飾釦

飾釦(かざりぼたん)とは意匠を施されたお洒落な釦。生活に飾釦をと、もがきつつも綴るブログです。

昭和の黒い霧・松本清張NO.66・・・映画「顔」(出演:岡田菜莉子)

2010-03-11 | 松本清張
■製作年:1957年
■監督:大曽根辰保
■出演:岡田菜莉子、大木実、笠智衆、他

松本清張の小説「顔」を映画化した作品を見ました。この映画、清張を原作としていながらも、話の展開をヒントにしているだけで、大きく設定は書き換えられていて、最早別の作品といってもいいくらいの内容になっています。

発想を清張の小説の設定をベースに、清張が選んだ設定の裏を、あるいは反対にすることで捻り出しているような感じです。つまり、男と女を逆に、平凡で朴訥な性格を下心のある性格に、頻繁に出てこない刑事を頻繁に出てくるように、山中の人目につかないところでの事件を人が乗車している電車の中での事件へと骨子は変えずに見え方を大きく変えているのです。それによって細部も引きずられて大きく変化していきます。こうゆう設定ならこうした人物だ必要だろうなどと脚本を組み立てていったのかな?なんて事前に原作を読んでいると想像できたりします。その結果としてまるで別の作品のように見えてしまうようになった、そんな作り方をしているように感じました。

スターへと駆け上がろうとするモデルのヒロインを岡田菜莉子が演じているのですが、若い時はボクなどがよく目にした晩年にさしかかる彼女とは違ってハリがあってピチピチしています。ボクが知っている岡田菜莉子は、目の下がやや弛んでしまった彼女。若いので静的(ボクは静かな女性のイメージが強い)ではなく動的で躍動感溢れ、役柄としても登りつめていこうとする野心をもった女性を演じています。流行の最先端を見せるファッションショーが彼女の舞台で、映画のそれをみると今と全然違うのに驚きます。それだけでも見ていると現代はビジュアル感覚が、ファッション感覚が洗練された時代なんだなあと思いました。

この岡田が演じたモデルの役は、貧しい子供時代を過ごした故に、成り上がっていこうとする気持ちが強い。その為には、露骨なパトロン親父の欲望の道具になったりします。でも一生懸命生きているのだ。彼女は殺人事件に巻き込まれ、あるいはかかわってしまうことになってしまうのですが、それは自らの意志でそうしたというより、周囲の波に流されてその渦に巻き込まれたという感が強いです。でもそうしたことを引き込んでしまうのも、そうした流れを作ってしまうのも、もとは彼女が立てた波ともいえる。それは人生の格言「鏡の法則」ではないが、彼女自信に原因があったといえるのだろう。

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