新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

トランプ大統領に期待すること

2017-05-02 13:33:32 | コラム
金正恩と会っても良い:

トランプ大統領は相変わらず”unpredictable”だと思わずにはいられない。それは「”right circumstances”の下では金正恩に会う」と言われたこと辺りにある。いきなり英語の講釈になるが、この場合の”right”の使い方は曲者で、「(状況)が揃えばか、整えば」と訳せば良いのだろうとは思う。だが、私の経験では「斯く斯く云々の良くない条件が揃えば、失敗に終わるだろう」を”If the conditions are right, our trial production will fail.”と言われたことがあった。「悪い条件が揃えば、失敗に終わる」という意味だ。

それ以外にも気になったことがあった。それはトランプ大統領が金正恩を”smart cookie”と表現した点だった。大方の報道では「賢い」か「利口」となっていたが、”smart”にはそう言う表向きの意味以外に「ずる賢い」とか「抜け目がない」という意味で使われることがあるのだ。それに”cookie”は「人」という意味だが、所謂”slang”の部類で余り公式の場では使わない言葉だ。

即ち、裏の意味では「抜け目がない奴」との解釈すら成り立つのだ。仮に敵対している相手であっても、一国の首領をこういう言葉で表現するのは如何なものかと思ったのだが、この辺りが如何にもトランプ流なのである。。

私は「果たしてそのような望ましい状況が都合良く短期間に整うものだろうか。その状況を何処の誰が演出するのかな」と思って聞いていた。だが、その意図は一概に批判して良いことだとは思えない。トランプ大統領にしか出来ない着想だろう。

即ち、もしかすると世界中を戦争に巻き込んでしまうのかも知れないアメリカによるDPRKのあらゆる軍事基地に対する先制攻撃が仕掛けられて、両国間のmissileや核兵器などの撃ち合いにでもなれば、それこそ極端な”disaster”になってしまうだろう。その事態を回避せんが為のUSA対DPRKのトップ会談である。拍手喝采されるべきことではないのか。

先を読んで悩むことが多い私に言わせて貰えば、トランプ大統領は金正恩と膝つき合わせて語り合って何を求められるのだろうかが最大の関心事だ。それはUNを始め関連する諸国は、恐らく親会社の如き中国をも含めて何をさておいても「DPRKの非核化」ではないのか。乃至は「韓国を支配下の置こうとする南北統一の野望」ではないのか。トランプ大統領がこれらか、それ以外に何を目指して金正恩に膝詰め談判をしようとされるのだろうか。

私が憂慮することは先ず金正恩が「左様で御座いますか。お望み通りに核は廃棄しますし核実験もしません。貴国に届くようなmissileの開発も直ちに停止いたします。今後は貴国及び他の民主主義と自由経済を信奉する先進諸国と何のわだかまりもなくお付き合いさせて頂く所存ですので、宜しくお願い申し上げます」と素直に言うだろうかとの点である。いや、先ずそう言う確率は低いと思う。仮令素直に従うとしても、その代償に何を求めてくるかなどは、一寸恐ろしい気もする。

ではあっても、話し合いによる事態の沈静化が望ましいのは論を待つまい。会談が本当に実現するのであれば、トランプ大統領の交渉能力に期待するところ誠に大なるものがある。是非とも押さえきって頂きたいのだ。だが、これまでにDPRKが国際的な公約というか約束か、決まったことを何度破ってきただろうか。トランプ大統領も側近もその辺は心得ておられると信じたい。こういう会談が実現するのであれば、是非とも世界の平和の為にも金正恩を押さえきって頂きたいものだ。