飾釦

飾釦(かざりぼたん)とは意匠を施されたお洒落な釦。生活に飾釦をと、もがきつつも綴るブログです。

「貴婦人と一角獣展」(国立新美術館)を見た

2013-04-30 | 美術&工芸とその周辺

六本木の国立新美術館で開催中の「貴婦人と一角獣展」へ行ってきました。1500年頃に制作されたとされる全6点の全長22メートルの「貴婦人と一角獣」のタペストリーはなかなかの見物であります。この作品はフランスの国立クリュニー中世美術館に展示され、ほとんど海外に出ることはなく今回フランスから国外へ出るのは1974年にアメリカに渡って以来とのことであるとか(実はその1回しか過去にないようです)。門外不出のものであるからして、滅多にお目にかかれるものではないのです。故に、相当な人出を予想していたのですが、以外とそんなことはなくじっくりとタペストリーに対峙することができました。

 

この「貴婦人と一角獣」のタペストリーは象徴的に織られており、うち5点は人間の五感を表しており、専門的な解読力(図像学の知識)がなくても容易にわかるような構成になっています。たとえば、花の香りを嗅いでいる猿のタペストリーは嗅覚、貴婦人が持っている手鏡に一角獣が映っているのが視覚、貴婦人がオルガンをひいているのが聴覚といった具合にです。そして作品は赤地をベースに様々な花が配置されていてそれを千花文様(ミル・フール)というのだそうだ。それがいっそうタペストリーを華やかなものにしています。会場ではそのタペストリーの作っている映像が流れていましたが、これが気の遠くなるような作業でした。こんな巨大なものを作るには相当な年月がかかったろうと想像されます。

 

迫力ある「貴婦人と一角獣」ですが、五感を表現したものの最後にある1点(6点目)は、何を指しているのがわからずいまだ議論が続いているということです。ヒントは宝石を手にした(宝石箱に入れているようにも、出しているようにも見える)貴婦人とテントのような幕にある文字。その文字は「我が唯一の望み」という意味が書かれており、そこからいろいろな解釈が出て、この最後のタペストリーには結婚とか、心とか、第六感とかいろいろな説があるといいます。私は展示されている巨大なタペストリーを見て、これは人を愛する心を指しているんじゃなかろうかと思いました。つまり全身全霊を込めて愛しますよと…。なぞはなぞのままのほうがいいでしょう、楽しいですよね。

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