chapter#8 僕の死亡と感情
ボクは死んだ。
これまでの幸福な勘違いから開放され、死んだ。
もう過去の僕は生きていない。
なんというシアワセだ。
一歩間違えれば乞食にも、気違いにも十分にもなれるんだ。
ボクの人生はおそらく、もう自分のものではない。
そういう発見に気づいた。
このままいくと、自分のものではない。
もちろん、一歩を踏み出すには勇気がいる。
自分の預け主との決別。
それが、いわば勇気という言葉に該当するのだろう。
ボクはこれまで、生きがいをもって生きてこれた。
でも、死んでしまったのだから、生きがいを見つけ出すというのは、そんなに簡単なことではない。
生きがいを感じさせてくれる源泉。
感情というものだろうか?
ボクの周りの似非役者たちは、その感情を麻痺させて生きてきている。
そう。
感情に対して向き合い、生きがいを見出そうとすること。
それがおそらく人生の中でのおっきめの勘違いなのだろう。
家庭が出来、子供が出来、よりやりがいというものを見つけ出すことが、危険になってくる。
「人生って言うのはね、人生を預ける人が年をとるにつれて増えてくる。
そんなもんなんだよ。」
いつも、父に会うとそういう言葉をボクは聴かされていた。
そんな父がボクは好きになれなかった。
預け主からつかの間に目を背けさせてくれるものは、彼にとってはお酒であった。
脳ミソを麻痺させ、感情を麻痺させていく。
そして、束の間の嘘つきの幸せを味わう。
「身分相応なのが一番なのよ。多くを望んじゃイケないのよ。」
いつも、母に会うとそんな言葉を聴かされていた。
母は、父は、子供の笑顔を見て、孫の笑顔を見て、シアワセを感じていた。
そんな両親をボクは好きになれなかった。
「カエルの子はカエル」
僕たちはよく、そんな言葉をたいしたことないやつに対してはき捨てる。
「親の七光り」
僕たちはねたみとともにそんな、言葉を吐き捨てる。
でもね。結局人生を切り開いたのは、その子供なんだよね。
自分の両親の「負け」に対する拒絶。
それが感情なんだよ。
ボクはうなずいた。
ボクは、でも、絶望の中でも、勘違いに辟易としていてもまだ、もう少し勘違いをすることが出来る。
そうでないと、こんな誰も見はしない文章を書こうとは思わない。
虚栄心の塊だ。
ボクは、自分のことをそう思っている。
でも、違うと思うんだ。
虚栄心じゃない。
まだ僕があっていない預け主からのメッセージなんだ。
「努力をしろ。今を懸命に生きろ。」
なかなか応えることが難しいメッセージだ。
どうしても、ボクは現実から、目を背けたくなる。
でも、こうやって、物語を整理し、俯瞰していくことで、ひとつだけ得をしたことがあるんだ。
この小説は序章を終えようとしている。
序章を終えるということはなんらかの新しいスタートを自分が切ろうとしているということだ。
祖父はこんなことをいっていた。
「勘違いもな、本気でやってるとな、まわりがその勘違いに沿って自分のことをみてくれるようになるんだ。だから、ボクももっと自分のなりたいように生きる努力をしてみろ。」
祖父はかっこよかった。
ピアニストで、絵描きで・・・
でも、いつも祖母を泣かせていたな。
ボクは死んだ。
これまでの幸福な勘違いから開放され、死んだ。
もう過去の僕は生きていない。
なんというシアワセだ。
一歩間違えれば乞食にも、気違いにも十分にもなれるんだ。
ボクの人生はおそらく、もう自分のものではない。
そういう発見に気づいた。
このままいくと、自分のものではない。
もちろん、一歩を踏み出すには勇気がいる。
自分の預け主との決別。
それが、いわば勇気という言葉に該当するのだろう。
ボクはこれまで、生きがいをもって生きてこれた。
でも、死んでしまったのだから、生きがいを見つけ出すというのは、そんなに簡単なことではない。
生きがいを感じさせてくれる源泉。
感情というものだろうか?
ボクの周りの似非役者たちは、その感情を麻痺させて生きてきている。
そう。
感情に対して向き合い、生きがいを見出そうとすること。
それがおそらく人生の中でのおっきめの勘違いなのだろう。
家庭が出来、子供が出来、よりやりがいというものを見つけ出すことが、危険になってくる。
「人生って言うのはね、人生を預ける人が年をとるにつれて増えてくる。
そんなもんなんだよ。」
いつも、父に会うとそういう言葉をボクは聴かされていた。
そんな父がボクは好きになれなかった。
預け主からつかの間に目を背けさせてくれるものは、彼にとってはお酒であった。
脳ミソを麻痺させ、感情を麻痺させていく。
そして、束の間の嘘つきの幸せを味わう。
「身分相応なのが一番なのよ。多くを望んじゃイケないのよ。」
いつも、母に会うとそんな言葉を聴かされていた。
母は、父は、子供の笑顔を見て、孫の笑顔を見て、シアワセを感じていた。
そんな両親をボクは好きになれなかった。
「カエルの子はカエル」
僕たちはよく、そんな言葉をたいしたことないやつに対してはき捨てる。
「親の七光り」
僕たちはねたみとともにそんな、言葉を吐き捨てる。
でもね。結局人生を切り開いたのは、その子供なんだよね。
自分の両親の「負け」に対する拒絶。
それが感情なんだよ。
ボクはうなずいた。
ボクは、でも、絶望の中でも、勘違いに辟易としていてもまだ、もう少し勘違いをすることが出来る。
そうでないと、こんな誰も見はしない文章を書こうとは思わない。
虚栄心の塊だ。
ボクは、自分のことをそう思っている。
でも、違うと思うんだ。
虚栄心じゃない。
まだ僕があっていない預け主からのメッセージなんだ。
「努力をしろ。今を懸命に生きろ。」
なかなか応えることが難しいメッセージだ。
どうしても、ボクは現実から、目を背けたくなる。
でも、こうやって、物語を整理し、俯瞰していくことで、ひとつだけ得をしたことがあるんだ。
この小説は序章を終えようとしている。
序章を終えるということはなんらかの新しいスタートを自分が切ろうとしているということだ。
祖父はこんなことをいっていた。
「勘違いもな、本気でやってるとな、まわりがその勘違いに沿って自分のことをみてくれるようになるんだ。だから、ボクももっと自分のなりたいように生きる努力をしてみろ。」
祖父はかっこよかった。
ピアニストで、絵描きで・・・
でも、いつも祖母を泣かせていたな。