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新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

トランプ大統領は純粋に国内産業の振興を企図されたようだ

2025-03-31 06:44:48 | コラム
その目標は「輸入車が高くなれば国産車を買うだろう」にあったようだ:

報道によれば、トランプ大統領は「関税で自動車の販売価格が上がっても気にしない」と強気に出られたかと思えば、外車のメーカーを集めて「関税分の値上げを控えるように」と警告されたそうだ。日本車に課される関税を正確に記載すれば「乗用車が2.5%プラス25%=27.5%」で、トラックは「25%プラス25%=50%」なのである。凄く且つ苛酷な高率だ。

なるほど、ここまでやれば国内の消費者の需要はアメリカの国産車に向かうようになっても不思議ではない。私の推量では「トランプ大統領はこのように国内産業、じゃなかったDetroitに消費者の目が向いて、アメリカの自動車への需要が増加するように(jobが増えるように)」と、高率の関税賦課に踏み切ったのだと解釈した。大統領として国内産業の保護育成に心を配られたのは当然だろうと思う。

だが、私が既に「仮定の話だ」として考えておいた「対アメリカの輸出を手がけている自動車メーカーが25%を自社で負担すると言い出したらどうなるのか」を、トヨタは実行しようと検討していると報じられた。トヨタ以外のメーカーがそこまで踏み切るかどうかなど知る由もないが、工場を回し続けて従業員の職を守る為にはこういう手段に訴える事は否定出来ない話なのだ。

私はトランプ大統領の言うなれば「乾坤一擲」の+25%の意図は壮なりとは思うし、需要者に国産車に目を向けさせようと純真な作戦を立てたのも解る気はする。だが、1点だけ肝心な部分を見落としておられるのではなかったかと言いたいのだ。それは「品質」なのである。「日本車やドイツ車やイタリア車がアメリカの消費者の心を掴んで離さなかったのが品質にあり、値段ではなかったのだ」という事。

長年、アメリカの製品を日本向けに手がけていた私が言えるのは「需要家と消費者は品質と価格の調和が取れている優れた製品を買うのであって、多少の値段の高さは気にしない傾向もある」という事。故に、トランプ大統領はアメリカの自動車メーカーを集めて「君らには価格面の優位性を用意してやったから、残る課題である輸入車に負けない品質の向上に奮励努力せよ」と激励する必要があったのではなかったか。

今週中には27.5%と50%が発効するのだから、それまでの間と実施後にヨーロッパのメーカーがメキシコでの生産分を含めて、どのように対応して行くのか次第で「トランプ大統領の国内の自動車産業振興策が奏功するか否か」が見えてくるのではと思う。要点はアメリカの消費者の判断の基準が「愛国心に燃えているか」か「品質重視」か」「値段次第」にかかってくると思う。


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