この江戸川乱歩の小説「何者」は、明智小五郎の登場する作品の中では、本格推理短編小説との位置づけにあると評価されているようです。乱歩自身もよくできた作品と自作を褒めている。だが、世間の評判は長編作品の「蜘蛛男」や「魔術師」なんどに集まり、それ以後こうした本格ものの小説を書かなくなったという。乱歩にとってターニングントとなった作品なのだ。その小説では、乱歩が生んだ自身のキャラクターをけなす部分があって . . . 本文を読む
■放送:1987年8月15日、テレビ朝日
■主演:北大路欣也、叶和貴子、蜷川有紀、、坂上次郎、他
江戸川乱歩の「何者」はとても短い本格的な探偵小説であります。それをドラマ化するにあたり、製作者は小説の筋を大きく膨らませて展開しています。その際、上手く新しい作品に生まれ変わらせる場合もありますし、大きくズッコケてしまう場合もあります。今回の見た作品は前者でありました。その場合は、もとの話は創造力 . . . 本文を読む
■放送:1990年4月14日、テレビ朝日
■主演:北大路欣也、佳那晃子、山本ゆかり、日下武史、坂上次郎、他
今まで見てきた北大路欣也が明智小五郎を演じた江戸川乱歩の“美女”シリーズは、原作からも大きくかけ離れたり、ストーリーの展開もあまり面白くないなど期待を裏切られてきましたが、今回見た作品は、それまでのものとは違って乱歩らしいものに仕上がっていて楽しむことができました。
原作となった乱歩の . . . 本文を読む
■放送:1988年5月14日、テレビ朝日
■主演:北大路欣也、真野響子、水野久美、朝加真由美、坂上次郎、他
本日も北大路欣也が演じる明智小五郎の“美女”シリーズを見た感想です。原作に選らばれた江戸川乱歩の小説は「屋根裏の散歩者」です。ただ、もう乱歩の小説の原形をとどめておらず、小説で天井裏を徘徊した郷田という青年の名前が残されている程度で、まったくの別物になっていました。そうなると屋根裏を歩き . . . 本文を読む
■放送:1989年8月26日、テレビ朝日
■主演:北大路欣也、高見恭子、坂上二郎、南條玲子、大沢逸美、他
かつてテレビで放送された江戸川乱歩原作の2時間ドラマの“美女”シリーズ、以前ボクはこのブログで乱歩の小説、映画化された作品、そしてこの美女シリーズの作品をベースに、江戸川乱歩について書き綴ったものです。来る日も来る日も乱歩、乱歩でした。そんなに乱歩が好きなのですか?となるわけですが、実はそう . . . 本文を読む
乱歩歌舞伎「京乱噂鉤爪(きょうをみだすうわさのかぎつめ)―人間豹の最期―」
■日時:2009年10月18日(日)、12:00~
■劇場:国立劇場
■原案:市川染五郎
■脚本:岩豪友樹子
■演出:九代琴松
■出演:市川染五郎、市川幸四郎、中村梅玉、中村翫雀、他
“市川染五郎宙乗り相勤め申し候”、前作の江戸川乱歩の「人間豹」を題材にした歌舞伎「江戸宵屋闇妖鉤爪」において、明智小五郎への皮肉もた . . . 本文を読む
■放送:2001年、日本テレビ
■監督:三村晴彦
■出演:中村雅俊、十朱幸代、紺野美沙子、石橋蓮司、他
今回見た松本清原作のドラマ「内海の輪」は、いままで見た同小説の映像化作品よりも一番内容が自然であり、すんなりと入っていけました。感情移入がしやすい作りになっていました。製作のスタッフをみると脚本に那須真知子、監督に三村晴彦の名前が連なっています。おそらくはこの2人によって作られたことが、よかっ . . . 本文を読む
■放送:1982年、TBS
■監督:井上昭
■出演:滝田栄、宇津宮雅代、岡まゆみ、三ツ木清隆、他
主演の滝田栄は、どちらかというとはクリーンなイメージが強く大学の考古学の先生という役にはぴったりだと思います。ただ、一方で元兄嫁だった女と不倫を重ねて挙げ句の果てに殺人までを犯してしまう役でもあるので、欲望剥き出しのキャラでない分モチベーションとしての“動物的な部分”はあっさりしているようみ見えてし . . . 本文を読む
■製作年:1971年
■配給:松竹
■監督:斎藤耕一
■出演:岩下志麻、中尾彬、三國連太郎、富永美沙子、入川保則、他
男と女の情欲が招いた不幸。どちらが悪くてどちらの主張が正論か?それの真偽はわからない。見れば見るほど、知れば知るほど、狸と狐の化かし合い。ただわかっているのは、そんな関係では幸せになれる筈がないと。でもわかっちゃいるけどやめられない。蜜を求めて、お互い勝手に体が動く、お互い . . . 本文を読む
結局、何が楽しいか、何が待ち遠しいかっていったら女性と逢引きすることなんだということ。不義とわかりながらも、つい…この男として本質的に持っているであろう部分を松本清張の小説「内海の輪」は描いていました。それはたとえば“宗三は岡山がこれで三度めである。前の二度めは講師のころで、教授のお使いみたいなことだった。だが今度は充実がある。ほかに用事がはなく、女と遇うのだけが目的だった。駅前に出た彼は心も身体 . . . 本文を読む
■2009年8月21日、NHKにて放送
以前テレビで放送されたものを録画していた文楽「義経千本桜」を見ました。歌舞伎座で上演された「義経千本桜」を見たこともあり、録画されたままの文楽の映像に興味を持ったといったところで…。(意外とそうした録画したまま見ないでいる映像があるんですよね)
以前、生の舞台ので文楽を見たとき、えらく感動した記憶があるのですが、その後は見ることもなくいました。劇場では台 . . . 本文を読む
■日時:2009年10月12日(月)、16:30~
■劇場:歌舞伎座
■出演:中村吉右衛門、坂東玉三郎、尾上菊五郎、尾上菊之助、中村時蔵、他
先週のことになりますが、歌舞伎「義経千本桜」を見に行きました。この義「義経千本桜」は人気義太夫狂言と言われているのですが、ボクとしては初めて見る作品でした。通し狂言、芸術祭参加と銘打たれた歌舞伎座の夜のこの公演は、すべてがこの作品の上演であります。当方、源 . . . 本文を読む
■製作年:2009年
■撮影・編集・監督:石川淳志
■出演:森崎偏陸、他
奇妙な映画を見ました。それはかつて寺山修司が率いた「天井桟敷」に在籍し、その死後は戸籍上、寺山の弟となった男、現在もデザインや助監督などマルチな領域で活躍する森崎偏陸というひとりの男の日常を追っかけたドキュメンタリー映画なのであります。
映画の冒頭は寺山修司の実験映画「ローラ」の画面へ入っていく森崎偏陸の様子が映し出され . . . 本文を読む
先月のシルバーウィークのことになってしまうのですが、福井から金沢へミニミニ旅行をしました。その時に行った一つが、今日の記事、金沢市の泉鏡花記念館とそのゆかりの地です。もっぱら旅の目的はそこでしたから有名な兼六園などには行かずじまいで…。金沢はこれで2回目なのですが、最初は仕事で行ったため現場との往復のみでほとんど街を歩くということはありませんでした。今回金沢のメインの場所ではなかったかも知れません . . . 本文を読む
今週は泉鏡花の「草迷宮」を巡る記事を書いてきました。最後に2つの「草迷宮」論を読みました。
◆◆◆「草迷宮」―海魔の陰画―荒川法勝(「国文学 解釈と鑑賞 特集・泉鏡花」所収)◆◆◆
“鏡花は「草迷宮」の魔所を、その本領である秘教的透視法と、幽玄朧化の技法を駆使し、唐草模様に似た文体によって探し当て、海の魔の眷属となった死者の復権を計ったのである。”
“鏡花は、小説に化物、亡霊などを造型するた . . . 本文を読む