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新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

6月18日 その2 日本とアメリカの間には未だ溝が

2025-06-18 07:20:20 | コラム
首脳会談でも関税交渉が決着しなかった背景は:

「トランプ大統領は自動車問題については本当に理解も認識も出来ていないのか、あるいは何もかも承知で何としても貿易赤字を減らす為にはアメリカを貪っていた日本からの自動車の輸入を劇的に減少させ、アメリカ国内での製造を増やさせようと、無知を装って強硬姿勢を崩そうとしないのか」が、私にはまたもや判断できない状態に追い込まれかのような感が濃厚になった。

20年以上も対日本向け輸出の分野ではアメリカを代表するような会社で、輸出を担当してきた者として、経験と知識を基にして何度でも言うが「トランプ大統領を筆頭にしてアメリカ側の主張は、特に自動車に関しては、間違っているしfairではない」のである。トランプ氏は知ってか知らずにか、自国の自動車産業界に多くの至らざる点があって、日本向け輸出が極めて振るわないことを棚に上げているだけだ。

日本向け輸出が不振な理由は、極端な表現を用いれば「3歳の児童でも解ること」なのである。敢えて駄目な理由を書き出しておけば、

*自国が設けた排ガス規制値を達成できず、達成した日本車と欧州車に抜かれた、
*UAWに圧されて現場の組合員の賃金を上げすぎた為に、労務費の負担が大きくなりすぎた、
*左ハンドル車しか作ろうとしなかった(輸出相手国の基準に合わせようとしなかったし、燃費が悪かった)
*労働力の質が低く、国際市場での競争能力を失った、
*非関税障壁等の戯言で自国の瑕疵を認めようとしなかった、

等々と枚挙に暇がない。自動車産業の本拠地であるミシガン州デトロイトはトランプ氏のよって立つ基盤の“rust belt“地帯の中核である。トランプ大統領は2期目で4年数ヶ月も経っているのだから、この程度の負の材料が並んでいることを、知らないとは言わせたくない。しかも、自動車産業が沈んだのは、上述のように日本の所為ではないのだ。それを承知で25%もの関税をかけるというのはfairとはとても言えない。

トランプ大統領の自国の産業を保護して、伸ばして、成長発展させて、再び世界に君臨させよう(MAGAか)という強固な政策を解る。だが、推進しようとするのならば、tariffで首根っこを押さえつけてdealとやらに持ち込もうとするのは宜しいとは思えない。先ずは、労働力の質を向上させようと初等教育を充実させ、80%程度と言われている低い識字率の改善辺りから取りかかって欲しい。基礎を固めなさいと言うこと。

だが、今回はキチンとジャケットのボタンをかけずにトランプ大統領と会談した石破首相が決着にまで持ち込めなかったのは、想定内である。何故ならば、トランプ大統領は今更引くに引けない事態に立ち至っているし(もしかすると)簡単にベセント財務長官に交渉させれば押し切れると見ていた赤沢大臣に抵抗されて「読み違い」で慌てているのかも知れない。

何れにせよ、アメリカ側の不当であり非合理な言い分に臆すること無く、自国の主張を貫いて、翻意させて貰えると良いと願っている。その為には「トランプ大統領が本当は事情を全てお分かりの上で強硬なのかどうか」を確かめたい気がする。何度でも言うが「知らない方が強気に出てくるものなのだから。


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