飾釦

飾釦(かざりぼたん)とは意匠を施されたお洒落な釦。生活に飾釦をと、もがきつつも綴るブログです。

澁澤龍彦、幻想の世界NO.59・・・「犬狼都市」を読む

2013-07-09 | 澁澤龍彦
澁澤龍彦の小説「犬狼都市」を読みました。一時、澁澤の本を読んでいたことがありましたが、しばらくご無沙汰で久々の氏の作品です。読んだものは彼の博学ぶりに驚嘆させられるあの独特の世界をみせるエッセイではなく、珍しい小説で、私は澁澤のこの作品を原作とする唐十郎と蜷川幸雄のお芝居を見る予定をしているために、その前知識として本を開いたわけです。   「犬狼都市」は澁澤らしい小品でエジプトの創世 . . . 本文を読む
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澁澤龍彦、幻想の世界NO.58・・・「少女コレクション序説」を読む

2013-03-20 | 澁澤龍彦
澁澤龍彦の愛読者の中には、人形、それも少女のハンス・ベルメールのような球体関節人形を愛する者が多いような気がするのは私だけでしょうか?この本はタイトルが如実にそれを表しているように<少女>と<人形>にまつわるエッセイが収められています。私は澁澤龍彦の世界は嫌いではなく何度もこのブログに登場させていますし、その博学的世界には舌を巻かされ、アンダーグラウンドな感性で人の無意識な部分を的確に切り込んで見 . . . 本文を読む
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澁澤龍彦、幻想の世界NO.57・・・「三島由紀夫おぼえがき」を読む

2012-09-13 | 澁澤龍彦
三島由紀夫とい澁澤龍彦が泉鏡花の魅力を語った文庫本にある澁澤の一説。『昭和四十三年十月二十一日は国際反戦デーとかいうことで、新左翼系の学生が騒ぎを起こすという噂が朝から巷に流れていた。その日、私は私の編集していた雑誌「血と薔薇」に関する用件のために、夕刻、六本木の小料理屋で三島由紀夫と落ち合った。同席者が二、三人いたと思う。三島はカーキ色の戦闘服に身をかため、ヘルメットに長靴といったいでたちで現れ . . . 本文を読む
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澁澤龍彦、幻想の世界NO.56・・・「スクリーンの夢魔」を読む

2011-10-26 | 澁澤龍彦
澁澤龍彦の本を久しぶりに手にした途端に続けて彼の文章を読みたくなりました。次なるは澁澤が映画について書いた文章をまとめた本です。そこに言及されている映画は、まず古い作品が多く見ていないものがあること、興味がある監督ではあるものの作品は見ていないものなどもあって、こちらのイマジネーションを掻き立てながら読むということになります。なんせ映画は見たことがあるものについての文章を読むのと見たことがないもの . . . 本文を読む
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澁澤龍彦、幻想の世界NO.55・・・「玩物草紙」を読む

2011-10-25 | 澁澤龍彦
澁澤龍彦の本を読むのは久しぶりです。丁度、4年くらい前に没後20年を迎え美術館や文学館で澁澤龍彦に関する展覧会が催され、雑誌でも特集されたのに合わせて彼の本を学生時代から数十年経って再び手に取ったのありました。澁澤の文章は博覧強記で、読んだことがない本を始め知らない固有名詞が多々登場するので、数行読んでは感心し、感心しては自分の無知に嘆き、そのうちに彼の文章が何の役にたつのかと勝手に攻撃し始め、し . . . 本文を読む
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澁澤龍彦、幻想の世界NO.53・・・「悪魔のいる文学史」(中公文庫)

2009-02-05 | 澁澤龍彦
澁澤龍彦の本を読むと、始めて知ることが圧倒的に多いことがわかってきて、いかにボクが無知であるかということがよくわかります。澁澤はまさに圧倒的という言葉が、ぴったりあてはまる驚くべき博覧であるのです。そしてそれがまた幻想とか妖艶とか異端とかそうした言葉があてはまる、まるで霞か夢のような実態を掴むことが難しい分野において頭抜けてですから、眩暈がしそうになります。その情報量の多さが、一種、ナビゲータ的な . . . 本文を読む
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澁澤龍彦、幻想の世界NO.52・・・「黒魔術の手帖」(河出文庫)

2009-02-04 | 澁澤龍彦
「黒魔術の手帖」(河出文庫) 澁澤龍彦の「黒魔術の手帖」を読みました。毎回、澁澤の本については書いてしまっているのですが、その感想はむずかしいものであります。凝縮された知識の集積は、取り上げている内容、テーマとは裏腹に抜けるような透明感を醸し出しカラスを眺めているようなイメージであるからです。もし澁澤が書いているその中身を視覚化、映像化したならば、文体からくるイメージとは真逆の相当オドロオドロし . . . 本文を読む
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澁澤龍彦、幻想の世界NO.51・・・「洞窟の偶像」(河出文庫)

2009-02-03 | 澁澤龍彦
「洞窟の偶像」(河出文庫) この澁澤龍彦のエッセイ集にはボクにとって興味深いものが収められている。「サド候爵夫人の思い出」と題されたそれである。というのも昨年の10月にボクは篠井英介や加納幸和らといった男優だけによって演じられることになった三島由紀夫が澁澤龍彦の作品によって触発されて書いた戯曲「サド候爵夫人」の舞台を見たからだ。 その澁澤のエッセイには“私のサドが、明るい幾何学的精神のサド、ユ . . . 本文を読む
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澁澤龍彦の幻想世界へ①

2009-02-02 | 澁澤龍彦
澁澤龍彦という「知の巨人」に対して少しづつ地道にアプローチしてきた。彼の存在はリアルタイムで知ることはなかった。さして興味がなかったともいえるかもしれない。ただ、この歳(1961年生)にして澁澤の凄さを実感するに至った。まだまだ続くであろう彼への接近、一応50回と云う一区切りをまとめた。 澁澤龍彦、幻想の世界NO.1・・・「澁澤龍彦―幻想美術館」埼玉県立美術館① 澁澤龍彦、幻想の世界NO.2・・ . . . 本文を読む
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澁澤龍彦、幻想の世界NO.50・・・「サド侯爵 あるいは城と牢獄」(河出文庫)

2008-10-17 | 澁澤龍彦
「サド侯爵 あるいは城と牢獄」(河出文庫) 澁澤龍彦にとって18世紀ヨーロッパに登場した奇才マルキ・ド・サドは、彼が翻訳した本によって抜き差しならない存在となった。それは出版後の思いもかけない裁判によって、いつまでも消えることなく纏わりついた染みのようなものであったかも知れないのだ。澁澤は著書「サド侯爵 あるいは城と牢獄」の中において、そこに収められているいくつかのエッセイでサドについて言及して . . . 本文を読む
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澁澤龍彦、幻想の世界NO.49・・・「サド侯爵の生涯」(中公文庫)

2008-10-16 | 澁澤龍彦
「サド侯爵の生涯」(中公文庫) 文庫本で読んだため、文字は小さく本の厚みもあって相当な量であります。澁澤龍彦に興味を持って、彼が最もこだわった人物の一人であるサド侯爵、そういった背景がなかったならば、おそらく手にすることはなかったであろう類の本。だから本の第1ページを開くのが少々気が重かったのは事実かな。 しかし、読み始めるとこれがスラスラと進んでいく。内容はタイトル通りサドの生涯を追ったもの . . . 本文を読む
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澁澤龍彦、幻想の世界NO.48・・・「幻想博物誌」(河出文庫)

2008-10-15 | 澁澤龍彦
「幻想博物誌」(河出文庫) ボクにとって澁澤龍彦の本は、そこに書かれた豊穣な情報量とは裏腹に不思議と読後、書かれたものがほとんど記憶の彼方に消えてしまい、頭に残っていないものが多いということ。この「幻想博物誌」などはその類のもの。書き手にとっては由々しき問題なんだろうが、残っていないんだからしょうがない。でもそれは一体何だろうか。 思うに、澁澤がテーマとして選んだものや、またそれを説明するため . . . 本文を読む
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澁澤龍彦、幻想の世界NO.47・・・「黄金時代」(河出文庫)

2008-10-14 | 澁澤龍彦
「黄金時代」河出文庫) “まだ文学などに血道をあげ出す以前の、ごく幼い少年時代から、私には、超自然のお伽話や夢幻的な物語にいたく心を惹かれる傾向があったが、とりわけメタモルフォーシス(変身)を主題とした物語に対しては、それを読むたびに、一種の生理的恍惚感とも呼び得るほどの、はげしい情動が身内に生起するのを感じたものであった。”(メタモルフォーシス考)澁澤龍彦は、この「黄金時代」に収められているエ . . . 本文を読む
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澁澤龍彦、幻想の世界NO.46・・・「妖人奇人館」(河出文庫)

2008-10-13 | 澁澤龍彦
「妖人奇人館」(河出文庫) 澁澤龍彦が人物をピックアップとこうなる?いずれも聞きしにまさる変な男たちばかり。比較的簡単に流して読めるエッセイ集です。 ・地獄の火クラブの主宰者…イギリスの貴族ダッシュウッドが主宰した性的乱行くと悪魔崇拝の儀式をおこなう秘密くらぶ。 ・女装した外交官…一生の前半を男、後半を女として生きたフランスの外交官にしてスパイのシュヴァリエ・デオン。 ・殺し屋ダンディ…フラン . . . 本文を読む
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澁澤龍彦、幻想の世界NO.45・・・マルキ・ド・サド著「ソドム百二十日」澁澤龍彦訳(河出文庫)

2008-06-19 | 澁澤龍彦
マルキ・ド・サド著「ソドム百二十日」澁澤龍彦訳(河出文庫) 澁澤龍彦の翻訳による文庫本化されているマルキ・ド・サド「ソドム百二十日」は長が~い話の一部で、全体の六分の一にすぎないという。読んでいてそれはそれでホッとしたというか、サドの小説を読む時に感じる一種の修行のような感覚を思い、そんな気持ちになったのであります。「悪徳の栄え」でも長く感じたので、もしこの作品の全編にチャレンジしたとしたら?と . . . 本文を読む
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