤いラジアルゲートが2門。
 
右岸の国道から
前面にせり出したゲート操作室が特徴的。
堤体は左岸側でわずかに湾曲しています。
 
ゲート操作室をズームアップ。
 
上流面。
 
さらに上流から
左岸に管理事務所があり常時ダムカードがもらえます
やはり赤いゲートと操作室に目が行きます。
 
背の高い導流壁。
 
天端は車両通行可能。
 
減勢工
右手から河川維持放流が行われています。
 
左岸から下流面
堤体が湾曲しているのがわかります。
 
管理事務所向かいの竣工記念碑。
 
味のあるダムですが、下流からの展望スポットがないのが玉にキズ。
 
1974 椋梨ダム(0921)
広島県東広島市河内町小田
沼田川水系椋梨川
FWIP
 
39.5メートル
213.4メートル
広島県
1968年
◎治水協定が締結されたダム

仁賀ダム

2017-04-14 13:50:45 | 広島県
2017年4月8日 仁賀ダム
 
仁賀ダムは広島県竹原市の賀茂川本流にある広島県営の重力式コンクリートダムです。
賀茂川は広島県中央部の瀬戸内海沿岸部にあり竹原市街地を縦断して瀬戸内海に注ぐ全長28.7キロの二級河川で、戦後の河川改修にもかかわらず豪雨のたびに氾濫を繰り返し、とくに1967年(昭和42年)、1999年(平成11年)には流域で大きな洪水被害が発生しました。
一方で賀茂川は竹原市の貴重な灌漑用水源となっていますが、夏場の水不足による干ばつ被害も頻発していました。
これらの諸課題に対処するために広島県の事業で1970年(昭和45年)に計画着手され2011年(平成23年)に完成したのが仁賀ダムで、ダムは賀茂川の洪水調節、既得取水権への補給と適正な河川流量の維持を目的としています。
 
仁賀ダムは県道330号線沿いにありアプローチは簡単です。
まずは下流から。
 
県道からダムと正対できます
クレストは自由越流式洪水吐が4門、オリフィスは自由調節式が1門のゲートレスダムです。
 
右岸上流から
右手は取水設備、左手は量水設備です。
 
親柱には仁賀ダムの銘とお姫様の絵柄
竹原ということで竹取物語からかぐや姫をモチーフにしているようです。
 
ダム下公園にも巨大なかぐや姫の絵が!
竹取物語は藤原京時代の大和の国のお話・・・竹つながりとは言えかなり苦しいこじつけ・・・。
 
減勢工と利水放流設備
背の高い堤趾導流壁が特徴。
 
天端は車両通行可能
左手は管理事務所で常時ダムカードがもらえます。
 
ダム湖(芙蓉湖)とダム湖に掛かる県道330号の斜張橋。
 
左岸から上流面。
 
 
新しいダムなのでダム周辺はよく整備されています。
ダム湖周辺のヤマザクラがちょうど見ごろでしたがあいにくの霧でちょっと残念。
 
1995 仁賀ダム(0920)
広島県竹原市仁賀町
賀茂川水系賀茂川
FN
 
47メートル
154メートル
広島県
2011年
◎治水協定が締結されたダム

野呂川ダム

2017-04-14 12:41:10 | 広島県
2017年4月8日 野呂川ダム
 
野呂川ダムは広島県呉市安浦町の野呂川本流にある広島県営の重力式コンクリートダムです。
野呂川は呉市東部の安浦町市街地を貫流して瀬戸内海に注ぐ流路延長10キロの河川ですが、10キロの間に標高差800メートルを流下する急流河川となっており豪雨のたびに洪水被害が発生していました。
とりわけ1967年(昭和42年)7月の集中豪雨では甚大な洪水被害が発生し抜本的な洪水対策を求める声が高まりました。
これを受けて広島県の事業により1969年(昭和44年)に着工、1975年(昭和50年)に竣工したのが野呂川ダムで、ダムは野呂川の洪水調節、既得取水権への補給と適正な河川流量の維持を目的としています。
 
東広島呉道路黒瀬インターから県道34号を呉市安浦方面に東進し、広島国際大学のキャンパスを過ぎ呉市に入ると野呂川ダムへの標識が現れます。これに従って右折すると左手に野呂川ダムの赤いゲートが見えてきます。
 
右岸下流から
クレストは赤いラジアルゲートが1門で放流が行われています。
 
堤体直下まで近づくことができます。
 
下流面。
 
天端は車両通行可能
ゲートピア左岸側にらせん階段があります。
 
ダム湖(野呂峡やすらぎ湖)。
 
減勢工
左手は利水放流設備。
 
左岸の管理事務所
インクラインと艇庫が併設されています。
 
左岸から
満開の桜と赤いゲートがいいマッチング。
ゲート手前は取水設備。
 
管理事務所裏手には分解された予備ゲートが格納されていました。
 
シングルゲートながら赤いラジアルゲートからのクレスト放流はなかなか見ごたえがありました。
 
1981 野呂川ダム(0919)
広島県呉市安浦町中畑
野呂川水系野呂川
FN
 
44.8メートル
170メートル
広島県
1975年
◎治水協定が締結されたダム

二級ダム

2017-04-14 00:31:06 | 広島県
2017年4月8日 二級ダム
 
二級ダムは広島県呉市の黒瀬川にある広島県および中国電力が共同管理を行う工水・発電目的の重力式コンクリートダムです。
呉市および呉海軍工廠への上水道及び電力供給を目的に1940年(昭和15年)に広島県・日本発送電・帝国海軍共同の河水統制事業として建設着手され1942年(昭和17年)に竣工しました。
河水統制事業によって建設されたダムとしては山口県の向道ダムに次ぎ2例目のダムとなっており、河川総合開発事業の初期例となっています。
戦後二級ダムの水道事業は呉市水道局に移管され、当初は上水道用水及び工業用水の供給を行っていましたが1997年(平成9年)に黒瀬川の水質悪化を理由に上水道事業は休止(実質的に廃止)しています。
発電事業は日本発送電の分割民営化により中国電力が継承し、広発電所で最大4800キロワットの発電を行っています。
二級ダムは河川法17条の『兼用工作物』による多目的ダムで、規定により現在は中国電力が管理業務を代行しています。
 
ダムの下流は花崗岩の巨岩が点在する二級峡という渓谷になっており、ダムからハイキングコースが続いているほかダムの堤体も中国自然歩道のコースになっています。
 
国道375号を南下し、二級峡トンネル手前で右の旧道に入ると二級ダム左岸に到着します。
車止めのゲートのすぐ先に管理事務所があります。
 
クレストには4門のローラーゲートが並びます
ゲートピアには管理橋はなくワイヤーが張られているのが特徴です。
 
天端は中国自然歩道のハイキングコースになっています。
 
ローラーゲートを上から。
 
ダムの下流は花崗岩がむき出した二級渓谷が続きます。
 
発電所の取水口。
 
右岸から。
 
左岸の管理所脇を下るとダムの直下に下りることができます
導流面左岸側がいかにも戦前戦中のダムらしい作りになっています
またコンクリートの打継面も時代感ありあり・・・。
 
濃霧のためくすんだ写真になっているのが残念、できれば青空のもとで見たかったなあ・・・。
 
1941 二級ダム(0918)
広島県呉市郷原町
二級川水系二級川
IP
32メートル
89メートル
広島県・中国電力
1942年
◎治水協定が締結されたダム