昨日投稿した記事、上田秋成の墓を訪れた同日に京都府立医大病院の近くにある梨木神社に行きました。季節は秋の終わりなのでとても綺麗、風情があります。
その神社には、上田秋成が神社近くの東桜町にあった羽倉信美宅で没したのを記念して歌碑が立てられています。歌は「ふみよめば絵を巻きみればかにかくに昔の人のしのばるるかな」と・・・。
その神社には井戸があり湧き出る水は「染井の水」として京都三名水に . . . 本文を読む
昨年の秋も深まった頃、京都に足を運び「雨月物語」の作者である上田秋成の墓を訪れました。場所は南禅寺近くの西福寺。少しわかりずらい所にあり土産物屋で西福寺の場所を聞きました。
しかし寺は閉まっており、せっかく時間を作ってわざわざ京都まで来たのに!っと呼び鈴を押しました。すると住職の反応があり、上田秋成の墓を見たいとお願いして寺の中に入ることができました。中庭のようなところにひっそりとその墓は鎮座し . . . 本文を読む
演劇企画集団THE・ガジラ公演
「新・雨月物語」
■日時:2008年1月26日(土)14:00~
■劇場:世田谷パブリックシアター
■原作:川口松太郎「雨月物語」
■脚本・構成・演出:鐘下辰男
■出演:若松武史、森山栄治、北村有起哉、月影瞳、他
公演の会場となった世田谷パブリックシアター は区が運営する劇場、モダンな内装とともにその公演内容もなかなか充実している。一昔前まで自治体の箱物行政 . . . 本文を読む
「雨月物語」
■製作年:1953年
■配給:大映
■監督:溝口健二
■出演:京マチ子、田中絹代、森雅之、小沢栄、他
映画というものは観る時の年齢や状況によって印象が変わるなー、とこの「雨月物語」を観てつくずく思いました。というのも日本映画史上に残る名作として、20代後半にビデオを借りてきて観た記憶がある。その時は独特のカメラの長回しが正直かったるかったり、物語も教条的でさほどおもしろいと . . . 本文を読む
マルキ・ド・サド著「美徳の不幸」澁澤龍彦訳(河出文庫)
先に「悪徳の栄え」を読んでいたからこの「美徳の不幸」は、過激度では吸収できるほどである。しかし、冷静に考えるとこの小説も相当極点をいっている。主人公のジュスティーヌは敬虔な宗教的・道徳的な象徴として存在している。しかし物語は彼女が忠実であろうとすればするほど、数々の困難が待ち受ける。時折挟まれる悪徳の哲学は、サドはこれが言いたくて書いたんだ . . . 本文を読む
マルキ・ド・サド著「悪徳の栄え」澁澤龍彦訳(河出文庫)
澁澤龍彦といえばマルキ・ド・サド、サド裁判が想起されるほどそのイメージは強いです。若い時分にボクも、この有名な本にチャレンジしましたが、途中で投げ出してしまった記憶があります。小説自体は物語の世界にグイグイ引き込まれてしまうといったものではなく、むしろ淡々とエピソードが描かれているだけ。なので読んでいても抑揚がなく、面白さに欠けあきらめてし . . . 本文を読む
「豚と軍艦」(1961年)
■製 作:日活
■製作年:1961年
■監 督:今村昌平
■出 演:長門裕之、吉村実子、丹波哲郎、加藤武、小沢昭一、南田洋子、他
「豚と軍艦」がデビュー作となったのが吉村実子。線も細くひょろっとしたチンピラ役を演じた長門裕之と比べて、吉村実子の方は二の腕も太めでお尻もパンと張って力強い。荒れてダンスパーティーを踊るシーンの健康的なボディライン、あるいはブラジ . . . 本文を読む
「豚と軍艦」(1961年)
■製 作:日活
■製作年:1961年
■監 督:今村昌平
■出 演:長門裕之、吉村実子、三島雅夫、丹波哲郎、小沢昭一、南田洋子、他
この映画で見ていて凛々しく力強いのが、吉村実子が演じる春子が、「ばかやろう」と何度も叫んだ後、軍艦マーチの音楽をバックにアメリカ水兵に群がる女達(=娼婦)を尻目にひとり毅然と逆方向に歩いていくシーンである。
戦後貧しい日本が、 . . . 本文を読む
「豚と軍艦」(1961年)
■製 作:日活
■製作年:1961年
■監 督:今村昌平
■出 演:長門裕之、吉村実子、丹波哲郎、加藤武、小沢昭一、南田洋子、他
冒頭、横須賀の夜の繁華街をワンカットでカメラがパンをして、そこに集う群像を描いたシーンが、まず素晴らしい。それは、夜半に照らされた電球に吸い寄せられた昆虫のように蠢く眠れないモンモンたち、今からそこで繰り広げられようとする猥雑性が . . . 本文を読む
「うつろ舟」(福武文庫)
澁澤龍彦の小説を読んだのは実はこれが初めてでありました。この前に書いた「ドラコニア綺譚」も、物語的な要素が入ってきており、どうやら後半生の澁澤はどうやら観念の世界をそのままストレートに書き連ねるのではなく、物語的な形式に乗せていく、そんな風に感じたのでありました。実際、澁澤は堀内誠一に宛てた手紙に、このままいくと小説でも書くより行き場がないのではないかといった内容のこと . . . 本文を読む
丸尾末広+夜想ヴァンパイア・セレクション展
トークショー「吸血鬼コレクション とことん吸血鬼に魅了されちゃって」
■日時:2008年1月13日(日)19時
■会場:パラボリカ・ビス
■司会:今野裕一
■スピーカー:丸尾末広&石田一
パラボリカ・ビスで開かれている「丸尾末広+夜想ヴァンパイア・セレクション展」、この展覧会は昨年末に観に行き記事にもしました。小さなギャラリーでありますが、なかなか . . . 本文を読む
ムンクのこの作品に「吸血鬼」というタイトルを付けたのはポーランドの詩人・スタニスラフ・プシビシュフスキであると言われているそうだ。1893年に開催されたムンクの展覧会について書いた彼の論文には以下のような説明が記されている。(以下の引用は1993年に開催されたムンク展の図録から)
くずおれた男とその首筋にかみつく吸血鬼(ヴァンパイア)の顔/男は弱々しく、無力にも底無しの深みへと落ちていこうとし . . . 本文を読む
ボクの本棚はムンクに関する本が一冊ある。それは美術公論社から出版された「ムンク―北欧の天才―」という本。おそらく1993年に出光美術館で開催されたムンク展のときに合わせて購入したものと記憶している。
今回久しぶりにその本を棚から出して手に取ったのだが、これがどうしょうもなくひどいものだった。著者のホーディンさん、そして訳者の佃堅輔さん、お二人とも読者に読ませようと工夫を全く凝らしていない、完全に . . . 本文を読む
NHK教育テレビによる新日曜美術館の記事が続いている。今回のものは上野で開催されていた(1/6まで)ムンク展にあわせて去年の11月25日に放送されたもの。(かなり時間がたってしまったけれども・・・)ゲストは武蔵野美術大学准教授・田中正之と作家の佐伯一麦。
ムンク晩年にスポットを当て、それこそ生命を謳歌するような作風に変容していった彼の形跡をより知ることができた。ムンクは絵を描くに連れて自身のテー . . . 本文を読む
昨日と同じくNHK教育テレビの美術番組・新日曜美術館で過去に放送したムンク特集の回を録画しており、再見した。今回書くものはムンクの代表作「叫び」を中心にした放送であったが、残念ながら頭と後半がうまく録画されておらず中途半端になっている。放送日も不明である。(中村幸代が司会を務めているから2001年か?)すべてが見る事ができないまでも中々興味深い内容であった。ゲストは東大の小森陽一、女優の高橋洋子、 . . . 本文を読む