飾釦

飾釦(かざりぼたん)とは意匠を施されたお洒落な釦。生活に飾釦をと、もがきつつも綴るブログです。

鏡花幻想譚への接近#52・・・『評釈「天守物語」 妖怪のコスモロジー』笠原伸夫(国文社)を読む

2009-07-31 | 泉鏡花
歌舞伎座で坂東玉三郎が主演した念願の「天守物語」を見ることができました。素晴らしい舞台で感動!今回のこの本はまるごと泉鏡花の「天守物語」を分解し、解説し、注釈したものです。本編よりも長い、読みごたえ充分。その本のなかからボクが読みながら赤線を引いた部分を引用、抜粋しました。 『評釈「天守物語」 妖怪のコスモロジー』笠原伸夫(国文社) “劇的なものが現世と他界の交錯するところに生起するのであれば . . . 本文を読む
コメント

鏡花幻想譚への接近#51・・・『演劇界』8月号/特集・泉鏡花の世界

2009-07-30 | 泉鏡花
歌舞伎の専門月刊誌『演劇界』の8月号は、歌舞伎座の七月大歌舞伎に合わせるかのように泉鏡花の特集を組んでいます。メインの記事として「坂東玉三郎が語る鏡花の魅力」、その他には辻村寿三郎の寄稿などが。ボクも鏡花について今までいくつかの記事をブログで書いてきましたが、今年が泉鏡花の没後70年であるとは知りませんでした。70年前の9月7日、鏡花は肺腫瘍で65年の生涯を閉じたそうで、辞世の句は“露草や赤のまん . . . 本文を読む
コメント

鏡花幻想の迷宮へ⇒①

2009-07-29 | 泉鏡花
坂東玉三郎が敬愛する作家、泉鏡花。念願の「天守物語」を歌舞伎でみることができました。その泉鏡花という作家は、けっしてやさしいものではない。その鏡花の幻想迷宮の世界に足を踏み入れて、このブログの記事も50回になりました。本日はその過去記事のリンク集です。 鏡花幻想譚への接近#50・・・七月大歌舞伎「海神別荘」(主演:坂東玉三郎) 鏡花幻想譚への接近#49・・・七月大歌舞伎「天守物語」(主演:坂東玉 . . . 本文を読む
コメント

鏡花幻想譚への接近#50・・・七月大歌舞伎「海神別荘」(主演:坂東玉三郎)

2009-07-28 | 泉鏡花
■日時:2007年7月26日(日)、11:00~ ■劇場:歌舞伎座 ■演出:戌井市郎、坂東玉三郎 ■出演:坂東玉三郎、市川海老蔵、市川門之助、市川猿弥、市川笑三郎、他 泉鏡花の作品「海神別荘」を、「天守物語」に続き見てきました。戯曲はさらりと読んでいたのですが、想像以上にお芝居の全編に満ち溢れているロマンチシズムに酔いしれてしまいました。(中年男が言うのも恥ずかしいのですが…)目眩くような美しい . . . 本文を読む
コメント (2)

七月大歌舞伎「五重塔」(歌舞伎座)

2009-07-27 | Weblog
■日時:2009年7月25日(日)、11:00~ ■劇場:歌舞伎座 ■原作:幸田露伴 ■演出:石川耕士 ■出演:中村勘太郎、中村獅子童、市川春猿、上村吉弥、他 泉鏡花と同じく明治の文豪、幸田露伴の小説を歌舞伎にした作品です。生き方が下手な大工職人が執念で五重塔を完成させるまでの話ですが、正直それを見ていて、少々まどろっこしい感じがしました。途中から話の展開が読めてしまうのです。ある意味のお決まり . . . 本文を読む
コメント

鏡花幻想譚への接近#49・・・七月大歌舞伎「天守物語」(主演:坂東玉三郎)

2009-07-26 | 泉鏡花
■日時:2009年7月20日(火)16:30~ ■劇場:歌舞伎座 ■演出:戌井市郎、坂東玉三郎 ■出演:坂東玉三郎、市川海老蔵、片岡我當、中村勘太郎、中村獅童、他 寺山修司に関心を持ち始めると泉鏡花の名前に突き当たった。数年前までは泉鏡花なんて名前は、意識に上ってこないような存在だったが、寺山がその鏡花の作品を映画化している(「草迷宮」)こともあり、鏡花を調べると文学的にも特別なポジションに位置 . . . 本文を読む
コメント (4)

七月大歌舞伎「夏祭浪花鑑(なつまつりなにわかがみ)」(歌舞伎座)

2009-07-25 | Weblog
■日時:2009年7月20日、16:30~ ■劇場:歌舞伎座 ■出演:市川海老蔵、中村獅童、中村勘太郎、市川猿弥、他 歌舞伎座で7月大歌舞伎「夏祭浪花鑑(なつまつりなにわかがみ)」を見ました。この作品は、今年の5月にNHK教育テレビの「知る楽」で放送されていた教養番組、松井今朝子の「極付歌舞伎謎解(きわめつきかぶきのなぞとき)」で“任侠ものの原点”であると紹介されていました。それによると、我慢に . . . 本文を読む
コメント (5)

昭和の黒い霧・松本清張NO.18・・・ドラマ「砂の器」(出演:田中邦衛)

2009-07-24 | 松本清張
■放送:1991年、テレビ朝日 ■監督:池広一夫 ■出演:田中邦衛、佐藤浩市、伊原剛志、国生さゆり、他 松本清張の作家活動40周年の記念番組で放送された作品とのことです。清張の原作「砂の器」は長編の小説で何人もの登場人物が現れて、怪しかったり、裏切られたりするのですが、この作品は連続もののものではなく一回こっきりの特番として放送された作品。その辺りをどうまとめて整合性をとっていくかという点がまず . . . 本文を読む
コメント

昭和の黒い霧・松本清張NO.17・・・ドラマ「砂の器」(出演:仲代達矢)

2009-07-23 | 松本清張
■放送:1977年フジテレビ ■監督:富永卓二 ■出演:仲代達矢、田村正和、神崎愛、中尾彬 、真野響子、小川知子 本日も松本清張の小説「砂の器」をドラマ化した作品について書いていきたいと思います。今回のドラマは映画「砂の器」が公開された3年後にフジテレビで放送された作品で音楽家・和賀を田村正和が、彼を追い詰める刑事・今西を仲代達矢が演じていて、お二人ともまだ若いです。特に田村正和はこの時分はい . . . 本文を読む
コメント

昭和の黒い霧・松本清張NO.16・・・ドラマ「砂の器」(主演:中居正広)

2009-07-22 | 松本清張
■放送:2004年、TBS ■脚本:龍居由佳里 ■音楽:千住明 ■演出:福澤克雄、金子文紀、山室大輔 ■出演:中居正広、松雪泰子、渡辺謙、原田芳雄、永井大、他 感動した!久々に力の入ったドラマを観た!!って感じです。昭和の重鎮・松本清張の代表作とくれば「砂の器」が思い出されるのですが、実は映画のイメージがあまりにも強くそれが多分に影響し小説とごちゃまぜになっていることが多いみたいです。実際の小 . . . 本文を読む
コメント

昭和の黒い霧・松本清張NO.15・・・映画「砂の器」(監督:野村芳太郎)

2009-07-21 | 松本清張
■製作年:1974年 ■配給:松竹 ■監督:野村芳太郎 ■出演:丹波哲郎、森田健作、加藤剛、加藤嘉 、他映画「砂の器」といえばボクらの世代では感動巨編の名作として知られています。何十年か前にボクも観た記憶がありますが、世間で流布されているほど感動した記憶はありませんでした。放浪する親子の悲哀に満ちた映像というイメージが強く残っている程度で…。今回松本清張の小説を読み、その後に映画を観 . . . 本文を読む
コメント (2)

昭和の黒い霧・松本清張NO.14・・・「砂の器」

2009-07-20 | 松本清張
松本清張の代表作はといえば多くの人が「砂の器」を思い浮かべるでしょう。事実、小説もその作品が一番売れているようです。映画化された作品も感動巨編で通っているし、代表作のイメージはそれの影響も多分にあると思います その「砂の器」を読んでみましたが、正直な感想としてそんなに面白いとは感じませんでした。(小説と映画には構成や設定に大きな違いがあります)清張には、もっといい作品があるようにも思いました。こ . . . 本文を読む
コメント

僕は知らない寺山修司NO.136⇒劇団・羊のしっぽ演劇公演 「寺山修司という劇的なるものを超えて」

2009-07-19 | 寺山修司
劇団羊のしっぽ演劇公演 「寺山修司という劇的なるものを超えて 迷宮 毛皮のマリーの居る風景からの」 ■原作引用:寺山修司 ■台本・演出:森島朋美 ■出演:武田光太郎、井上倫宏、渡辺慎一郎、小倉崇昭、高宗謙三、宮悪戦車、他 寺山修司を題材にした劇団「羊のしっぽ」の公演を見ました。それは、見ることの拒否を促すような印象をおぼえた作品でした。なぜならそれはまず、寺山修司が演劇そのもののありかたに疑問 . . . 本文を読む
コメント

僕は知らない寺山修司NO.135⇒「戦後詩 ユリシーズの不在」(ちくま文庫)

2009-07-18 | 寺山修司
「戦後詩 ユリシーズの不在」(ちくま文庫) 今回読んだテーマは、詩です。・・・詩。 正直言いって、ここ何十年こんなにまとめて詩を読むことなんてなかったと思う。それがまあ寺山修司の本を通じていく篇かの詩を無理やり?読むこととなったわけなんだけども・・・。しかしそれが忘れていた詩的な情感というものを心のどこかでふるい起こされていく気がしました。 ところで寺山修司の現代詩の評を読んでいると、“書を . . . 本文を読む
コメント

僕は知らない寺山修司NO.134⇒絵本「上海異人娼館」(寺山修司+宇野亜喜良)

2009-07-17 | 寺山修司
先日記事としてもアップした青山のギャラリーで見た江戸川乱歩をテーマとした宇野亜喜良の幻想的な絵、その宇野による寺山修司の映画「上海異人娼館」をベースとし下た絵本があります。さすが宇野亜喜良と言いたい素敵な出来映えの大人の絵本に仕上がっています。(ちょっと電車で見るのは、恥ずかしい内容もあるのですが…)その絵本には寺山修司を起点としたイメージの連鎖が見ることができてそれもまた楽しいものとなっています . . . 本文を読む
コメント