BS日テレで放送中の「ぶらぶら美術・博物館」で「ラファエル前派展」を特集(2月21日に放送)ていたものを録画し、それを見ました。評論家の山田五郎氏が、お笑いのおぎやはぎ、モデルの高橋マリ子さんとともに美術展を鑑賞するのですが、とにかく、山田五郎氏の博学ぶりが凄まじい。おそらくは事前に調査しているのでしょうが、その知識たるや半端ではありません。で、最近、思うことはこうした美術展を特集したテレビ番組を事前に見てから展覧会に行くと、予備知識もつき、この作品がコメントしていたものか・・・と、ただ漠然と見るだけでなく鑑賞のポイントもわかり、意外と重宝するのです。番組のHPは以下です。
http://www.bs4.jp/guide/entame/burabura_art/onair/129/index.html
■“自然な” 宗教画
・ラファエロの絵はわざとらしい、おおげさ、うそっぽいと反旗を翻したのがラファエル前派。
ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ「見よ、我は主のはしためなり」
・「受胎告知」を描くも、天使は翼がない。マリアも突然のことで怯え、後ずさりしている。
・後光は後付けで描いた。モデルは妹と兄といった知っている人、目の前の人で描いた。
・ただ、①白・・・マリアの純潔、②青・・・天の女王マリア、③赤・・・キリストの受難といった約束事は描いている。
ジョン・エヴァレット・ミレイ「両親の家のキリスト」
・キリストに父ヨセフは大工だったので、実際の大工をモデルにして、日に焼けた労働者として描いた。
・幼子はキリストであり、釘で怪我をした様子を描くが、磔になることを予告している。
・宗教画は尊いものにもかかわらず、リアルに描いた。このリアルさこそが挑戦だった。
・あまりに批判が多いので、宗教画は危険と以後は描かなくなった。
ウィリアム・ホフマン・ハント「クローディオとイザベラ」
・シェイクスピアの主題を描く。
・イギリスは文学の国、まるで挿絵のように描いた。
ジョン・エヴァレット・ミレイ「オフィーリア」
・夏目漱石はこの絵を見て「風流な土左衛門」と言った。
・6ヶ月かけて描いたので本来同じ時期に咲くはずのない花が同時に描かれている。
・フランスの印象画よりも前に外に出て描いた。
・モデルはエリザベス・シダル(リジー)で、のちにロセッティと結婚することになる。
■写実を追求
ウィリアム・ダイス「ペグウェル・ベイ、ケント州―1858年10月5日の思い出」
・科学ブームが起こり自然への関心が高まった。
・ラファエル前派は大御所ウイリアム・ダイスにも影響を与えた。
■格差社会の真実を描く
ウィリアム・ホフマン・ハント「良心の目覚め」
・「良心の目覚め」は愛人関係にある女性が、こんなことをしていてはいけないと気づく場面を描いた。
・①猫が小鳥を捕まえており、簡単には逃げられないこと、②手袋は1個しかなく役に立たないこと、③刺繍糸はぐちゃくちゃになっており収拾がつかないことを暗喩している。
・従来は愛人ではないかと言われていたが、最近は子育てに疲れた女性を描いていると言われている。
■ロセッティからはじまるラファエル前派の新境地
ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ「ダンテ」
・主題がない、唯々、美しいものを描くというスタイル。
・攻めの姿勢がない。
・ロセッティはダンテの生まれ変わりと信じていた。
■ロセッティが描いた女神たち
ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ「ベアタ・ベアトリクス」
・死んだ妻であるエリザベス・シダル(リジー)がモデルで、鎮魂のために描いた。
・天に召される一瞬の恍惚の瞬間。
・ダンテ=ロセッティとペアトリーチェ=リジーに模した。
ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ「プロセルピナ」
・盟友モリスの妻をモデルに描いたが彼女とロセッティは関係があった。
・プロセルピナとは地下世界と地上世界を行き来した女神であり、地上世界=ロセッティ、地下世界=モリスと暗喩した。
■バーン=ジョーンズの渾身の大作
エドワード・バーン=ジョーンズ「『愛』に導かれる巡礼」
・愛の困難さ、中性の純粋な愛を描く。
・主題よりも美しいものを描いた。
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