化粧台の美女~蜘蛛男
放送:1982年テレビ朝日
監督:井上梅次
出演:天知茂 、萩尾みどり
乱歩の原作では、蜘蛛男とタイトルが付きながらも、それを使ったトリックや殺人などは一つもない。だから、犯罪者の畔柳博士の渾名の蜘蛛男がピンとこないのだが、このテレビ番組の作品はそこをカヴァーするかのように蜘蛛を使った殺人行為がでてくる。また、新たに殺人の動機や登場人物なども出てきて別物の作品 . . . 本文を読む
殺人鬼 蜘蛛男
製作:新映画社/大映1958年
監督:山本弘之
出演:藤田進、宮城千賀子、岡譲司
古い映画である。1958年公開ということなので私はまだ生まれていない。知っている俳優は、黒澤明監督の「姿三四郎」に主演している藤田進のみ。後の俳優はまるっきり知らない。
しかし、ヒロインを演じる女優は、今にも通用する中々の美人だ。製作年度が古いからスローテンポかなと思いきや、数々のエピソー . . . 本文を読む
昨日投稿した江戸川乱歩の「黒蜥蜴」のラスト、その愛を告白した部分、三島由紀夫は女賊の気持ちを乙女チックに、さらにロマンティックに美しく描きなおした。
◆三島由紀夫の脚色
黒蜥蜴 捕まったから死ぬのではないわ。
明 智 わかってゐる。
黒蜥蜴 あなたには何もかもきかれたから・・・・・・
明 智 眞實を聴くのは一等辛かった。僕はさういふことに馴れてゐない。
黒蜥蜴 男の中で一等卑劣なあなた、これ . . . 本文を読む
稀代の女賊と天才名探偵の対決は、見事明智小五郎の勝利するところとなった。包囲された黒蜥蜴は自ら毒を飲んだ。そして、乱歩の以下の文章である。
◆女賊の恋
“「あたし、あなたの腕に抱かれていますのね。・・・・・・嬉しいわ。・・・・・・あたし、こんな仕合せな死に方が出来ようとは、想像もしていませんでしたわ」明智はその意味を悟らないではなかった。一種不可思議な感情を味わないではなかった。併し、それは . . . 本文を読む
黒蜥蜴が、岩瀬早苗を誘拐する手法に、乱歩は『人間椅子』という自身の小説の奇想天外な物語を持ち出し実行させる。それは自身の映画作品にさりげなく出ているヒッチコックようにだ。(ちょっと違うかな?)
・・・小説の中で明智小五郎は語る。
◆笑う乱歩
“「人間椅子。・・・・・・あんな小説家の空想が、果たして実行出来るのだろうか」
「・・・あいつの恐ろしさは、こういうズバ抜けた、考え方によっては馬鹿馬鹿 . . . 本文を読む
◆男装した黒蜥蜴
“黒蜥蜴は大急ぎで階段を降りると、実に以外にも、出口に向かおうとしないで、自分の部屋に入ってしまった。三分間、かっきり三分間であった。
再び彼女の部屋のドアが開くと、そこから一人の意外な青年紳士が出てきた。恰好のいいソフト帽、派手な柄の背広服、気取った鼻眼鏡、濃い口髭、右手にはスネークウッドのステッキ、左手にはオーバーコート。・・・
支配人を初め三人のボーイが・・・女客ばかり . . . 本文を読む
クリスマス・イヴの夜、秘密のダンスホール。華麗にして妖美な黒蜥蜴が登場する。その出足が超カッコイイ!おそらくはこの登場の仕方によって、江戸川乱歩の小説の中で双璧をなすキャラクターになったのではないかと思える程だ。
◆黒蜥蜴登場!
“「やあ、ダーク・エンジェルだ。ダーク・エンジェルだ。」「黒天使の御入来だゾ」「ブラボー、女王様万歳!」・・・
真黒なイヴニング・ドレスに、真黒な帽子、真黒な手袋 . . . 本文を読む
美しき悪女の伝説 黒蜥蜴
放送:1993年TBS
監督:河野宏
出演:岩下志麻、伊武雅刀
『もったいない。』だって黒蜥蜴を演じているのは岩下志麻なんでしょ。実力派・極妻女優なのに脚本と演出が??と疑問符をつけたくなります。明智小五郎を演じる伊武雅刀もメッシュを入れてチャラチャラしすぎている。どこかズレてしまっていないか。
忠実な部下となる雨宮を引き込むシーンも、黒蜥蜴は不自然なポーズをとっ . . . 本文を読む
悪魔のような美女~黒蜥蜴
放送:1979年テレビ朝日
監督:井上梅次
主演:天知茂、小川真由美
江戸川乱歩の原作に、三島由紀夫が黒蜥蜴と明智小五郎の恋をクローズアップさせ劇化した。三島の見事な着眼点によって、先に投稿した映画作品が生まれた。このテレビ番組作品もそれをベースとして、物語は展開されていくが、この作品が一番その恋愛関係に重点をおいて演出されているように見受けられた。
配役も明智小五 . . . 本文を読む
黒蜥蜴
製作:1964年大映
監督:井上梅次
主演:京マチ子、大木実
この作品は一風変わったミュージカルとして観るべきである。映像に唄と音楽とダンスが加わればそれはお伽の世界へと様変わり。そうとくれば、明智小五郎が冒頭でこれから始まる物語の前口上をするのも妙に納得。ファンタジーの世界への扉はバシッ!と鞭の音とともに開いて、三島由紀夫作詞による黒蜥蜴の唄が始まり、京マチ子が踊るのだ。
♪宝石と . . . 本文を読む
黒蜥蜴
製作:1968年松竹
監督:深作欣二
主演:丸山(三輪)明宏 、木村功
とある秘密クラブ(これこそ、映画的始まり)に客としてやってきた明智小五郎。そこで黒蜥蜴は明智と運命的な出会いをする。
「今日はいつもの夜と違うようね。夜が犇いて息を殺しているわ。犯罪が近づいたのよ。こういう晩が私は好き。体が熱く火照って寝れそうにない。あなたは?」と黒蜥蜴。「私ですか?」と明智。「ええ、こん . . . 本文を読む
2日間連続で人形作家・石塚公昭さんについて投稿しています。本日は、その作品集『乱歩 夜の夢こそまこと』について書きたいと思います。この作品は氏が製作した江戸川乱歩の人形が、その小説をイメージした世界に主人公と成り代わって登場します。氏の製作する人形はもちろんのこと、再現された小説の世界が「これだよ、これっ」て言いたくなるくらいイメージぴったりなんです。それ自体、氏のイマジネーションの豊かさと作品の . . . 本文を読む
昨日の投稿にも書きましたが、江戸川乱歩を発見?したのは今年になってから、その後まもなくして石塚公昭氏の作品集を書店で見つけました。web検索すると東京・世田谷文学館で氏の人形が展示してあることを知りました。作品集から見ても、その人形はとても精巧に造ってあるので実物を見たいと、今から二ヶ月程前ですが京王線に乗って出かけたのでした。
その世田谷文学館は常設展示室を「文学に描かれた世田谷100年の物語 . . . 本文を読む
東京・銀座の青木画廊で開かれている「石塚公昭展」に足を運びました。石塚氏は、実在の文豪やジャズミュージシャンをモデルに精巧な人形を造る作家です。今開かれている個展は氏の作品の中でも「江戸川乱歩」テーマにしたものを展示していました。
今年になって“乱歩”と出会った乱歩初心者である私は、読み始めてまもない頃に、「乱歩」というキーワードで書店を徘徊していた時に氏の作品集を発見しました。それは、どこかユ . . . 本文を読む
ひっそりと他人の生活を覗き見する快楽。屋根裏の散歩者となった郷田は、それに夢中になる。
◆屋根裏から見た真実
“天井からの覗見というものが、どれ程異様な興味があるものだかは、実際やって見た人でなければ、恐らく想像も出来ますまい。仮令、その下に別段事件が起こっていなくても、誰も見ているものがないと信じて、その本性をさらけ出した人間というものを観察すること丈で、十分面白いのです。・・・平常、横から . . . 本文を読む