新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

私的に個体差を語れば

2022-10-12 09:21:11 | コラム
BNP物語:

今回は言わば私的な物語である。私が先月20日から国立国際医療研究センター病院(NCGM)に入院していたのは、同月13日の検査でBNPの数値が952という異常値を示していたので、主治医である医長先生から「入院して加療と再検査の必要がある」と宣告されたからだった。心臓関連の病気を経験されていない方には「BNPとは何の事」と思われるだろう。その点では、16年2月10日の「頂門の一針」で、石岡荘十氏が下記に引用するように明快に解説しておられた。

 “BNP(brain natriuretic peptide)は「脳性ナトリウム利尿ペプチド」のこと。心臓に負担がかかると心臓の、主として心室から、一部は心房から血液に分泌されるホルモンの一 種である。血液検査で心臓に負担がかかると交感神経を抑制したり、心臓が肥大する異常事態を防いだりする働きがある。(中略)100を超えると「専門医の診察が必要ですよ」という危険信号だ。200を超えると治療が必要、500以上では重症心不全と判定される。待ったなしである。基準値は0~18.4 pg/mlと検査表に表示されている。”

解りやすく言えば「BNPとは心不全のバロメーター」なのである。私は2015年に不運と言うか不幸な事故があって2度も心不全の状態に陥って入退院を繰り返していた。2度目の発作の入院で回復した後でもBNPは想像を絶するような1,300に達していた。その状態に儘にNCGMの皮膚科に診察を受けに行った時のことだった。外来の医師は私が自分で歩いて殺室には言ってきたことに驚きの声を上げられた。「てっきり、車椅子だと思っていた」と。

NCGM内で医師、看護師、理学療法士、薬剤師等々誰に聞いても「1,300の患者が自分で歩いていることはあり得ないだろう」ということだった。だが、私は何故か全く何らの苦痛も感じることなく病棟の主治医に命じられたリハビリ科で20分間ごとのストレッチとエアロバイク漕ぎを普通にこなすことができていた。正直に言えば、自分でも何故できるのが全く解らなかった。

あれから7年を経た今ではBNPの数値は250±で推移しており、外来の主治医の循環器内科医長の先生からは「慢性心不全であり、この儘日常生活を続けていて宜しい」と告知されている。現に、1日置きにジムに通って、15~20分ほどのストレッチと、分速90mほどのウオーキングを500m程はこなしている。大きなジェットバスでの入浴も楽しんでいられる。

但し、これまでの経験では「天候が不順な日における採血ではBNPの数値が跳ね上がる」傾向がある。去る2月の大雪の翌日に採血があったときには800を超えたし、先日の952に上がってしまった日は雨降りで気温も下がっていたので、タクシーを拾おうとしたが果たせないままにNCGM煮バスで言って最悪の結果が出てしまったのだった。退院後の7日に採血があったが生憎と雨降りで震え上がる寒さだった。結果は予想通りに419、入院中の検査では235だったのに。

11日の外来では医長先生に私の方から「419は不順だった天候の生ではないのでしょうか」と申し上げたが、医学的には疑問があると言われた。では、私が異常値でも生活できているのは「個体差」の問題であるのかも知れないが、800だの950だのという値で普通に動けていることの説明にはならないようだった。掛かりつけの薬剤師にも問いかけてみたが「聞いたことがない例であるし、個体差では説明しきれないと思う」と述べていた。

この件では愚息とも語り合ってみたが、BNPの数値がどのように変動しようとも心不全を抱えているという事実は変わらないのから、医長先生が指示された「日頃の行動範囲から逸脱しないようにしてストーイックな生活を続けることを守っていくしかあるまい」を結論とした。ストーイックの一例に「カフェインを摂取しないこと」がある。即ち、コーヒーは「ディカフェ」のみで、紅茶も緑茶も控えよというである。

コーラ類も入ってくるのだが、入院中に管理栄養士から「Coca Colaの類いはカフェインの含有量が低いので少量ならば」と言わば許可が出たので、昨日の昼食後にグラスに半分ほど試してみた。何年振りかのコカコーラには爽快感を感じた。だが、矢張り利尿剤的な効果があった、午後は何時もよりも頻繁に手洗い通わざるを得なくなったには参った。矢張りあらゆる硬貨には両面があるのだった。

最後に家鳴りカタカナ語の話を。BNPのPは上記の通りpeptideなのだが、これはカタカナ語では「ペプチド」となっている。カタカナ語排斥論者の私には到底認めることができない表現だ。製造業者は英和辞典を見た上でもペプチドにしたのだろうか。ペプチドの基になっている綴りがpeptideだと知った時には怒るよりも呆れた。



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