~渋谷の東急文化村で開催中の展覧会「ルドンの黒」を観て~
昨日の続き「聖アントワーヌの誘惑」についてです。フロベールの小説の挿絵を描きました。そしてその本を読んだのですが、昨日も書いたように、小説は悪魔から様々な誘惑をうけるも、最終的にそれに打ち勝つ話なのですが、途中からキリスト教以前のエジプトやローマの神々が次々と登場して途中から段々とわからなくなってしまいました。しかしそれでも魅力的なのが悪魔の哲学(昨日紹介)、そしてわかりやすく官能的であったのが美女の誘惑と云うか、アントワーヌの性的な惑い。これは男なんでよくわかります。聖者でも下半身の迷いは辛いもんだということがよくわかります。
■過去の恋人の幻影を見る
柱廊の真中、陽の照りつけるなかに、裸の女が一人円柱へ縛りつけられ、二人の兵士に革の鞭でうちのめされていたが、一打ち毎にその全身はのた打ち廻った。女は顔をふりむけた。口を開けたままで。―そして、人垣をこえて、その顔をおおいかくす長い髪の毛を透かし見たとき、わしは、それがアンナモリヤだと思いこんだのだ・・・・・・けれども、・・・・・・あの女ははるかに大きかったし・・・・・・それに、美しかった・・・・・・妖しいまでに!
(彼は両手で額をおおう。)いけない!いけない!思ってはならないのだ!
■シバの女王の幻影がでてきて誘惑する
<シバの女王>
・
・
(彼女は鋭い口笛を吹く。すると一羽の大きな鳥が空から舞いおりて来て、彼女の髪の毛の真上で羽ばたき、青い髪粉を撒き散らしてしまう。)
・
・
どうしてですの?金持ちの女も、なまめかしい女も、恋い慕う女もいけませんの?これまでもまだ足りないとおっしゃるの?ええ?この上に、淫奔で、脂切って、しゃがれ声をして、火のような髪の毛の、ぶくぶくふとった女が御入用なのね。蛇の肌のように冷たい体がお好きなの?それとも、神秘な洞窟よりももっと暗い大きな黒い眼がお好きなの?見て頂戴!あたくしの眼を!
(アントワーヌは、おもわずその眼を見つめる。)
燈の火影で唄う街角の女から輿の上で薔薇の花弁をむしる貴族の女に至るまで、あなたがお会いになったあらゆる女、あなたが垣間見たあらゆる姿、あなたののぞみからうかびでるあらゆる幻、それらを欲しがってごらんなさいよ!あたくしは、一人の女ではないのですからね。あたくしは一つの世界なのですのよ。あたくしが着物を脱ぎ棄てさえすればよいのですわ。そうしたらあなたは、あたくしひとりの体の上で次から次へ神秘をごらんになれるのですわ。
■淫欲と死がアントワーヌの前に出てくる
<老婆>(腕を開いて言う。)
さあ、お出で。わたしは、慰安だよ。休息、忘却、永遠の晴れやかさなのだよ!
<若い女>(乳房を突き出して、)
あたしは、眠り込ませるもの、歓喜、生命、くみつくせない幸福なのよ!
(アントワーヌは、くるっと後ろをむいてにげだそうとする。それぞれの女が彼の肩に手をかける。)
(経帷子が開いて、死神の骸骨をあらわにする。)
(衣が割れて、淫欲の神の全身をみせる。巨大な尻に、ほっそりとしたからだ。そして波打つふさふさした髪の毛の先が風にさらさら舞っている。)
・
・
<死神>
わたしのおかげで、お前さんの本気になることができるんだよ。抱き合おうじゃないかね!
(死神はあざわらう。淫欲の女神はほえたてる。お互いに体をかかえ合い、一緒にうたう。)
※フーローベル全集4「聖アントワーヌの誘惑」渡辺一夫・平井照敏夫訳(筑摩書房)より抜粋
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昨日の続き「聖アントワーヌの誘惑」についてです。フロベールの小説の挿絵を描きました。そしてその本を読んだのですが、昨日も書いたように、小説は悪魔から様々な誘惑をうけるも、最終的にそれに打ち勝つ話なのですが、途中からキリスト教以前のエジプトやローマの神々が次々と登場して途中から段々とわからなくなってしまいました。しかしそれでも魅力的なのが悪魔の哲学(昨日紹介)、そしてわかりやすく官能的であったのが美女の誘惑と云うか、アントワーヌの性的な惑い。これは男なんでよくわかります。聖者でも下半身の迷いは辛いもんだということがよくわかります。
■過去の恋人の幻影を見る
柱廊の真中、陽の照りつけるなかに、裸の女が一人円柱へ縛りつけられ、二人の兵士に革の鞭でうちのめされていたが、一打ち毎にその全身はのた打ち廻った。女は顔をふりむけた。口を開けたままで。―そして、人垣をこえて、その顔をおおいかくす長い髪の毛を透かし見たとき、わしは、それがアンナモリヤだと思いこんだのだ・・・・・・けれども、・・・・・・あの女ははるかに大きかったし・・・・・・それに、美しかった・・・・・・妖しいまでに!
(彼は両手で額をおおう。)いけない!いけない!思ってはならないのだ!
■シバの女王の幻影がでてきて誘惑する
<シバの女王>
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(彼女は鋭い口笛を吹く。すると一羽の大きな鳥が空から舞いおりて来て、彼女の髪の毛の真上で羽ばたき、青い髪粉を撒き散らしてしまう。)
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どうしてですの?金持ちの女も、なまめかしい女も、恋い慕う女もいけませんの?これまでもまだ足りないとおっしゃるの?ええ?この上に、淫奔で、脂切って、しゃがれ声をして、火のような髪の毛の、ぶくぶくふとった女が御入用なのね。蛇の肌のように冷たい体がお好きなの?それとも、神秘な洞窟よりももっと暗い大きな黒い眼がお好きなの?見て頂戴!あたくしの眼を!
(アントワーヌは、おもわずその眼を見つめる。)
燈の火影で唄う街角の女から輿の上で薔薇の花弁をむしる貴族の女に至るまで、あなたがお会いになったあらゆる女、あなたが垣間見たあらゆる姿、あなたののぞみからうかびでるあらゆる幻、それらを欲しがってごらんなさいよ!あたくしは、一人の女ではないのですからね。あたくしは一つの世界なのですのよ。あたくしが着物を脱ぎ棄てさえすればよいのですわ。そうしたらあなたは、あたくしひとりの体の上で次から次へ神秘をごらんになれるのですわ。
■淫欲と死がアントワーヌの前に出てくる
<老婆>(腕を開いて言う。)
さあ、お出で。わたしは、慰安だよ。休息、忘却、永遠の晴れやかさなのだよ!
<若い女>(乳房を突き出して、)
あたしは、眠り込ませるもの、歓喜、生命、くみつくせない幸福なのよ!
(アントワーヌは、くるっと後ろをむいてにげだそうとする。それぞれの女が彼の肩に手をかける。)
(経帷子が開いて、死神の骸骨をあらわにする。)
(衣が割れて、淫欲の神の全身をみせる。巨大な尻に、ほっそりとしたからだ。そして波打つふさふさした髪の毛の先が風にさらさら舞っている。)
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<死神>
わたしのおかげで、お前さんの本気になることができるんだよ。抱き合おうじゃないかね!
(死神はあざわらう。淫欲の女神はほえたてる。お互いに体をかかえ合い、一緒にうたう。)
※フーローベル全集4「聖アントワーヌの誘惑」渡辺一夫・平井照敏夫訳(筑摩書房)より抜粋
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