令和・古典オリンピック

令和改元を期して、『日本の著名古典』の現代語訳著書を、ここに一挙公開!! 『中村マジック ここにあり!!』

家待・政争の都編(25)水脈(みを)早みかも

2011年11月18日 | 家待・政争の都編
【掲載日:平成23年11月18日】

堀江ぐ 伊豆手いづての船の かじつくめ
             音しば立ちぬ 水脈みを早みかも




やまい 重患じゅうかんに至らず 回復の 聖武上皇
光明皇太后こうたいごうを 伴い 河内難波行幸みゆき
橘諸兄もろえ引退を 寂しく思う 異父妹いもうと皇太后を
ゆかり多い 難波のうたげで 晴らし差し上げる お積りか
 に 天平勝宝八年(756)三月

【河内国 馬国人うまのくにひと宅宴】
住吉すみのえの 浜松が根の したへて 我が見る小野をのの 草な刈りそね
《ここの庭 ひそかなわしの 気に入りや このままそっと 手ぇ付けんとき》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―(巻二十・四四五七)

鳰鳥にほどりの 息長おきなが川は 絶えぬとも 君に語らむ 言尽ことつきめやも
息長おきながの 川みずれて 仕舞しもうても あんたと話す 言葉尽きんで》
                         ―馬国人うまのくにひと―(巻二十・四四五八)

あしりに 堀江ぐなる かじおとは 大宮人おほみやびとの 皆聞くまでに
《葦刈りに 堀江いでる かじの音 よう聞こえてる 大宮じゅうに》
                         ―大伴池主おおとものいけぬし―(巻二十・四四五九)
                           (大原今城おおはらのいまきが少し前に作った歌を池主読む)
                                    【三月七日】

 難波 堀江浜】
堀江ぐ 伊豆手いづての船の かじつくめ 音しば立ちぬ 水脈みを早みかも
《堀江行く 船かじしむ 音響く 水の流れが 早いみたいや》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―(巻二十・四四六〇)
堀江より 水脈みをさかのぼる かじの 無くぞ奈良は 恋しかりける
《堀江から のぼる船かじ 音ずっと ずっと奈良宮ならみや 恋しいこっちゃ》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―(巻二十・四四六一)
ふなぎほふ 堀江の川の 水際みなきはに つつ鳴くは 都鳥かも
きそう 堀江の川の 水際みずぎわに 来て鳴く鳥は みやこどりかな》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―(巻二十・四四六二)

霍公鳥ほととぎす まづ鳴く朝明あさけ いかにせば 我がかど過ぎじ 語りぐまで
《初鳴きの ほととぎすめ 鳴かすすべ 無いもんやろか 自慢するのに》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―(巻二十・四四六三)
霍公鳥ほととぎす けつつ君が 松蔭まつかげに ひも解きくる 月近づきぬ
《ほととぎす 心待ちして あんた待つ くつろぎ遊ぶ 月もうすぐや》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―(巻二十・四四六四)
                                   【四月二十日】

行幸みゆき途中 上皇 病状悪化
都へ取って返すも 五月二日 崩御ほうぎょ


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