新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

2022年のNPB日本シリーズを総括する

2022-10-31 08:09:18 | コラム
辛口で行こう:

結論的なことから入っていけば「パシフィックリーグの方が、全てにおいてセントラルリーグより上だった」となってしまう。その点が最も顕著に表れていたのが、スワローズの無残な4連敗で決着してしまったことだ。私は何年だったか前に、ホークスの軽々と150km超の速球を投げ込む投手たちに捻られていたジャイアンツの例を挙げて、スワローズがジャイアンツの二の舞になりそうな危険性と、先発投手陣の力(パワーではない)と駒不足を懸念しておいてあった。

結果として表れたことは、少し意外だったがバッファローズの速球派の中継ぎ投手たちに抑え込まれたと見ていたスワローズの7試合のティーム打率が0.243で、バッファローズの0.247とそれほど差が開いていなかった点だった。現実には、3冠王の村上は0.192、主将の山田はシーズン中からの不振を引き摺って0.083だった事が際立っていたからではなかったか。村上はマスコミが如何にも期待するかの如き報道をしていたので、余計に低調さがティーム全体の不調のような印象を与えてくれた。

極端なことを、後難を恐れずに言えば「村上宗隆が3冠王を取ってしまったことは、セントラルリーグ全体の投手たちがパシフィックリーグの投手たちよりも低次元にあったのではないのか」とまで、私は考え込まされていた。勿論、短期決戦であれば村上の短期間の不調が全てだったと言えるかも知れない。だが、55本目のホームランを打った後の不振振りは何か未だ彼には根本的な(もしかして当人は承知している)弱さが何処かに残っているのではと疑わせてくれていた。

スワローズの問題点はこれくらいにして、バッファローズが良かった点を挙げていこう。それは育成出身の宇田川優希と山崎颯一郎をあそこまで使えるように育ててあったこと。宇田川などは解説していた古田が「真っ直ぐとフォークボールだけの投手があそこまでやれるとは」という妙な褒め方をしていたほど、速球派の強みを指摘していた。この辺りは二軍監督だった中嶋聡氏の手腕を高く評価すべきだし、その意味では既製品をFA市場から仕入れるばかりが能事なジャイアンツが深く反省すべき点だ。

打つ方では、MLBに行きたいという意思表示をしたと報じられた吉田正尚は、打率こそ0.174と低かったがサヨナラホームランを打って貢献したし、5番に座った杉本裕太郎も0.231でも試合とシリーズ制覇と決定づけるヒットを打って立派に主軸打者の役目を果たしていた。他にも、昨夜あの1回表の1球目をホームランした太田椋、紅林弘太郎、安達了一等々も十分に与えられた役目を果たしていた。特にあの太田のホームランを見た私は「これで試合が決まったのでは」という迫力すら感じさせてくれた。

それだけではなく、バッファローズの捕手たちの功績も挙げておきたい。それは、彼らはスワローズの打者たちの弱点を良く把握できていたし、0.367の高打率を残していたオスナの弱点がアウトサイドの低目にあると見抜けたのか、何とか抑えて見せた場面があったし、サントスにも同じところを攻めさせて0.250までに止めていた。内外野の守りにもこれといった破綻がなかったので、スワローズの5回に見せた村上と塩見の大失態が試合をぶち壊したのと対照的だった。

以上、一見スワローズの善戦健闘のような印象を観客に与えたかも知れない試合振りを総括すれば、バッファローズと比較した場合には力不足は明らかだった。高津監督の役目ではないのかも知れないが、来シーズンに3連覇を狙うのならば速球派の投手を育成するか、読売に倣ってFA市場からでも仕入れてくることが必要だろう。何時までも石川や小川が主力では何ともなるまい。サイスニードも年俸9,500万円程度の価値しかない。

一方のバッファローズには、私にはこれという修正すべき点が見つからなかった。だが、山本、宮城、山崎福也に続く先発投手がもう2~3人欲しい気がする。上原浩治が指摘していたような1回に15球を投げるだけが仕事である中継ぎ投手だけを養成しているのでは、先発完投型の投手が育つまいと思うのだ。この点ではスワローズも同じだし、マクガフ(1億2,400万円)もクローザーとしては直球にスピード不足なのは疑問だ。

それにしても、私はこれほど日本シリーズを細かく且つ興味深く全試合を観ていたのは初めてだった。望むらくは「もう少し、MLBのように迫力満点の力勝負を見せて欲しかった」のである。



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