高畠華宵「サロメ」(1926年)
昨日の3月30日まで根津の弥生美術館で開催されていた「高畠華宵展」を観に行った。
高畠華宵は明治生まれで、大正から昭和初期ににかけて活躍した挿絵画家。展示されたものを見ていると高畠は当時のモダンガールらのファッション・リーダー的な存在であったらしく彼の描いた絵を参考に服や髪型を女性たちは真似たようだ。彼の描く和洋折衷の女性は、今でこそレトロな感じに見え . . . 本文を読む
アラステア「サロメ」(1925年)
サロメといえば何といってもオスカー・ワイルドとビアズリーによる「サロメ」が有名であるが、そのビアズリーを調べているとアラステア(またはアラスター)という画家に当たりました。アール・デコの時代、ビアズリー亡き後のデカダンな色合いが強く退廃的な匂いを放つ画家です。
美術は独学で学び、私生活は自分に金があるなしにこだわらず愛する女性には金の糸目を付けなかった豪快な . . . 本文を読む
オーブリー・ビアズリー「ベリーダンス」(1894年)
ここまでサロメについていろいろと書いてきていますが、ボクにとってのサロメはビアズリーの妖艶な挿絵から入っていったように思います。何といってもビアズリーのその絵は、悪魔的、退廃的、倒錯的、装飾過多・・・などといった形容詞がピタリとはまるエロティシズム溢れるインパクトがあります。初めて観たときは何とスゴイ絵なんだと、以来サロメといえばビアズリーの . . . 本文を読む
フランツ・フォン・シュトゥック「サロメ」(1906年)
ドイツ世紀末、象徴主義の画家・フランツ・フォン・シュトゥックのサロメ。とは言いながらも、この方の名前は初めて知ったのですが・・・。
サロメについて描かれたものは古今東西いろいろありますが、エピソードにおける見せ場のひとつ、七つのヴェールの踊りのその一瞬を表現したものはあまりないように見受けられます。このシュトゥックの作品は、まさにそのダン . . . 本文を読む
パスキン「サロメ」(1930年)
エコール・ド・パリの作家達の中で、パスキンはその壮絶な人生(45歳で自殺、ボクは彼より生きてしまっている)をオブラートに包んだかのように、描かれた女性たちはふんわり淡く描かれている。どちらかと云うと観賞する眼を刺激してくれる過激なものについ目がいってしまうボクにとっては、正直あまり記憶に残らない意識的に観ようとはしない作家でありました。
しかしこのパスキン、サ . . . 本文を読む
「奇跡の丘」
■製作年:1964年
■製作国:イタリア
■監督:ピエル・パオロ・パゾリーニ
■出演:エンリケ・イラソキ、マルゲリータ・カルーソ、スザンナ・パゾリーニ、他
このところサロメについてずっと書き続けている。その中でベルナルディーノ・ルイーニによる「サロメ」の記事を書いた時に、オペラ座の灰燼さんからいただいたコメントで、イタリアの奇才・ピエル・パオロ・パゾリーニ監督による映画「奇 . . . 本文を読む
クリムト「ユーディットⅠ」(1901年)
グスタフ・クリムトといえば、黄金と銀に彩られた幾何学模様の装飾とそこに展開されるエロスと死のテーマ。その世界は様式的で静謐な空間なのだが、どこがこの世ではない夢の世界のようなそしてエクスタシーに満ちた官能性を漂わせている独特なスタイルを持った画家のひとりであります。ボクのとても好きな作家のひとりです。
1989年に、それこそその100年前の世紀末に連動 . . . 本文を読む
ムンク「サロメ・パラフレーズ」(1894/98年)
この1月に国立西洋美術館の開催された「ムンク展」を見て、ブログにも連続して書いていった著名な画家。実はサロメも描いていたんですよね。「サロメ:パラフレーズ」と題した絵は、けっこう明るさを帯びた真っ赤な色を背景に、まるで髪の毛のお化けのようにも見えるサロメが手にしているヨハネの首というシンプルな絵柄であります。
“不埒な女だ、お前の娘は、不埒な . . . 本文を読む
マックス・クリンガー「新しいサロメ」(1893年)
いろいろとサロメを調べていると、ドイツの芸術家・マックス・クリンガーが彫刻で制作したサロメ、それは1988年に国立西洋美術館で開催された「マックス・クリンガー展」で展示された、をボクも当時それを観ていたことがわかった。サロメについて書かれた本を見ていて、その図版に出てきたクリンガーの作品「新しいサロメ」、ページをめくった時初めて見た気がしなかっ . . . 本文を読む
フローラン・シュミット・バレエ音楽「サロメの悲劇」
指揮:ジャン・マルティノン
フランス国立放送局女声合唱団
フランス国立放送局管弦楽団
収録:1972年
もともと音楽に疎いボクなのでシュミットなる作曲家の名前は知りませんでした。彼が創った曲は「サロメの悲劇」、詩人のロベール・デュミエールによるパントマイムのストーリーよるそうである。CDは昨日のブラームス同様、図書館で借りることができました。 . . . 本文を読む
ブラームス歌曲「サロメ」(1877年)
クラッシク音楽のブラームスといえばバッハ、ベートーヴェンと並んで「ドイツの三大B」と称されるそうな。19世紀ドイツの偉大なる作曲家の一人、そのブラームスもサロメをテーマに歌曲を作っていた。詩人であるゴットフリート・ケラー(よくは知りません)の無題の詩に曲を着け「サロメ」としたそうである。
それを知ってとりあえず、その歌曲が収められたCDをネットで探してみ . . . 本文を読む
今週はサロメをテーマにした文学作品を見てきているのですが、もともとサロメの存在は、聖書に出てくる一節のエピソードに登場する、名もついていない少女。しかし、ヨハネの首を望んだ女として多くの芸術家を刺激したのでしょう。やがてサロメは一人歩きしてゆき、ファム・ファタール(宿命の女)として多くの美術品をはじめ芸術作品が創出されていきました。そこで、本日はそれらサロメの物語の中から“七つのヴェールの踊り”の . . . 本文を読む
アポリネール「サロメ」
窪田般彌訳(小沢書店)
シュルレアリスムと名付け親であるイタリア出身のポーランド人の詩人・ギヨーム・アポリネール。画家マリー・ローランサンとの愛を綴った「ミラボー橋」はシャンソンとして歌われたり、澁澤龍彦が敬愛するマルキ・ド・サドの再評価にも尽力したそうです。そのアポリネールが名声を確立した詩集「アルコール」の中にはサロメを詠った詩も収められています。
. . . 本文を読む
マラルメ「エロディアード」加藤美雄・訳(彌生書房)
全くもってわからない。連なる言葉からによるイメージの連鎖の想起ができない、むつかしい・・・。
山川鴻三のサロメ研究の本によるとマラルメ「エロディアード」は、謡われたエロディアードはサロメと同義語として用いられているとしている。その死はマラルメのサロメなのである。
この純潔を守る女性の詩はあまりに象徴的、寓意的でありすぎ読む側にとってみれば、 . . . 本文を読む
ラフォルグ「サロメ」(吉田健一訳)
フランスの詩人・ラフォルグにサロメをテーマにした作品がある。作品名も「サロメ」。しかし読んでいくと不思議で変な作品と気がつく。なによりも読んでいてまず想起させられたのが、江戸川乱歩の「パノラマ島奇譚」である。舞台となる「白い、秘教的な島嶼」は乱歩のパノラマ島のような様相なのである。そこは空中庭園あり、果樹園あり、水族館ありと近未来的、超現実的空間にサロメはいる . . . 本文を読む