ルドン展を見てきました。ルドンについては、あの幻想的な版画の作品をきっかけにちょっと彼がテーマとした文学にまで視野を広めることを試みたことがあります。今から約5年前のことです。ですから私にとっては比較的親しみのある?作家ととなります。実際、ルドンの描く幻想絵画はわかりやすくどこかユーモラスでもあるため比較的その世界へ入りやすいと感じるのです。
そして今回の展覧会でも私の感覚に刺激を与え反応したのは黒の画家とされるルドンの一連の版画でした。水木しげるの「ゲゲゲの鬼太郎」の妖怪にも影響を与えた目玉が気球になったエドガー・アラン.ポーをテーマとした作品やボードレールの「悪の華」に捧げたもの、ユイスマンスも「さかしま」で「からだのまんなかに人間の顔があるおそろしい蜘蛛」と言及した作品などの岐阜県美術館が収蔵している版画作品群です。
一方で、ルドンは晩年、光に満ちた世界をパステル画や油彩で描くようになります。花や聖書、神話を題材にしたそれらはしかし現実感の薄い色のファンタジーの世界でもあるのですが。この作風の変化のきっかけは息子の誕生にあると言われているようです。人は子供を持つと精神的な変化のひとつになり得るということなんでしょうね。黒から色の世界への移行は劇的とも見える変化です。ある意味でわかりやすい人なのかもしれませんね。
↓ 私が5年前に書いたルドンに関する記事です ↓
◆Black is fantastic ⇒ルドン#1「ルドンの黒」展(文化村ザ・ミュージアム)
◆Black is fantastic ⇒ルドン#2ユイスマンス「さかしま」
◆Black is fantastic ⇒ルドン#3フロベール「聖アントワーヌの誘惑」①
◆Black is fantastic ⇒ルドン#4フロベール「聖アントワーヌの誘惑」②
◆Black is fantastic ⇒ルドン#5ボードレール「悪の華」①
◆Black is fantastic ⇒ルドン#6ボードレール「悪の華」②
◆Black is fantastic ⇒ルドン#7NHK日曜美術館
「画家」の誕生 〔ルドンと文学〕 | |
廣田治子 | |
藤原書店 |
オディロン・ルドン―自作を語る画文集 夢のなかで | |
Odilon Redon,藤田 尊潮 | |
八坂書房 |
もっと知りたいルドン―生涯と作品 (アート・ビギナーズ・コレクション) | |
高橋 明也 | |
東京美術 |
オディロン・ルドン NOIR [DVD] | |
オディロン・ルドン”黒の時代”21作品を題材にしたCGアニメーション | |
株式会社キャドセンター/KattenKabinet |
ルドン (新潮美術文庫 36) | |
ルドン | |
新潮社 |
オディロン・ルドン―光を孕む種子 | |
本江 邦夫 | |
みすず書房 |