飾釦

飾釦(かざりぼたん)とは意匠を施されたお洒落な釦。生活に飾釦をと、もがきつつも綴るブログです。

江戸川乱歩の研究?39⇒「幽霊塔」から

2006-06-30 | 江戸川乱歩
この乱歩の物語は整形手術がひとつのキーポイントになっている。小説が書かれたのは1938年、今から70年近く前である。当時は整形手術に対する感覚はどうであったのだろうか?小説を読む限りまだまだ“美”への憧れとしての一手段としては、世間の認識は捉えられていない気がする。現代はプチ整形がブーム?情報化・視覚化が極端に進行した今、人間の仮面化現象は、ますます見えないところで深化している。 ◆整形の概念 . . . 本文を読む
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乱歩NO.35・・・<大時計の美女~幽霊搭/1979年>

2006-06-29 | 江戸川乱歩
大時計の美女~幽霊搭 放送:1979年テレビ朝日 監督:井上梅次 出演:天知茂、結城しのぶ、赤座美代子 いきなり登場する白髪の幽霊、それに異常に怯える横内正。幽霊はまるでいじめっ子のように横内を追っかけます。ここを素直に観るか、あるいは変だよと観るかか、このドラマのその後の鑑賞ポイントになるのではないでしょうか?大時計のある古い屋敷に幽霊が出る、それがキーワードだからです。その出現のさせ方に共 . . . 本文を読む
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乱歩NO.34・・・<幽霊塔/1948年>

2006-06-28 | 江戸川乱歩
幽霊塔 製作:大映1948年  監督:佐伯幸三 出演:船越英二、羽島敏子、植村謙二郎 とにかく古い。その一言。のっけから幽霊塔に向かうのが、“馬車”だ。その向こうに見える大時計の塔がある屋敷、どこかで見たことのある風景・・・?そう子供もころテレビで観たドラキュラ映画と同じだ。 そして、大移動する場合は電車ではなく蒸気機関車。時代を反映しているのか主演の船越英二は、棒読みの青年。演技とい . . . 本文を読む
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乱歩を巡る言葉10・・・江戸川乱歩論/松本清張

2006-06-27 | 江戸川乱歩
昨日のブログに投稿したにも書きましたが、小林信彦氏の「回想の江戸川乱歩」に松本清張が“「江戸川乱歩は、登場して数年で死んでいたら、すごい天才、ということになっていたろうなあ」というようなことを公然と言って”いたということが出てきます。 先の古本屋が主催した「江戸川乱歩全集記念トークショー」を聞きに行った時、そこの物販コーナーで購入した1975年に発刊された「幻影城・7月号増刊号」は乱歩の特集 . . . 本文を読む
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乱歩を巡る言葉9・・・「回想の江戸川乱歩」小林信彦

2006-06-26 | 江戸川乱歩
「回想の江戸川乱歩」小林信彦 光文社文庫 名前は目にしたことがあるが、初めて読んだ小林信彦氏。氏が『ヒッチコック・マガジン』を創刊した時のスポンサーの立場にあったのが、江戸川乱歩。この雑誌を通して知った素顔の探偵小説界・巨匠の素顔、それがこの本の内容。 とかく小説の内容からイメージされる乱歩像は、“なんとなく病的で、気味が悪くて、変わった人”というステレオタイプ。しかし、実像はそんなありがちな . . . 本文を読む
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江戸川乱歩の研究?38⇒「幽鬼の塔」から

2006-06-23 | 江戸川乱歩
お金を燃やすこと、彼は絶望から全財産を焔の中に投じ、その燃え行く様に自分の 人生を映し出していたのだろうか? ボクには、お金を燃やすなんてできないよ。燃やせるほど欲しいよ。でも、ないよ。ということで・・・ ◆お金が燃える・・・ワオッ! “彼はいつの間にか、ポケットの例の札入れを取出し、その中からあの夥しい紙幣の束を抜き取って手にしていた。そして、それを焔の上に翳しながら、一枚ずつ焚き火の中へ . . . 本文を読む
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乱歩NO.33・・・<五重塔の美女~幽鬼の搭/1981年>

2006-06-22 | 江戸川乱歩
五重塔の美女~幽鬼の搭 放送:1981年テレビ朝日 監督:井上梅次 出演:天知茂、片平なぎさ、五十嵐めぐみ いつもは天知=明智小五郎の助手として、目立たず控えめな存在として登場していた五十嵐めぐみ=文代さん、今回は彼女が冒頭から事件に巻き込まれます。その現場に居合わせるドキドキ感がうまく演出されています。 残念なのは、原作では上野公園・五重塔で首吊り自殺を図り、まるで風鈴のようにその軒先で揺 . . . 本文を読む
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乱歩を巡る言葉8 ・・・「幻想文学 42号・特集RAMPOMANIA」

2006-06-21 | 江戸川乱歩
「われらが内なる乱歩幻想の系譜」と副題をつけた雑誌、幻想文学。江戸川乱歩特集、そこに投稿された乱歩を巡る言葉の数々・・・ 「乱歩の怪奇幻想小説」 石堂藍 “幻想と現実の境目にわきあがった妄想の入道雲のようだ。怪奇的な夢想の世界へ入り込んで現実感はなくしていくのだが、しかし幻想へと飛翔しきってしまうということはあまりない。”“主人公たちを支えているのは、非人間的なほど狂おしい情熱である。そし . . . 本文を読む
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江戸川乱歩の研究?37⇒「暗黒星」から

2006-06-20 | 江戸川乱歩
乱歩の小説には度々、水責めがでてきます。パターンと言えばパターン、得意技ですね。 ◆お得意の水責め “この管を流れ出す水が、一寸ずつ一寸ずつ水面を高くしてくるのです。足から腰、腹から胸へと、徐々に水が増して、刻々に死期の近づくのを、目の前に眺めながら、どうすることも出来ないのです。何が怖ろしいといって、刻一刻、時計のように正確に全く逃れるすべのない死が近づいているのを、じっと見ていなければな . . . 本文を読む
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乱歩NO.32・・・<黒水仙の美女~暗黒星/1978年>

2006-06-19 | 江戸川乱歩
黒水仙の美女~暗黒星 放送:1978年テレビ朝日 監督:井上梅次 出演:天知茂、ジュディ・オング、江波杏子 コメントが難しい作品です。というのも江戸川乱歩という視点からすると、肝の部分は残しながら原作を改変しているも、全体としては焦点をどこに置くか、それがぼけてしまっているとりとめのない作品となっています。 この作品が唯一光っている点は、ラストの展開数分間です。 犯人が特定された瞬間、展開 . . . 本文を読む
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江戸川乱歩の研究?36⇒「化人幻戯」から

2006-06-16 | 江戸川乱歩
暗黒の空間において感覚が遮断された状態では、かえって己の内的な受動器が 敏感に働く。それは一種の退行であり、自己発見の内的な旅ともなる。そこに意中の女性が、絡みついてきたらどうなるのであろうか?乱歩は、白くて滑らかな一匹の蛇と表現しているが、私はそこに一種の神話的な感性を感じないではいられなかった。 ◆感覚の拡張 “中心部に入るとき、一度懐中電燈をつけたけれども、すぐに消してしまった。曲折し . . . 本文を読む
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江戸川乱歩の研究?35⇒「化人幻戯」から

2006-06-15 | 江戸川乱歩
事業家・大河原氏の秘書・庄司武彦は大河原由美子夫人の魔性の魅力の虜になっていく。由美子はカマキリ夫人であったのだ。 ◆魔性の誘惑 “読書をしようとするのだが、本をひらいて文字をたどっても、意味はわからなかった。羨望と嫉妬に目もくらみ、由美子夫人の花のえがおが、意識の円内一ぱいにひろがって、彼の心をかきむしるのであった。” “もう一度本をつかんだ夫人の指が、今度は武彦の指を、力強く握る結果と . . . 本文を読む
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乱歩 NO.31・・・<エマニエルの美女~化人幻戯/1980年>

2006-06-14 | 江戸川乱歩
エマニエルの美女~化人幻戯 放送:1980年テレビ朝日 監督:井上梅次 出演:天知茂、夏樹陽子、中条きよし エマニエルの美女というタイトルから連想させるように、江戸川乱歩の原作「化人幻戯」は、魔性の女の“性”が全開の作品である。大河原由美子夫人は次々と男を誘惑し破滅させる“カマキリ”(象徴的存在として乱歩の小説にもドラマにも出てきます)にも喩えられる危険な美女。 その性の奔放さが、エマニエル . . . 本文を読む
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乱歩を巡る言葉7・・・新聞投稿記事・新保博久

2006-06-13 | 江戸川乱歩
東京古書会館で開催された『江戸川乱歩全集』完結記念トークショー(昨日ブログに投稿)で配布された資料、今回の『江戸川乱歩全集』を監修した新保博久氏が投稿した新聞記事である。そこには全集監修作業の中で発見された乱歩にまつわるエピソードが披露されていました。 『幻影城』『探偵小説四十年』などの評論まで読者が読み進めると“手品的トリックで人を驚かす乱歩は、二十面相ばりの作者の一面にすぎず、素顔は孤 . . . 本文を読む
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偏在する乱歩・G→『江戸川乱歩全集』完結記念トークショー

2006-06-12 | 江戸川乱歩
先週、東京・御茶ノ水の東京古書会館(さすが古本屋街が近いためか、このような建物があるのですね)で行われた 日本の幻想と怪奇、その源流を尋ねて― 『江戸川乱歩全集』&『日本怪奇小説傑作集』完結記念トークショー を聞きに行きました。 まず、最初は『日本怪奇小説傑作集』完結記念トークショー・紀田順一郎&東雅夫です。こちらは、紀田氏の『世界怪奇小説傑作選』という書物の創刊のエピソードを中心 . . . 本文を読む
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