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昨日書いた弥生美術館「魔性の女 挿絵展」を見たときに購入した本です。一般書店にも売られていますが、展覧会のカタログ的な意味合いを持った本です。私は弥生美術館と出版社がコラボレーションした本を何冊か持っています。おそらく基本的に弥生美術館が提案する世界が無意識に好きなんですね、きっと…。ということで、本の終わりの方にはテーマである「魔性の女」について言及された文章もあり(無記名)、それを簡単に箇条書にまとめてみました。本日はそれが内容です。
■魔性の女のタイプ
1.美貌と官能で男性を惑わすタイプ
「玉藻の前」の美福門院藤原得子、「長恨歌」の楊貴妃、「お伝地獄」のお伝、「痴人の愛」のナオミ、「人魚の嘆き」の人魚、「三四郎」の美禰、「鬼火」のお銀、など
2.自ら恋に滅ぶ女
「安珍と清姫」の清姫、「八百屋お七」のお七、「青斑猫」の鞠子、松井須磨子(実在の人物)、など
3.謀る女
「項羽と劉邦」の呂妃と桃娘、「黒蜥蜴」の緑川夫人、など
■運命の女、宿命の女とは?
「宿命の女ー愛と美のイメジャリー」(松浦暢)
⇒一言でまとめることはいえないがあえてまとめると「男性の心に映ったアニマ的女性像」
「エロスと美術と物語ー魔性の女と宿命の女」(利倉隆)⇒ファム・ファタルとは「男性の強迫観念に由来する想像力の産物」
■魔性の女の獣性の象徴として語られる獣として蛇、猫、魚、鳥がいるが日本に多い獣に狐がいる。
■感覚的ではあるものの日本の「魔性の女」は西洋と比べて血なまぐさくない。残虐性は薄く、殺す者より、殺されるもの、あるいは自ら命を経つ者が多い
■魔性の女とはいえない女性に共通しているのは、死とは無縁で「逞しくて前向き」、何より「現実的」である。そしてほとんどが母親である。
■魔性女は現実的と遊離した場所に出現する女で、妖しい幻想性を帯びた、夢幻の女が多い。
■何故、日本人は何百年もの間(竹取物語、雪女、源氏物語、雨月物語などに魔性の女は登場する)、非現実的な女の物語を語りつづけてきたのか?という問いに対して、人の心には非現実的な夢想や死への願望などが隠されており、それらもまた心にとっては大切なもので、日本の「魔性の女」は陰の心を象徴する存在であり、その物語に我々は共感し、癒されるのだ。
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魔性の女挿絵集 ---大正~昭和初期の文学に登場した妖艶な悪女たち (らんぷの本) |
中村 圭子 | |
河出書房新社 |
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宿命の女―愛と美のイメジャリー |
松浦 暢 | |
平凡社 |
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カラー版 エロスの美術と物語―魔性の女と宿命の女 |
利倉 隆 | |
美術出版社 |
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