飾釦

飾釦(かざりぼたん)とは意匠を施されたお洒落な釦。生活に飾釦をと、もがきつつも綴るブログです。

「イメージの力」展(国立新美術館)を見た

2014-04-07 | 美術&工芸とその周辺

国立新美術館で開催中の「イメージの力」展を見てきました。この展覧会は通常の美術館で開催されるものとは一味も二味も違うものです。なぜならは通常、美術作品を展示し成立し得る美術館の企画展ですが、今回展示されているものは、美術作品と呼べるものではなく、国立民俗博物館がコレクションしている数々の民俗学的・人類学的な資料なのですから。しかしこれがかなりの存在感を持って美術館の空間をしめていました。それらは、伝承や伝統で作られたもの、鑑賞されることを意識したものではないもの、祭事などの行事で機能するようにつくられたものなどなのですが、どれもが根源的に魂を揺さぶってくるようなパワーを持っているように感じてなりませんでした。だから展示されているものはもちろん有名な作家が作ったものではありません。

人=人類はイメージを形にせざる得ない生き物なのです。この人類が無意識に作り上げてきた膨大なイメージの所産、凡庸な言い方ですが、美術館の空間に展示されているものは、人類が産みだす数々のイメージの祖型が目の前にあるように感じました。人類が作り出すイメージの祖型ゆえ、根源的であるし、魂が揺さぶられる。人が意識されずにもっている裏の姿を表に表したような仮面の数々、見えない神々しい存在に対して形を与えようとした神像の数々、あるいは、装身具の数々、かつてピカソがアフリカの彫像や仮面の影響を受けたという話は有名ですが、まさしく根源的なパワーは近代の技術に囲まれた現代のアーティストをつき動かすのです。ちなみに、民俗的な道具を美術的なインスタレーションの手法で展示しているコーナーがありました。もし、そこのコーナーに、これは芸術家のアート作品ではないとの説明がなかっとしたら?全く現代美術のアート作品と感じ取ってしまうでしょう。この展示を美術館が提案したことに、いろいろな意味があると思います。果たしてアートとは何か?と問いかけるひとつの疑問符でもあるのですから・・・。

感想として、かなり見ごたえのある充実した展覧会でした。

 

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