飾釦

飾釦(かざりぼたん)とは意匠を施されたお洒落な釦。生活に飾釦をと、もがきつつも綴るブログです。

「魔性の女 挿絵展」(弥生美術館)を見た

2013-07-06 | 美術&工芸とその周辺

前回書いた竹久夢二美術館と一体化しているのが弥生美術館で、私がそこへ行った本当のお目当てはこちらで開催していた「魔性の女 挿絵展」であります。なぜなら、私がこのブログでテーマとしてきた作家たちの作品の挿絵として飾った数々の絵が展示されているからです。私は正直、40歳を過ぎてからこの手(幻想、異端、官能の小説家)?の作家たちを注目しはじめたのですが、ある系統に沿ってみてきたわけでもないのに、ものの見事に今回の展示にはまっているのが、自分でも驚きでした。同じテイスト、同じ気配、同じ波動といえばいいのでしょうか、ちょっとした驚きでさえあります。

 

展示の冒頭の解説に明治末から大正、昭和初期にかけて文学に登場した魔性の女、それは泉鏡花の「高野聖」の婦人であり、谷崎潤一郎の「痴人の愛」のナオミであり、江戸川乱歩の「黒蜥蜴」の緑川夫人であると あったのですが、見事にそれらの魔性の女は、私のこのブログ位に何ども登場したキャラクターであったからです。ましてや、当時の作家、画家にインスピレーションを与えたという西洋のファム・ファタルであるサロメに至っては、自分でもいうのはなんですが、カテゴリーまで作って追っかけたテーマであるからです。最近は、そうしたテーマからやや関心が移行し、書く事が少なっつてきたのですが、ある一時は確実に私の心にそれが引っかかっていたのは確かなのですから・・・。

 

また、それら作家の小説から挿絵として描いた画家たちも、独特な同じ匂いを持っているといえます。橘小夢、名越國三郎、竹中英太郎、蕗谷虹児、高畠華宵、岩田専太郎らは女性のエロスを際立たせる特異な作家といえましょう。彼らは今のように映像や写真が発達していたわけではないので、その眼は相当鋭く、感性は深かっかたと思えてなりませんでした。 

 

魔性の女挿絵集 ---大正~昭和初期の文学に登場した妖艶な悪女たち (らんぷの本)
中村 圭子
河出書房新社
夢を吐く絵師・竹中英太郎
鈴木 義昭
弦書房
蕗谷虹児 (らんぷの本)
蕗谷 虹児
河出書房新社
高畠華宵ー大正・昭和 レトロビューティー(らんぷの本)
松本 品子
河出書房新社
岩田専太郎 (らんぷの本)
弥生美術館
河出書房新社

 

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